“秋元議員逮捕”が与えるIR事業への影響
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(12月26日放送)にジャーナリストの鈴木哲夫が出演。秋元司衆議院議員の収賄容疑での逮捕について解説した。
秋元司衆議院議員~IRめぐり370万円収賄の容疑で逮捕
日本でのカジノを含む統合型リゾート施設(IR)事業への参入を目指していた中国企業500ドットコム側から、現金300万円やおよそ70万円相当の利益供与を受けたとして、収賄容疑で衆議院議員の秋元司容疑者が逮捕された。秋元容疑者は25日、自民党本部に手書きの離党届を提出、これを受理されている。
飯田)逮捕されたのは秋元容疑者の他、中国企業の顧問・紺野昌彦容疑者ら3人です。いずれも贈賄の疑いでの逮捕となっています。現職の議員逮捕はおよそ10年ぶりということです。この事件によるIR事業への影響を問われた、菅官房長官のコメントです。
菅官房長官)捜査機関の活動内容に関わる事柄であり、お答えは差し控えたいと思います。いずれにせよ、政府としてはできるだけ早期にIRの整備による効果が実現できるよう、着実に進めて行きたい。
飯田)一方、野党側の反応、IR事業に対して言及する立憲民主党・安住国会対策委員長です。
安住国対委員長)秋元議員はカジノの関連法案を強行したときの委員長。そして、それを制度設計する所管のまさに副大臣。その人が関連業者から賄賂を貰って逮捕ということですから、構造的な問題だと思います。国会で厳しく追及して行きたい。
飯田)秋元容疑者自身は「一切身に覚えがない」と、容疑を否認しているということです。
鈴木)この事件に特捜部が着手するのではないかという情報は、ずいぶん前から出回っていました。臨時国会が終わったら着手すると言われていましたが、予定どおり、国会が終わってすぐに着手ということです。
飯田)家宅捜索が入りましたね。
贈収賄での立件・起訴の可能性は十分に高い
鈴木)特捜としてはかなり綿密な捜査、証拠、証言がある。秋元容疑者は否定していますが、贈賄側から詳細な証言があったり、何らかの物証があっての着手ということでしょう。問題は、逮捕容疑です。最初に事件に着手したときは、外為法違反ということでした。
飯田)そうですね、上限を超えたお金を持ち込んだということでした。
鈴木)お金を持ち込んでばら撒いたのだと想像はさせるけれど、実際の容疑は外為法違反だった。しかし、今回の逮捕は収賄罪です。贈収賄はお金をもらって、何かしらの便宜供与を図るということです。職務権限ということで言えば、彼は確かにIR関係の役職をやっていたのですが、それはIR法ができる前のことでした。一体お金をもらって、何を見返りにしたか。まだ法律もないし、3ヵ所という話が出る前のことです。どんな権限があるのかということになるので、贈収賄で立件できるのかという話も出回っていました。25日、官邸のなかにもそういう話をする人がいたのです。しかし、警察のOBの方と話をしたら、単純な贈収賄であれば十分に立件・起訴できるのだということでした。もう1つ言えるのは、IRへの影響です。
IR事業へのイメージダウンは避けられない
飯田)メールもいただいています。“ねまき”さん、横浜市の方。「IRについてのイメージダウンも相当に響いて来そうですね」。
鈴木)職務権限も含めてですが、直接的にどう関わるかと言えば、関わりは薄いのかもしれません。ただ、自民党の幹部が言っていたのですが、いままでのIRの難しさはギャンブル依存症など、ギャンブルそのものについての議論でした。これはある意味で、政策論争なのです。今回のことは利権ではないですか。印象としては極めて悪くなる。結局、「カジノをつくる、つくらないで私腹を肥やしているのではないか」と。世論も「考え直した方がいいのではないか」「止めるべきだ」ということで盛り上がります。IRはいろいろな自治体が手を挙げていますが、自治体によっては横浜のように、住民が反対運動をしているところもあります。そうなると、安倍政権のシナリオが遅れる可能性は高くなると思います。
飯田)そこを特に進めていたのは大阪ですが、吉村知事も危機感を感じてツイッターに投稿しています。「IRそのものが真っ黒なのではない。大阪は全部オープンにしているし、必ず業者と会うときは2人以上で録音を録って、それを相手にも言い、絶対不正のないようにガラス張りでやっている」ということを言っていて、関係者は相当に敏感になっていますね。
鈴木)特に大阪はこれをメインに、という感じでしたからね。
飯田)万博後の跡地利用も含めて。
鈴木)飯田さんが指摘されたうちの大事なことは、大阪はオープンにやっているということです。けれど、IRは水面下の話が多いのですよ。お金の話ではなく、手を挙げる、挙げないという話も含めて。
飯田)自治体と一緒になって手を挙げる、そのときには業者は1つということになっているから、いまがまさに自治体とのコネクションづくりですものね。
カジノそのものについて、もう1度オープンに議論すべき
鈴木)業者も儲けたいわけでしょう。業者は業者で、どこがいいというものがあるわけです。例えば、私はあるアメリカの業者を取材したのですが、「日本でどこに行きたいのか?」と聞いたときに、すぐさま答えたのは「東京」ですよ。「大阪は?」と聞くと、「自分たちとしては東京だ」ということを言う。東京はまだ検討中で、手も挙げていません。こういうことは表には出ません。これをきっかけにして、IRをいろいろな角度から検証するのはありだと思います。1年も2年も遅れるわけではないし、通常国会でも事件だけではなく、カジノそのものを議論すべきです。今回の事件によって、カジノ業者の考え方や、誰がどう対応しているのかをオープンにする。立ち止まって考えることもありだと思います。
飯田)業者の選定や管理は、カジノ管理委員会というものを立ち上げてやる。この間トップも決まったばかりで、これが2020年2月ごろに立ち上がるということで、ここからのハンドリングが1つのポイントになるのでしょうか?
鈴木)25日の菅さんの会見を見る限り、そのスケジュールは変えないと思います。ただ、そういうことを変えないと、世論の不信感は高まります。1回スケジュールを止めて、カジノについてオープンに議論した方がいいと思います。
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