トランプ大統領は北朝鮮にすべての核兵器引き渡しを要求していた
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(4月1日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。ロイター通信がスクープした北朝鮮の問題について解説した。
米朝首脳会談でトランプ大統領は核兵器の全面廃棄を求めていた
ロイター通信は週末、ベトナムのハノイで2月28日に行われた第2回の米朝首脳会談で、トランプ大統領が北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長に対し、すべての核兵器や核燃料の引き渡し、核施設や弾道ミサイルの全面廃棄などを求める文書を手渡していたとスクープした。
飯田)トランプさんはグレートディールという言い方もしておりました。包括的な取引を行おうとしたと、これはリビア方式と呼ばれるものに近いのではないかとも言われております。すべての核が放棄されたら経済支援も行うということです。須田さんは先週アメリカで取材をされていたわけですけれども、こんなことが言われていたのですか?
須田)ボルトン大統領補佐官が首脳会談後のインタビューで、文書の存在、トランプ大統領が金正恩氏にどういう文書を渡していたのか、その中身についてはかねてからアメリカ国内で関心が集まっていたところです。そしてロイターがその中身について週末にスクープ記事を掲載したものですから、先週末のワシントンではこの話題で持ちきりでした。中身としては実質的なと言うよりも、完全なリビア方式です。かねてからボルトン大統領補佐官が主張していたところです。ただ第1回の米朝首脳会談が開かれたときに、どうもアメリカはこのリビア方式を諦めて、なくなったのだという受け止め方をされていたのだけれども、やはりそう来たかと。アメリカはリビア方式、北朝鮮は絶対に乗ることができない、検証についても、アメリカを含む国際的な視察団体が入るということも文書には明記されていましたので、北朝鮮は飲むことはできないのです。それを第2回目の米朝首脳会談で相手に突き付けたので決裂した。だから北朝鮮に戻って行く金正恩氏は、あれだけ暗い顔をしていたのだということが明らかになったわけです。
リビア方式が条件なのか、ここから下げて行くのかの見極めが大事
ただ、考えなくてはいけないのは、これが必要条件で、「これをクリアしなければ今後、米朝間の協議は進んで行かない」のか、「それとも取引の一環としていきなり高い球を投げておいて、段々下げて行く」のか…。この見極めが大事になって来るのではないかと思います。
飯田)いまのところは、どちらとも取れる可能性があるということですか?
須田)そうですね。今後の北朝鮮サイドの動き次第だと思います。
金正男の長男の「金漢率氏の身柄をアメリカが確保」が意味するところ
須田)そしてもう1点。これについてはチェックしていなかったのですが、金正男の息子の金漢率氏が、CIAが主導する形で、アメリカで身柄を確保されて安全を保障されているというニュースは日本では流れたのでしょうか?
飯田)第三国に行くという話で、台湾の辺りで止められたか何かでアメリカが介入してということを、ただ日本では殆どベタ記事扱いという感じでしたね。
須田)これについてもかなり大きな話題になっていて、なぜこのタイミングでそれが出て来たのか。北朝鮮サイドが先程申し上げたリビア法式を完全に蹴飛ばすのであれば、我々も考えがあるぞと。CIAがその身柄を確保しているのであれば、フリーハンドでこんな情報が出て来るはずが無いのですよ。つまりこれは何らかの意図があった、リークではないかと捉えられているのです。
飯田)そこの部分は、ある種の脅し、私たちも知っているのだ、やろうと思えば手を出せるのだと。
須田)長男である金正男氏は正当な後継者ですよ。しかし、それが暗殺されたとなると、その長男である金漢率氏が正統な後継者として名乗り出たとしてもおかしくない。「そのカードを我々は持っているのだ」ということを、アメリカが突き付けたのではないかと私は睨んでいるのですけれどね。
日米が連携して北朝鮮への厳しいスタンスを貫いている
飯田)それともう1点、北朝鮮がらみで言うと、スペインにある北朝鮮大使館に押し入ったということが2月末、米朝首脳会談が行われる直前くらいにありました。それがいまになって報道されるようになって、北側は、これはテロ行為だったというような話を出している。そして地元のメディアは国名も明らかにしながら、アメリカの関与があるように報じています。これもリンクするものですか?
須田)なぜスペインだったのかというところですけれども、米朝首脳会談で北朝鮮サイドが送り込んで来た人物は、元スペイン大使館に勤務していたスペイン大使なのですね。だからその辺りも関連しているのではないかとみられているのです。いずれにしても、ここに出ている一連のリーク情報、ワシントンではそう言われていますが、これの持つ意味合い、北朝鮮に対するアメリカのメッセージをどう読み込んで行くのかが大事になって来ると思います。
飯田)日本のメディアが報道していたように、2018年6月12日、第1回の首脳会談があったあとのこれで雪解けバラ色だ、なのか、アメリカはより厳しい姿勢になって行くのか。
須田)アメリカのスタンスは一貫しているのですよ。ただ交渉の過程において、北朝鮮にアメを渡したり、鞭で打ってみたりしているのではないでしょうか。ある方向に動いたからと言ってそれを全面的に進めて行くわけではない。日本政府が冷静に一貫してこの北朝鮮の問題に対し、厳しいスタンスを貫いて来たことは、ある意味日米が連携を取っていたのではないかと、私は見ています。
飯田)ということは、やはりベースの部分は厳しく対処して、核はすべて廃棄というところで行くと。そこを見誤らない方が良いということですね。
須田)ただ、その方法論は様々ありますよ。
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