文大統領が日本批判~日本は冷静に対処するべき
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(1月11日放送)に外交評論家・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。文大統領の年頭会見での日本批判について解説した。
韓国の文在寅大統領が年頭の記者会見で日本を批判
韓国の文在寅大統領は10日、新年の記者会見を行った。いわゆる徴用工訴訟判決について文大統領は「韓国政府が作り出した問題ではなく、不幸な歴史によって作られた問題だ。日本政府はもう少し謙虚な立場を取るべきだ」と述べている。
飯田)韓国メディアからは日本関係の質問が出ず、韓国メディアを指したつもりがNHKの人が質問をしてこの日韓関係について聞いたので、答えた後に「私はあなたじゃなくてその後ろの記者を指名したんだけどね」みたいなことまで言っていたそうです。
宮家)面白いことを言いますね。彼も分かっているのですよ、このままやっていくと日本とガチンコになるということを。それは中長期的に韓国にとって良くないことは、またアメリカとの関係でも良くないことは分かっているのだけれど、公の席で質問されたら日本を批判しないわけにはいかないのですよ。
飯田)国内向けにね。
宮家)だから韓国からその質問が出ないということは、暗黙の了解があったのかもしれません。しかし、日本の記者を指したらそれは聞きますよ。
飯田)他に聞くことが無いですよね。
宮家)聞かれた以上は話さなければいけない。「謙虚な立場」とかわけのわからないことを言って批判せざるを得ない状況、これが恐らく韓国の国内政治だと思います。日本は正直に言って愉快なわけはないですよ。あれだけやられているわけですから。しかし、いちばん大事なことは文在寅政権と韓国国民が一体にならないようにすることが大事ですよね。いまだって韓国は経済がおかしくなっているし、北朝鮮との関係も進んでいないわけだから、韓国の大統領に対する批判は高まっています。そのような状況で日本がいきり立って変に反応すれば、待ってましたとばかりに文在寅さんにとっては追い風になるわけです。冷静に対応していれば何が起きるかというと、逆に大統領に対する批判が高まって、彼自身が孤立して信頼性が無くなります。
もう1つ大事なのは、国際的にも同じことをやって、韓国がアホなことをやっているとアピールすることです。韓国側も一生懸命にビデオを作っていますが、本当のことを言わなければ実は効果がないです。日本も情報戦には負けないようにすべきです。
飯田)政治の側から謝らせるのではなく、韓国国民が後悔するまでやるのですね。
外圧よりも、冷静に対処して内部崩壊を狙う
宮家)いちばん賢いのは内部からやらせることです。外国からやれば、北風と太陽の話です。太陽をやれと言っているわけではないですよ。
飯田)そこまで仲良くする必要はない。
宮家)圧力を掛けたって限界があるから、内部から変えていく方が賢いと思います。これが本当の毅然とした態度だと思います。
飯田)そうすると、徴用工判決、差し押さえということが出てきましたが、まず日本側としては日韓請求権協定を主張するのが正しいですね。
宮家)これが王道というものです。だって請求権協定に基づいたルールがあるわけだから「謙虚な立場」って何を言っているのか分かりませんが。日本としては、ルール通りやっているので何が悪いのかという形で事務的にやる方が、実は韓国に効くと思います。
飯田)カッとなると「関税掛けろ」とか「ビザも見直した方が良い」なんて意見も出るじゃないですか。そこは冷静にやらなければいけないわけですか。
宮家)気持ちは良く分かるけれど、急がば回れの部分があって、怒りを超えて冷静になった上で、向こうの弱点はどこなのか、なぜ文在寅がああいうことをやるのか。それは韓国国内に問題があるからだと見極めれば、別の方法でより大きな効果をあげることは不可能ではないと思います。
飯田)先程も情報戦とおっしゃいましたけれど、多言語で出してきたり何とか国際世論も味方につけようとやってきますよね。
宮家)彼らはそれが得意なのだけど、情報戦は数撃てば良いというわけではない。ちゃんと効果的な弾を撃たなければいけません。彼らの主張に中身なんてないじゃないですか。日本は十分に根拠があることをやっているので、どんどんやれば良いと思いますよ。
飯田)ここの詰将棋は冷静に詰めきらなければいけないわけですか。
宮家)我慢ができなくて爆発した方が負けです。黙っていれば向こうがこけますから。
飯田)盤をひっくり返してはいけないと。
飯田浩司のOK! Cozy up!
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