TPPが6か国で発効 5億人の自由貿易圏へ

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(12月31日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。環太平洋経済連携協定TPPについて解説した。

TPPが6か国で発効 5億人の自由貿易圏へ

TPPの年内発効が決まり、記者会見する茂木敏充経済再生担当相=10月31日午前、東京都千代田区の中央合同庁舎第8号館 提供産経新聞

 

TPPが6か国で発効 5億人の自由貿易圏へ

日本やオーストラリアなど11か国が参加する環太平洋経済連携協定TPPが昨日30日の午前0時に発効しました。これによって関税の撤廃や削減、投資の自由化、知的財産権の保護など5億人を抱える新たな経済圏が誕生することになります。

飯田)先行して協定が発効したのは日本のほか、メキシコ、シンガポール、ニュージーランド、カナダ、オーストラリアの6か国。ベトナムは年明けの1月14日にも発効。ペルー、チリ、ブルネイも近く手続きを終えるとみられています。さぁこの意味は、どう見ればいいのでしょうか?

須田)TPPイレブンはひとつのマーケットになるということなんです。最終的には日本を除く10か国の関税がゼロになります。日本に関して工業製品は100%関税がゼロになるんですが、農産物については82.3%までが無関税、ゼロになるということです。結果的にどういう意味を持つのかというと、例えば2007年に日本とチリとの間で結ばれた経済連携協定。これによって関税が撤廃されました。2007年段階でチリというと何を思い浮かべます?ワインでしょ?人気があります。2007年当時はチリとアメリカからのワイン輸入量はほぼ一緒だったんです。1対1で、だいたい1万キロリットルと言われていました。それが2017年段階でアメリカとチリの差が8倍以上ついたと言われています。今ではチリ産のワインが無関税で入って来ますから、数百円もしくは1000円、2000円出せば、美味しいワインが飲めますから。

飯田)探せば300円台だってあります。

須田)あれは無関税の効果なんです。

飯田)恩恵を被ってます!

須田)そういった状況にこれからなっていくんだという風に考えて頂いていい。もう一つ問題なのが、ネガティブな意味ではなくて、前向きな意味なんですけども、日本とEUの経済連携協定、EPA(Economic Partnership Agreement)というのが締結さています。このTPPイレブンに日欧EPAというのが連結、ドッキングするんです。そうすると手元にある数字を見るとGDP対比で4割弱が日本・EUを中心とする単一マーケットになるんだという風に考えて頂いていいんじゃないかと思います。
単一マーケットになるというのはどういうことかというと、もちろん関税ゼロで様々な製品が入って来るというメリットもあります。
別の分野でも恩恵はあります。工業製品の場合Aという部品はこの国で作ってBはこの国で組み立てはCという国でと考えている場合に関税が障害になって、その恩恵を受けることが出来ない。それが全くなくなるということなんです。ですから日本のメーカーにとっても可能性が広がり、実はそういうメリットの方が大きいのではないかと私は考えています。

飯田)部品を安くあげられるベトナムやマレーシアなどで作って、それを消費地であるEUに持っていって組み立てることができるわけですね。
これは日本にとってはメリットですね。しかもアメリカとの間で来年にはTAG(Trade Agreement on Gooods:物品貿易協定)と呼ばれる交渉も始まります。
サービスに関してはやらないけど、工業製品に関してはやるよというのは茂木(敏充 経済財政政策の内閣府担当大臣)さんも言っているわけですから、そこにドッキングということも可能なのでしょうか。

須田)そうです、今後日本は自由貿易圏のキーステーションになってくるということです。日本の企業にとってみると可能性がグーっと広がってくる。これをどう利用するのかというのが企業経営にとって、もちろんグローバル企業が対象なんですが、成長戦略を描く上で重要なポイントになってくるのではないかと思います。

飯田)一つ危惧するところでメールを頂いています。南あわじ市のたまねぎ小僧さん。『輸入農産品の価格は下がるというニュースがあります。日本から輸出の機会がどれだけ増えるのか、それが気になります』玉ねぎの産地ですからね。
どうですか、海外のスーパーで日本の農産品が売られている風景は御覧になったことはあります?

須田)ものすごくありますよ

飯田)特集コーナーを作っているところもありますよね。

須田)例えば日本産のものがマレーシアのクアラルンプルのデパートで1個4000円で販売されて飛ぶように売れていくこともあります。あるいは栃木のスカイべリーという通常より3倍くらい大きいイチゴがあります。あれは一粒1300円するんですが、アジアのマーケットでバンバン売れている。
環太平洋経済圏というのは、経済成長が著しい。そのアジアで購買意欲がすごく高まっているんです。日本の果物や農産物というものは非常に人気が高い。なぜなら美味しいから。これから可能性はぐっと広がっていくものと思っています。

飯田)まずはTPP発効についてでした。

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