斉藤和義、高橋優が語る カセットテープと音楽

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ミュージシャンの斉藤和義が、ニッポン放送のラジオ番組「サントリーコーヒーBOSS presents ニッポン放送 開局65周年記念特別番組 斉藤和義のオートリバース」(11月23日(土)13時~14時放送)でパーソナリティを担当。ゲストにシンガー・ソングライターの高橋優を迎え、90年代までのカセットテープを使った楽曲制作の工程や、音源がデジタル化された現代に感じること、さらに、カセットテープ最盛期だった80年代に夢中になったアイドル小泉今日子や松田聖子などについて語った。

斉藤和義、高橋優が語る カセットテープと音楽

小・中学生の頃、家には必ずラジカセがあり、カセットテープを今も保存しているという斉藤。カセットテープには“インデックスカード”と呼ばれる紙が収納されていたが、これを自分でデザインしてオリジナルジャケットを作ったり、テレビから流れてきた音楽をラジカセで録音した思い出を回想。

ゲストの高橋もラジカセに触れて育ったそうで、「オートリバース(※自動的にカセットのA面とB面を再生する機能)をめっちゃ使っていました。CDを借りてきて、曲をカセットテープに録音して、自分のベストカセットを作って車で聞いていました」と懐かしみ、最近まで楽曲制作の過程で愛用するほどだったと吐露した。

音源を手に入れる為にCDショップへ足しげく通った時代と今とでは、音楽を取り巻く環境は激変。音源がカセットやCDなどのパッケージ販売ではなく、音楽ストリーミングが中心となった現代に、二人とも、作り手として少なからず寂しさを感じているようだった。

高橋:僕はつい最近まで、カセットテープで曲作りをしていたぐらいカセットが好きで。

斉藤:へえ~!

高橋:スタッフがみんな困っていました。『音源をパソコンに落とすと、データが小さすぎてめっちゃ音量が小さい!』って。『お願いだからボイスレコーダーを買ってくれ』って言われて、最近ようやく買い換えました。

斉藤:そうなんだ。

高橋:CDもそうですけど、かける機材がなくなってきているじゃないですか?

斉藤:うんうん、そうだよね。

高橋:わざわざ手を伸ばして買わないと、かけづらい世の中になってきている気がするので、どこかのタイミングでもう1回、カセットで曲作りをしたいな、と僕は思っているんです。再生ボタンと録音ボタンを一緒に『ガチャ』って押すあの瞬間の緊張感って、意外と曲作りのいいスイッチになっていた気がして。

斉藤:あー……確かにねえ。デビューしてから最初の頃、アルバムを作るときはカセットを使っていたんだよね。アルバムの曲順を決める時、最近だと、曲をパソコンでちゃちゃっと入れ替えて、こんな感じかな~ってやるけど、当時は“10分カセットテープ”みたいな物に一曲ずつ入れて、ラジカセを2台用意して(それぞれのラジオカセにつなげたい曲を入れて)、レコード会社の会議室でかけて。でもそうするとどうしても『ガチャ』って音がしちゃうんだけどね。『これは違うね(この曲順じゃないね)』って言って、またカセットを入れ替えて曲順を決める、というのは90年代まではそうだったかな。MDになるまでは。

高橋:それ、僕もやっていました! ぎりぎり、僕の時代でもやっていて。あの作業、楽しかったです。カセットテープだと、一曲一曲が四角い形で残っているような気がして。今は全部データじゃないですか? (作った音楽が)形のないものになってきている気がするんですよね。

斉藤:分かる。俺も最近オークションとかで、昔のラジカセを2、3個買ったりして。

高橋:へえ~!

