11月20日(水)深夜放送のラジオ番組『ミューコミプラス』(ニッポン放送・毎週月-木24時~)に、11月29日(金)公開の映画『HUMAN LOST 人間失格』の脚本を担当した小説家・冲方丁(うぶかたとう)が出演し、作品の背景について明かした。
映画『HUMAN LOST 人間失格』は、太宰治の小説『人間失格』を原案として豪華クリエイター陣の手により大胆に翻案して描く劇場アニメーション。同作でストーリー原案・脚本を担当した冲方が、作品で描かれている未来の時代背景について解説した。
吉田尚記アナウンサー:映画『HUMAN LOST 人間失格』の舞台は昭和111年で、令和にすると18年にあたるんですけど、そう遠くない未来ですよね。そこでは医療が発達していて、人間は病気も怪我もしないし、死なないという
冲方:どんなに寝なくても、疲れても死なないし、過労死がないんです。病気にもならない
吉田:っていう風になったら、夢の世界のような気がするじゃないですか。でも冲方さんが作った世界は、そんなに良いものではなさそうですよね。健康と引き換えに19時間労働になっていたり
冲方:健康になったときに、国を維持するために何を考えるかというと、まず「死なないから働かせるだろう」と思ったんです。死ぬまで働かせるじゃなくて、絶対に死なないから徹底的に働かせる。さらに、「どうせ死なないし病気にならないから環境問題に配慮しない」ということですね
吉田:そういうことか! 僕、作品を観させていただいて、未来を描いた作品ってだいたい空が青くて環境も綺麗なものが多い中で、大気汚染がすごく進んでて
冲方:スモッグだらけだろうと、水が浄水されてなかろうと死なないので、やらないんです
吉田:確かにその可能性はある……!
冲方:衛生管理、環境問題は“解決済み”ということになってしまったんです
吉田:なるほど
また、SF作品は”仮説”であり、「もしこうだとしたら」を勝手に想像していいという話題になり、冲方は『HUMAN LOST 人間失格』でこのような未来を描く理由に言及。「そうして思考を進めていって、究極的に人間はどのように文明やテクノロジーと向き合ったら本当に幸福になれるのかを考えることができる。それがテクノロジーに関するSFですね」と発想の原点を語った。
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