TPP委員会が都内で開催~主導権は日本に
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(1月21日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。19日に開催されたTPP委員会について解説した。
TPP委員会の初会合が東京で開催
日本やオーストラリアなど11ヵ国によるTPP(環太平洋経済連携協定)が去年の年末に発効したのを受けて、閣僚級の最高意思決定機関であるTPP委員会の初会合が19日に東京都内で行われた。初会合には11ヵ国の閣僚級が参加し、新たにタイやコロンビア、イギリスなどが新規の加盟に関心を示している。
飯田)報道によっては「閣僚級会議」と出ていたところもありますが、正式名称「TPP委員会」と言うそうです。いろいろなところが「うちも入りたい」と手を挙げているそうですね。
須田)閣僚級会議というよりも最高意思決定機関であるということで、TPPの方針などが決まる会議が日本で開催されていることが重要なのです。日本を中心とする自由貿易協定だと受け止めて良いです。かなり広範囲に自由貿易体制が保障されているものですから、入りたいという国がいます。ワンマーケットが実現されるということで、各国にとっても魅力的でしょう。1つ問題になっているのは、TPP11のうち日本を除くTPP10に関してはほぼ関税が0なのですよ。ところが、日本は農産物に関しては17%程度関税が残っています。これは交渉が上手くいった結果なのですが、加盟国が増えることによってここが問題になって来ないか心配です。
飯田)「どうして日本だけ関税があるの?」ということですね。
須田)農産物の分野に関して、日本の17%という関税が将来的にはどうなって行くのか。これで固定化されているわけでは決してないと思います。
飯田)この最高意思決定機関で別の決定がされれば、関税だってまた分からないということですか。それに加えてアメリカが戻るということになると、そこをまた突いて来る可能性もありますね。
須田)ただ、EUとの間のEPAで分かるように、当時交渉をしていた甘利さんに伺ったことがあるのですが、「アメリカが離脱すると言ってもアメリカと日本の間にFTA(自由貿易協定)が結ばれれば同じことだ」というような言い方をしていました。自由貿易協定をFTAではなくサービスの部分を除いて、物品に関する貿易協定という形になっているのだけれども、あれの実態は自由貿易だと思うのですよ。
飯田)TAGと言われているものですね。
須田)なぜTAGにこだわっているのか良く分からないのだけれど、交渉内容如何では実質的なTPP12になって行くのだと思います。
飯田)いま日本に事務局機能も置かれていますが、まさにハブになって行くということですね。
須田)アメリカが実質的に参加することになっても、日本が中心になるこの流れは変わらないのではないかと。むしろアメリカが離脱してくれてありがたいと思いました。
飯田)その分、主導権が日本に来ました。
須田)このTPP11に加入したい国は、日本に日参して来る状況になっているわけですね。
中国に対しては表向きには経済問題として交渉
飯田)タイ、コロンビア、イギリス、あとは台湾もかなり関心を示しているという話もあります。
須田)台湾に関しては対中国ということを考えると非常に政治的な色合いが出て来ますが、そこは切り離して、あくまでも経済関係だけにした方が良いです。それが結果的に政治的な意味合いも含んで来るのであれば仕方ないけれど、特に台湾経済が中国経済に影響されて非常に厳しい局面を迎えています。だからこそ政治的な思惑を排除して経済的にやっていけば、結果として政治的にも大きなアドバンテージを得ることができるのではないかと思います。
飯田)あまり政治を前面に出さずに「経済の話をしているだけですよ」とやっておけば良いと。
須田)その方が日本としては、中国に対して優位性を出すことができると思います。
飯田)そこは名よりも実を取っていく。
須田)もちろん経済と政治は裏腹ですから。
飯田浩司のOK! Cozy up!
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