日朝首脳会談~北朝鮮に残る手は日本のみ
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(5月8日放送)に数量政策学者の高橋洋一が出演。菅官房長官から発言のあった日朝首脳会談について解説した。
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23日、ハノイでの第2回米朝首脳会談のため平壌駅を出発する際、朝鮮人民軍名誉儀仗(ぎじょう)隊を閲兵する金正恩朝鮮労働党委員長(中央)=2019年2月24日 写真提供:時事通信
政府が首脳会談の無条件開催を北朝鮮に呼びかけ
菅官房長官)安倍総理が北朝鮮の核ミサイル、何よりも重要な拉致問題の解決に向けて相互不信の殻を破り、次は自分自身が金正恩委員長と直接向き合うとの決意を従来から述べていました。条件を付けずに会談実現を目指すとは、そのことをより明確な形で述べたものであります。
安倍総理が条件を付けずに日朝首脳会談の実現を目指す考えを示したことを受け、政府は北朝鮮に対し会談の早期実施を呼びかける方針を固めた。北京の大使館ルートなどあらゆるレベルの接触を通じて総理の意向を北朝鮮に伝達するとしている。
飯田)5月7日の記者会見、菅官房長官の声をお聞きいただきました。新聞によっては方針転換などと書いてあるところもありますが、官房長官は従来の方針をより具体的に言ったのみだということですが。
高橋)方針転換ではなく、かなり前からこの方針だったと思いますけれどね。背景として北朝鮮の周りの環境が変わって来たことがあります。これまで6ヵ国協議が基本で、北朝鮮、アメリカ、ロシア、中国、韓国、日本という枠組みでやって来ました。はじめは韓国が仲介役をやっていたのですが、北朝鮮から見てもアメリカから見ても役に立たなかった。北朝鮮は中国に助けを求めたけれど、中国は米中の貿易摩擦でそれどころではないから、「俺に言われても」という感じになった。それでロシアに行った。プーチン大統領は待っていましたという感じで、すぐに金正恩委員長と会った。そのあとに飛翔体を打ち上げたりしましたよね。でもロシアから経済支援を受けることは無理です。お互い貧しい人同士ですから。
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「ロイター」「プラス」 米朝首脳会談 ドナルド・トランプ米大統領、金正恩朝鮮労働党委員長、米朝首脳会談、拡大会合、第2回米朝首脳会談、アメリカ、北朝鮮=2019(平成31)年2月28日、ベトナム・ハノイ(ロイター=共同) 写真提供:共同通信社
北朝鮮は日本に助けを求めるしかない
高橋)やはり北朝鮮が欲しいのは体制保証と経済なのです。トランプ大統領はいつも金正恩委員長には「安倍首相と会えばいいのではないか」と言っているわけです。6ヵ国協議の枠組みのなかだと次に日本に来るというパターンなのです。2000年にアメリカが北朝鮮にプレッシャーをかけたときと似ています。そういう状況だと日本が「受け入れる用意がある」と言うのは当たり前です。そのように自然に出て来た話なので、日本が焦って言っているのではなく、北朝鮮が追い込まれて段々手が無くなって来たということです。
飯田)日本と北朝鮮の間には当然、拉致問題というものがあります。メールでもいただいていますが、77歳の“ひでお”さん。「北朝鮮への動き、おかしいですよ。まず無条件で被害者を返してからの問題でしょう。何十年も拉致し続けたことをまず謝って解決することからスタートすべきではないでしょうか」。
高橋)まず会わないと話にならないですからね。これは北朝鮮のほうがすべて無罪放免という話ではないし、条件をつけないで、まずは話し合おうということです。
飯田)2000年代の小泉訪朝のときも拉致問題について、認めるか認めないか、謝るか謝らないかというところは確定して行ったわけではなかったのですか?
高橋)確定するはずがないですよ。普通の国の外交のように詰めて行っているのではないですから。小泉さんが行ったときだって、食事もしないから、おにぎりを持って行ったということを聞きましたよ。国交がない国との交渉はそんなものです。
飯田浩司のOK! Cozy up!
FM93AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00