森永卓郎が提言~トランプ大統領の暴挙に日本は黙っていていいのか
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「垣花正 あなたとハッピー!」(7月25日放送)で経済アナリストの森永卓郎が出演。トランプ大統領の暴挙と日本の取るべき姿勢について解説した。
鉄鋼とアルミの追加関税の理由は「安全保障上の問題」
ご存知アメリカのトランプ大統領、不動産王、巨万の富を築いたビジネスマンとしての顔もあります。そしてアメリカの経済の立て直しにはかなり強引とみられる政策をしていますが、改めてトランプ大統領について考えてみます。
大統領選挙のときは「アメリカファースト」と不公正貿易を正すと抽象的に言っていたのですが、次から次へと具体的に暴挙に走り始めています。
まず、鉄鋼とアルミに追加関税を課しました。これは日本も含めてやられたのですが、なぜ、鉄鋼とアルミに関税を課さなくてはならないのか、それは安全保障上の問題だと。「有事の際に鉄鋼やアルミを海外に頼り切っていると、それが一種の足かせになってしまう」のが理由だとされています。国内産業を守るために、安全保障上必要だと言うのです。
EU、中国はアメリカに追加関税の報復実施
これに対して日本はあまり反発せず「適応範囲を狭めて下さい」と言って少しだけされたのですが、EUは6月に報復措置として、アメリカ製品に3,600億円規模(最大25%)の追加関税を課しました。
中国も報復に出ました。するとその報復に対してトランプ大統領がさらに報復に出て、現時点で言うと、まだやっていませんが「中国から輸入する全ての製品に追加関税をかけてやる」という大暴挙に出てきています。
アメリカ国内からも反発
これにはアメリカ国内からも反発が出ています。アメリカの企業も原材料として鉄鋼やアルミを使っているのでその値段が上がると困ります。自動車にも関税を課すと言い始めていますが、そうすると車を買うときのお金が10万単位で増えてしまいます。それは困るじゃないかという話が出ているのですが、トランプ大統領は一切聞く耳を持ちません。
カジノ法案はトランプ大統領への貢ぎ物?
私は日本政府が反発していないというどころか、むしろトランプの暴挙に対して全面服従に言っているのではないかという気がします。
例えば20日に通常国会は閉幕しましたが、世論調査では3分の2の国民は「急がなくていい」と言っているのにも関わらず、最後にカジノ法案を強引に強行突破しました。
なぜそこまで強硬なことをやったかというと、一説によるとトランプ大統領への貢ぎ物じゃないかという説があるのです。トランプ大統領の親友は、ラスベガスのカジノ王です。3ヵ所カジノを作るということになっているのですが、収益の3割が政府に納められ、7割は事業者の収益です。この事業者が誰になるかは決まっていませんが、トランプの友人がやることになるのではないか、という観測もあるのです。
シンガポールにある「マリーナベイ・サンズ」。そこのカジノを運営しているのがトランプ大統領の友人の会社です。一応表向きは競争入札で決まったことになっているのですが、どうやって決まったかわからない。極めて不透明に、アメリカに権利が渡っているのです。
売り上げが数兆円規模とも言われているので、とてつもないお金がアメリカに行くのではないかという見方があるわけです。
中東情勢の悪化で、我々庶民にも影響
これだけではありません。いまとてもガソリンが高くて、150円台になっています。なぜこんなことになってしまったのかというと、イランが核放棄をするので、国際社会でルールを決めてきちんと真面目にやってきたのですけれども、トランプ大統領が突然「全然手ぬるいぞ」と言い始めたわけです。なぜかというと、トランプ大統領はイスラエルと仲良しなのです。イスラエルとイランが喧嘩しているので、イスラエルのためにイランをいじめようという感じになって、経済制裁してやると。
日本はそれに乗っているわけではないのですが、何故か三菱UFJ銀行とみずほ銀行が来月にもイラン関連の取引を停止するという方針を表明したのです。何の圧力も無しにそんなことをするわけがないので、日本政府から何らかの圧力がかかったのだと思います。
そのおかげで中東不安が高まって石油の値段が上がり、夏休みなのにガソリンが高いという形で庶民にも降り掛かってきているのです。
太平洋戦争突入時と同じ状況
将来的にもっと怖いのは、アメリカのフーヴァー政権がいまのトランプと同じことを昔やったのです。その結果ヨーロッパが報復に出て、アメリカも報復に出て、やがてブロック経済というものが出来上がって太平洋戦争になったわけです。そういうことはやめましょうとオバマ大統領のときまでは言っていたのです。アメリカがリーダーシップをとって自由貿易体制を作ろうと言っていたのがTPPから抜けて保護主義だと、とんでもないのですけれども、日本国民も同罪なのではないかと思います。
大人しくしている我々日本人も同罪?
先日トランプ大統領がイギリスを訪問しましたが、その際、ロンドンでは10万人規模の反トランプ・デモが起こっているのです。これがイギリス全土に波及して、各地でデモになっています。
イギリス人が最も怒っているのはトランプ大統領が人種差別主義者であるというところです。白人至上主義なのです。ダイレクトには言いませんが、本音は日本人を見下しているわけです。でもアメリカ国民の半分が支持しているということは、未だにそういう人たちがいっぱいいるということです。私は絶対に差別反対なので、日本でも皆が声を上げるべきだと思うのです。でも誰も言わない。
大統領選挙のときは「トランプが大統領になると大変なことになりますよ」と評論家は言っていました。でも実際に大統領になってしまうと、皆奥歯に物の挟まったようなコメントしかしないのですが、もっとはっきり言うべきだと思うのです。黙っているとやられちゃうので、今日私が言いたいのは「トランプなんて嫌いだ!」ということです。
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