米朝首脳会談の結果~専門家筋の見る“日本への影響”
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(3月6日放送)に国際政治学者の高橋和夫が出演。先日行われた第2回米朝首脳会談に対する日本の専門家筋の見方を解説した。
アメリカのポンペオ国務長官、北朝鮮との協議継続に期待
アメリカのポンペオ国務長官は4日、北朝鮮との協議継続に向け、数週間以内に北朝鮮へ担当者を派遣し、交渉の再開につなげたい考えを示した。また核を放棄することが、北朝鮮が安全を確保するための唯一の方法と非核化の重要性を改めて強調している。
飯田)4日に行われましたアイオワ州の会合で国務長官が言及したということです。協議再開に意欲とのことですが、今回の米朝首脳会談は相当食い違い、見込み違いが見られたと報じられています。
高橋)普通は首脳が行くからには話がついていて、最後のまとめに行く、署名に行くというのが普通なのですが、そうではなかった。通常、そうなると「誰の責任なのだ?」となり、日本風に言うと、ポンペオさんが切腹して首が転がる場面ですよね。
飯田)これだけ成果なく終わったのだから、外交の責任者が責任を取れと。
高橋)ということで、ポンペオさんが「失敗じゃないのですよ、まだ続いているのですよ、私の首もつないでください」ということです。ポンペオさんが言うにふさわしい言葉かなと思います。
飯田)もともと実務者協議も、やっていないことはないのですよね。
高橋)実務者協議の段階で、何かまとまるかもしれないとトランプさんが思ったのだと思います。「褒め殺しをして来たから。愛してるよとも言って来たし。俺が行けばアイツはバカだからウンと言う」と思ったのかもしれない。北朝鮮は北朝鮮で、「俺を愛していると言うのだから、トランプさんだと実務者を無視してオッケーと言ってくれる、経済制裁を解除してくれるかもしれない」ということで、両方が美しい誤解をして醜い結果になったのかなという気はします。
飯田)トランプさんが要求したのは、全部の核を放棄してくれたら、全部経済制裁は解除すると。一方で金正恩さんの方はサラミ・スライス戦略、寧辺(ニョンビョン)の核施設だけを放棄するから、経済制裁をまず解除してくれと。主張が真っ向から食い違ってしまっていたのですね。
高橋)北朝鮮の側がサラミ・スライスを出して来たのだから、アメリカ側もサラミを出せば良かったのではないかと思います。
飯田)少しずつしか譲歩しないぞと。
高橋)アメリカ国内では、「それは北朝鮮に時間を与えるだけ」という議論だったのだと思います。でもここに至っては北朝鮮が全面的に核放棄するとは誰も思ってはいないのになぁと思うのですけれどね。それでもそういう提案を持って行って、ケンカして席を立ったトランプさんは何なんだろうという気はします。交渉戦術でもう1回やるつもりだとは思いますが。ただ北朝鮮も、「これ以上の譲歩はしない」と席を立つような言い方ですよね。
飯田)第3回をいつやるのかまったく見えない状況ですが、拉致問題についてトランプさんが2度言及したのだと、昨日の総理の予算委員会の答弁でも言っていました。ここはこれから先どうなって行きますか?
高橋)ここが動かなければ、拉致問題だけが動くということは考えられないですよね。日本がいちばん心配していたのは、北朝鮮の核とミサイルが日本を射程に収めたままアメリカがそれでいいよと経済制裁を解除してしまったら、日本は危険にさらされるままだし、拉致被害者は帰って来ないという最悪の結果だったのですが、残念ながらまとまりませんでした。でもまとまらなかった方が、変なまとまり方をするより良かったかなというのが専門家筋の一般的な結論です。
飯田)日本としては失敗だったことが成功。
高橋)残念ながらそういう結果になりました。
飯田浩司のOK! Cozy up!
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