巨人・丸 味方ナインの予期せぬ“丸ポーズ”にビックリ
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話題のアスリートの隠された物語を探る「スポーツアナザーストーリー」。今回は、6月20日のオリックス戦で、同点アーチと決勝打を放った巨人・丸佳浩選手のエピソードを取り上げる。
「(ポール際への本塁打は)正直、切れるかなと思いましたが、なんとか僕の日頃の行いがよかったので、入ってくれました(笑)」
6月20日に東京ドームで行われた、巨人-オリックスの第3戦。1勝1敗でカード勝ち越しが懸かるこの試合、巨人はオリックス先発の右腕・K-鈴木に6回二死までわずか2安打に封じられ、0-2と劣勢ムード。ここで流れを変えたのが、3番・丸でした。
「打ったのはストレート。コースに逆らわず、逆方向に打つことができました」
K-鈴木の外角145キロをとらえると、左翼ポール際へライナーで運ぶ12号2ラン! 試合を振り出しに戻したのです。
「チャンスすらなかなか作らせてもらえない展開だったので、少ないチャンスをものにできてよかった」
嫌なムードを、ひと振りで一掃した丸。ダイヤモンドを1周し、ナインの待つベンチへ戻って来ると、予期せぬ“サプライズ”が待っていました。何と、選手と一緒に原監督も両手で丸を作る“丸ポーズ”で迎えてくれたのです。
「僕もビックリしてしまい、“丸ポーズ”を返すことができなかった。次はしっかり準備をしたいと思います(笑)」
丸の活躍は、これだけではありません。同点の8回、二死から亀井、坂本勇が連続四球を選んで、好投のK-鈴木は降板。ここで再び、丸に打席が回ります。
オリックス2番手・近藤の149キロ真っ直ぐを仕留めると、打球は右翼フェンスを直撃。決勝の2点タイムリー三塁打となり、丸は三塁ベース上で右拳を4度振って、喜びをあらわにしました。
「4点のうちの4打点ですからね。100点です!」
と原監督も、全打点を挙げた丸を絶賛。“二重丸”をつけました。
丸は13日の西武戦でも、郭から先制タイムリー。15日の日本ハム戦では、金子から7年連続の2ケタ本塁打となる10号2ランを叩き込むなど、チームの勝利に貢献する働きを見せています。
18日のオリックス戦でも、山本から先制弾を放っていただけに、原監督は「丸がいたから、オリックスに2勝できたと言っても過言ではない」と賛辞を惜しみませんでした。
丸の活躍で、交流戦5カード連続勝ち越しを決めた巨人。18日には、パ相手に苦戦する広島を抜いて、1ヵ月ぶりにセ・リーグ首位を奪還しました。さらに交流戦の順位も、首位ソフトバンクにゲーム差なしの2位とデッドヒートを演じています。
「いい形で来ている。交流戦中、苦しい試合、競った試合が多かったですけど、そういうところで勝ち切れているので、そこは自信にしていければなと思います」
と、上昇ムードのチームに手応えを感じている丸。21日からは東京ドームにソフトバンクを迎え、直接対決3連戦を行います。目指すは2014年以来、5年ぶりの交流戦優勝。ちなみにこの年は、ペナントレースも同時に制しています。
交流戦優勝を決めるには、ソフトバンク3連戦に勝ち越すことが絶対条件。3連勝すれば、他チームの勝敗に関係なく、交流戦Vが決まります。ただし2勝1敗の場合は、楽天と西武の成績次第。
丸にとってもソフトバンクは、広島にいた昨年(2018年)の日本シリーズで戦い、苦杯をなめさせられた宿敵でもあります。シリーズでは打率・160に抑え込まれ日本一を逃しただけに、リベンジする絶好の機会が巡って来ました。
「きょうのように劣勢でも最後まであきらめずに、しっかりと粘り強く戦えれば……。全カード勝ち越しに向けて頑張りたい」
パの強さばかりが目立つ交流戦ですが、パ6球団にすべて勝ち越して優勝すれば、セの面目を保つことにもなります。そこで頼りになるのは、広島でリーグ3連覇を成し遂げ、2年連続MVPに輝いた経験を持つ丸。そのバットで、宿敵にひと泡吹かせられるか? チーム一“丸”となった、交流戦最終ラウンドに注目です。