斉藤:やっぱりいい音だな~って思って。昔、カセットがなくなるぞ、っていわれた時に買いだめしておいたメタルテープが、このあいだ、物置からダーッと出てきて。どうせならラジカセで聞きたいな、と思ってそれでラジカセを買ったんだけど、やっぱり状態が良くなくてね。3台目ぐらいにやっとちゃんとした物を手に入れて。それで聞いたら、メタルテープじゃなくても凄くいい音で。なんか、最近のコンピューターで録るというのも良いんですけど、カセットで録れば実時間がかかるしね。

高橋:最近は合理的になりすぎちゃって。

斉藤:そうね。

高橋:なんでも早いし、『こっちを使った方が便利だよ』って言われると、それを使わないことが間違いのような焦りを覚える。今の人からしたら回りくどいような事でも、それをやることでしか分からない快感というか、味わいみたいなものがある気がして……。

斉藤:ね。

高橋:僕、時間さえあればツアーを鈍行で回りたいですもん。

斉藤:あはははは(笑)

パソコンでの音楽作りが、もちろんメリットが多いのは重々承知だが、ひと手間かけ、じっくりと音楽に耳を澄ませた時間は、特別な味わいがあったと懐かしんだ二人。しかし、高橋の「ツアーを鈍行で回りたい」という発言には共感できないということで、斉藤は「俺は、電車は早く着きたい」と笑いながら答えた。

斉藤は11月20日にシングル曲「いつもの風景」をリリースし、カップリングには「オートリバース~最後の恋~」を収録。同楽曲は、小泉今日子と、80年代にアイドル親衛隊をしていた少年たちとの交流の話を聞き、当事者にも取材したうえで執筆した青春小説「オートリバース」(作・高崎卓馬)にインスパイアされて書き下ろしたコラボ曲。

番組ではこれに合わせ、80年代アイドルに通じている笑福亭鶴光と、吉田照美が電話出演した。

笑福亭鶴光との電話で斉藤が、1987年から2003年までニッポン放送で放送されていた「鶴光の噂のゴールデンアワー」をよく聞いていたことを伝えると、「あれを聞いて出世した人間もいれば、破綻した人間もいて、人生様々!」と笑い飛ばした鶴光。最近のアイドルファンと、昔のファンの違いについて「僕らの時は(アイドルの情報が)耳から入ってくるから、想像の世界で。一種の魔法の世界 みたいだった。魔境ですね」と映像や情報が少なかった時代だったからこそ感じられたことがあったと語った。

吉田照美は1980年から文化放送でラジオ番組「吉田照美のてるてるワイド」を7年間続け、これに80年代のアイドルが数多く出演していたことから、小説「オートリバース」の中にも「てるてるワイド」の記述が出てきている。“キョンキョン”の愛称で当時大人気だった小泉今日子について、吉田は「ドリフターズの『8時だョ!全員集合』で『まっ赤な女の子』を歌った瞬間にブレイクしたのが分かった! 本当に、客席の反応とか……」と当時のことを興奮しながら紹介。そして、「芸能人好きとかアイドル好きとかって、その人が化ける瞬間というのに立ちあうと、とてつもなく幸せな気持ちになる」と語り、親衛隊やファンの気持ちを代弁した。

番組では、各ゲストが選んだ80年代アイドルソングをオンエアし、斉藤も松田聖子の「赤いスイートピー」、中森明菜の「少女A」を選曲。「赤いスイートピー」について、斉藤が作詞家、作曲家、歌詞の魅力を解説し、「今思うと80年代とかの曲は、ずっと歌える歌が残っていていいなと思うし、しかも日本ならではの音楽というか、洋楽の影響を受けているのに洋楽とも違うし、日本独自の音楽があったんだなと思う」と、今も胸を熱くさせる名曲に改めて感動していた。

なお、同番組を記念したプレゼントキャンペーンが実施中。「ミニラジカセ」を5名、「番組を録音したカセットテープ」を10名、「斎藤和義のサイン入り似顔絵」を5名、「小説『オートリバース』(著者・高崎卓馬のサイン入り)」を10名にプレゼントする。応募締切は12月15日(日)まで。詳細は、番組特設サイト(https://www.1242.com/project/autoreverse/)で確認できる。また、同特設サイトでは、斉藤和義がインスパイアされた小説『オートリバース』とコラボしたサントリーコーヒー BOSSの特別ラジオCM映像(6篇)も公開されている。

 

サントリーコーヒーBOSS presents ニッポン放送 開局65周年記念特別番組 斉藤和義のオートリバース
放送日時:2019年11月23日(土) 13時~14時
番組HP:https://www.1242.com/project/autoreverse/
パーソナリティ:斉藤和義
ゲスト:高橋優 吉田照美 笑福亭鶴光

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