トランプ大統領から金氏への親書~注目すべき北朝鮮“強硬派”の存在
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(6月24日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。トランプ大統領が金正恩委員長に親書を送ったと報じたニュースについて解説した。
トランプ大統領、金正恩委員長に親書を送る
北朝鮮の国営朝鮮中央通信は6月23日、トランプ大統領が北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長に親書を送ったと報じた。金委員長はすばらしい内容だとして満足感を示し、トランプ氏の並外れた勇気を評価したとしている。
飯田)内容については報じられていないなか、その反応だけが報じられています。もともと去年(2018年)6月12日のシンガポールでの首脳会談があり、その1周年でまずは北朝鮮側からアメリカ側に親書が送られていました。
須田)それを受けての返書ということだと思います。確かにベトナム、ハノイでの米朝首脳会談はある意味で失敗に終わったけれども、だからと言ってトランプ大統領と金委員長の個人的な人間関係が悪くなったわけではない。両者の関係は、まだ良好な状況を保っていると受け取ってもいいのではないでしょうか。「トランプ大統領との個人的な人間関係までおかしくなったわけではない」という、北朝鮮からのメッセージだと受け止めるべきだと思います。
それを前提に考えてみると、イランへの対応を含めて、トランプ外交のやり方がだんだん見えて来た。交渉相手に対して限界まで圧力を強め、その上で首脳同士で顔を合わせて話し合い、妥協点を探る、あるいはアメリカの要求を飲ませる。力による外交かなと私は思います。
北朝鮮に対しても同じような状況で臨んでいます。最終的に、例えば戦争をやるまでには至らないけれども、前提のプロセスとして北朝鮮サイドはいろいろと不満や要求したいことがありますよ、アメリカに対して不信感を持っていますよ、ということも根強いのだろうと思いますよね。
金正恩委員長は本当に全権を掌握しているのか
須田)この番組でも繰り返し申し上げているように、もう1点注目しなくてはいけないのは、本当に北朝鮮は金委員長が全権を掌握し、すべてをコントロールしているのかということです。トップ同士の人間関係はいいけれども、全面的に譲歩することをよしとしない勢力が北朝鮮国内にはいるし、力を持っていることもありえるのではないかなと思います。
飯田)トランプ政権とトランプ氏そのものが違うというような、外交に対しての指摘はイラン関係でも言われていますけれど。
須田)そうですね。
飯田)トップ同士はよい。下の周りを取り巻くグループと、金正恩氏の下で動くグループがどこまで話せるか。北朝鮮側も、アメリカ担当の特別代表だった人は失脚している状態だと言われます。アメリカに対してポンペオ国務長官を外せという主張もしています。この辺の組み換えがない限りは動かないということになるのですか?
須田)実務を担うところ、そして北朝鮮サイドの動きを見て行くと、金委員長の側近と言われるような人たちがポストを外されている。これは健康問題とも言われていますが、どうなのか。金委員長としては外す意思はなかったのではないでしょうか。
飯田)断腸の思いで、強硬派のためには外さざるを得ないとか。
須田)強硬派が要求している節がないわけではないのです。その辺りで落としどころを探ったとしても、では一体それを誰が決めることができるのか。足して2で割るようなことにもなりかねませんが、そういうことはできませんから。その辺りの見極めが非常に難しいのではないかと思います。
飯田)中朝首脳会談が行われた直後にこれが出たのは、中国も当てにならないから自分たちでメッセージを出すということだったのですか?
須田)北朝鮮は外交巧者ですから、どこかに全幅の信頼を置いて事を進めるほど柔ではないです。
飯田)いろいろなカードを出して来ていると。
飯田浩司のOK! Cozy up!
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