三・一運動~韓国・北朝鮮共同行事開催がなくなった2つの理由
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(3月1日放送)に外交評論家・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。韓国の三・一運動100周年記念行事について解説した。
100周年となる三・一運動
三・一とは3月1日のことだが、日本による植民地支配に抵抗し、1919年に起きた独立運動、三・一運動から100周年となるきょう、韓国ソウル市内では政府の式典を始め様々な記念行事が開催される。行政安全部やソウル市などによると、政府主催の式典はきょうの午前11時からソウル中心部の光化門広場で開かれ、文在寅大統領とおよそ1万人の国民が参加する。
飯田)彼らの言うところの「植民地支配」であるということは断っておきたいのですが、外務省は渡航注意してくださいという情報を出しています。
米朝会談が決断し、三・一運動で盛り上げるしかない文在寅政権
宮家)内政干渉する気はないけれども、そもそも文在寅政権は一期5年しかないわけですが、おそらく今彼はショックを受けていると思います。彼にはトランプさんと金正恩の話をまとめて来たという自負があって、今回の米朝首脳会談が成功して、その勢いで三・一につなげるつもりだったのでしょうが、米朝は決裂という形になってしまった。これでは1つ間違えれば文在寅政権のレームダックが始まってしまう。彼にとって今回の三・一は100周年ということもありますが、政治的な力を維持し、レームダック化を避ける上で必要なものだったのだと思います。
飯田)大々的に盛り上げてやらなきゃいけないと。それが反日かと。
宮家)韓国で国民を団結させることができる大きな要素って反日だけですからね。ですからみんなそれを使うわけですよ。
飯田)特に政権末期は使いますね。
宮家)日本側はたまったものじゃないのだけれども、彼らは引き続きやるでしょうね。逆に言うと、それ以外の統治の正統性や力の源泉が見いだせない。韓国の大統領は弱くなってしまったからね。昔は強すぎたから憲法改正して弱くしたのだけれども、今度は弱くなりすぎてしまった。5年1期だと普通は最初の3年で失速ですよ。しかも大統領が辞めた後に何が起こるか分からない、自殺された方もおられるし。恐ろしい仕事ですよね。
飯田)しかも1期5年務められるかと言うと、前の大統領は途中で引きずり下ろされて逮捕されてしまった。何でもありになっていますよね。
北朝鮮が韓国との三・一運動共同行事をしなかった2つの理由
宮家)もう1つ気になるのは、この三・一運動の100周年行事を北朝鮮と一緒にやるという話があったわけでしょ。それが断られたわけです。理由は2つあると思います。1つは三・一運動というのはどちらかと言うと南の発想ですよね。北は違う発想で自分たちが、金日成が抗日戦争をやってやったんだという前提だから、三・一と言われても少し違うのですよ。案の定上手くいかなかった。
もう1つは、もしアメリカとの話が上手くいった場合、彼らが喉から手が出る程欲しいのは経済支援です。アメリカは経済支援なんかやりませんから、やるとしたら韓国と日本しかない。そういうことを考えるとやはり日本との関係もあんまりむちゃくちゃにはできないと思ったのかもしれない。私にはそう見ていて、それは北朝鮮にとって正しい判断だろうなと思います。
飯田浩司のOK! Cozy up!
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