止まらない核兵器の小型化~爆発なく核実験できる時代に
公開: 更新:
ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(5月31日放送)に外交評論家・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。5月29日に指摘された、低出力の核実験を行った疑いのあるロシアについて解説した
ロシアが低い出力の核実験の疑い
アメリカ国防総省傘下の情報機関「国防情報局」(DIA)のアシュレー長官は5月29日、ワシントン市内で講演し、ロシアが包括的核実験禁止条約(CTBT)違反となる低出力の核実験を行っている疑いがあるとの見方を明らかにした。核爆発を伴う核実験を禁止したCTBTの義務をロシアが遵守していないと、アメリカの情報機関が指摘するのは初めてのこと。
飯田)CTBTは、アメリカや中国などは批准しないため未発効ということではあるのですが。
宮家)まず大きな流れとして核兵器、巨大な爆発を伴う核兵器の小型化が進んでいるということですよね。大きい爆発ではなく、小さい爆発ができるのですよ。そうすると被害も最小限にすることができる。しかし、そのためには実験をしなくてはいけませんよね。アメリカだってこれまで実験を何度もやって来ているから、人のことなど言えません。自分たちがいちばん多くやっている。
でも最近はスーパーコンピューターを使って、臨界前の爆発の無い核実験ができるようになったので、アメリカはCTBTにサインできるのですよ。しかし、ロシアはおそらくそれができない。もしくは新しい小型化した核兵器を開発しているのだと思います。だから彼らはいまでも小さな爆発を起こしているのですよ。それでやった、やっていないと言い合っているけれど、どっちもどっちですよね。核兵器の技術開発はアメリカがトップなはずですから。その意味では、CTBTで核開発が止まったということでは決してないと思います。
止まらない核兵器の小型化~爆発なく核実験できる時代に
飯田)もう小型化が進むという流れは止められない。
宮家)とっくにそうです。北朝鮮はまだ大きいものしか作れないから、大きな爆発をやっているのですよ。
飯田)だから目立つのですね。
宮家)しかもあまり綺麗な爆発ではないです。一方、アメリカではそういう段階を超えて、小型化が進んで行って、最終的には爆発無しで核実験ができる時代になっています。けれどロシアは、まだ小型の爆発が伴う実験を行わざるを得ない可能性がある。良いことでは無いですが、それが実態だと思います。
飯田)そういう国々に我々は囲まれて、交渉しなくてはならない。
宮家)ええ。核兵器については日本にも日本の言い分があるし、悲しい経験もありますから、今日本が核兵器を持つわけには行きません。しかし核兵器で日本を恫喝して来たり、脅威を及ぼす国があることもまた事実です。そこは現実的に考えないと、ただ単に核廃絶と言っていれば核が廃絶されるわけではありません。彼らは持ちたい、持っている方が良いと思って開発しているので、そういう人たちは簡単に説得されない。その場合、我々もある程度は力で対応しなければいけない部分がある。それが核抑止力というものの実態ですよね。
飯田浩司のOK! Cozy up!
FM93AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00
番組情報
忙しい現代人の朝に最適な情報をお送りするニュース情報番組。多彩なコメンテーターと朝から熱いディスカッション!ニュースに対するあなたのご意見(リスナーズオピニオン)をお待ちしています。