北朝鮮 放たれた飛翔体から読み解くメッセージとは?

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(5月6日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。今月4日に北朝鮮が発射した飛翔体が新型短距離弾道ミサイルとの見方が浮上している中、そのニュースから見えてくる北朝鮮からのメッセージについて解説した。

北朝鮮 放たれた飛翔体から読み解くメッセージとは?
北朝鮮が発射した飛翔体、弾道ミサイルか?

北朝鮮が今月4日、東海岸のウォンサン付近から日本海に向けて発射した複数の飛翔体が新型短距離弾道ミサイルとの見方が浮上しています。弾道ミサイルであれば国連安保理の決議に違反します。

飯田)北朝鮮国営の朝鮮中央通信はこの日本海で行われた、彼らの言い方からすると発射訓練と火力打撃訓練に金正恩委員長も立ち会ったと報じました。ロシアのミサイルに似ているという話も出ています。

須田)それをベースに北朝鮮で開発されたミサイルなんでしょうけど、アメリカのペンタゴンも分析していますので、おそらくかなり高い確率で弾道ミサイルであることは間違いないと思います。そうなると次の展開を考えなければならない。

その前の段階として、これは一体北朝鮮からのどういったメッセージなのか。しかもミサイルの発射だけが行われたのではなく、金正恩委員長がこれに立ち会っているという状況が、承認のもとに行われたということになりますからね。これが持つ意味はかなり大きなものになるんだろうと思います。

場合によっては第一次米朝首脳会談以前の状況に我々は戻るんだ、戻ってもいいんだぞというような、ある意味ブラフを掛けてきたという風にも受け止められます。第二次米朝首脳会談の際にアメリカ側が北朝鮮サイドに手渡したとされる文書、その中に完全非核化ということを要求する、それが実現されない限り、経済制裁は解除されないというような内容になっていました。これに対して見直しを迫っている。

北朝鮮サイドの狙いは段階的、ここまで非核化を進めたのならば核ミサイルを廃棄する、そうするとこの程度の経済制裁の解除。さらにここまで進めたならば経済支援の実施、というような段階的な進展を望んでいたんですが、アメリカの場合はALL OR NOTHINGになってしまった。結果的に金正恩委員長がロシアに出向いてプーチン大統領の協力を得ようとしたんだけど、結果的にロシアサイドも完全な非核化を要求したということで、外交的な解決手段が閉ざされてしまった。

ハノイに向かう途中、中国に寄った際に習近平国家主席とも会っている時も、完全非核化を要求すると、実は言われていたことも分かって来ました。

飯田)そうだったんですか

須田)だから中国はこの問題について頼りにならないということでロシアに行ったという経緯があるだけに、結果的に6か国協議の枠組みの中で、そもそも北朝鮮サイドに立ってくれていた中国、ロシアが北朝鮮に同調しなかったということを受けて、北朝鮮としては、打てる手としてはこのミサイル発射実験ということしかなかったんだろうと思います。

日本に残されている唯一の拉致問題解決のルート

飯田)カードがどんどんなくなっていって、今は追いつめられている状態。

須田)かねてからのアメリカの受け止め方なんですけど、北朝鮮交渉において、本当に金正恩委員長は全権を掌握しているのかどうなのか、そこをずっと疑ってかかっていたんです。前体制における前長老たちが残っている、そことの軋轢があるのではないか、だから金正恩氏の本意はどこにあるのかを見極めようとしていたのがトランプ政権の見方です。

ですからこれに対してアメリカがすぐさま何らかのアクションをとるということではなくて、もう少し北朝鮮の国内の状況を見極めようじゃないかと。だからこのことによって何か新たなことがすぐに起こるということではないというように見ておいてもらっていいと思います。

飯田)韓国からすると今まで融和策で橋渡しをしようとしていたけど、ミサイルをぶっ放されたことによって、ミサイルとは韓国は認めませんが、北朝鮮から梯子を外されてしまったところはありますよね。

須田)韓国は殆ど米朝交渉の中においては役割を果たしてないと、韓国に頼ったところで問題は何も前進しないんだという風に北朝鮮は受け止めています。もう一切配慮していないと思います。

飯田)北はそうだし、アメリカも相当疑ってかかっていたという話もあります。

須田)そうですね、ですからこのあたりは米朝の間でトップ同士の交渉、チャンネルといったらいいか、出来た段階で事実上韓国の役割は終わってしまいました。だから韓国が何か影響を及ぼす場面というのはない。逆に言えば第一次米朝交渉の前の段階も戻ってしまえば韓国としては何か役割を果たせる可能性もあるかもしれないけれども、現状ではトランプ・文在寅の間で信頼関係が破壊されていますから、仲介の役割を果たせないと思います。

飯田)そして日本は北朝鮮との間に拉致問題を抱えているということで、拉致被害者家族の皆さんは早期解決を訴えて、このゴールデンウィークはアメリカに渡っています。ここは動いてきますか?

須田)安倍総理としても前提条件なしの日朝首脳会談の開催をやりたいとメッセージを送っているわけですから、むしろ北朝鮮サイドとしては日本カードというのを持っているんではないか。つまりトランプ大統領と極めて親密な関係を築いている安倍総理に頼らざるを得ない状況というのも場合によっては出てくるんではないかなと思います。

飯田)そうすると日本はある意味強い立場で交渉できるんではないでしょうか。

須田)ですからそこを突破口に拉致問題の解決というところに結び付けていくのが、日本に残されている唯一の拉致問題解決のルート、手段ではないかなと思います。

飯田)そうすると今週菅田官房長官がアメリカに行きます。これも大きいわけですね。

須田)殆どスケジュールが見えていません。ワシントン・ニューヨークと行くようですが、スケジュールが不透明なので、そこで何をするのかなと。

飯田)このギリギリになってもスケジュールが分かっていないというのは、相当な密命を帯びているのかどうか、想像してしまいますね。

 

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