ヤクルト・奥川 星稜の先輩・松井氏も受け取った「恩師からのプレゼント」

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話題のアスリートの隠された物語を探る「スポーツアナザーストーリー」。今回は、5日に選手寮に入寮したヤクルト・奥川恭伸投手はじめ「プロ野球・新人選手の入寮」にまつわるエピソードを取り上げる。

ヤクルト・奥川 星稜の先輩・松井氏も受け取った「恩師からのプレゼント」

【プロ野球 ヤクルト新人入寮】星稜の山下智茂名誉監督から贈呈された野村克也氏らの著書を手に入寮したD1位の奥川恭伸 右手は学校関係者から贈られた高校時代にバッテリーを組んだ山瀬慎之助捕手(巨人ドラフト5位)とのイラスト=2020年1月5日 埼玉県戸田市 写真提供:産経新聞社

【プロ野球 ヤクルト新人入寮】星稜の山下智茂名誉監督から贈呈された野村克也氏らの著書を手に入寮したD1位の奥川恭伸 右手は学校関係者から贈られた高校時代にバッテリーを組んだ山瀬慎之助捕手(巨人ドラフト5位)とのイラスト=2020年1月5日 埼玉県戸田市 写真提供:産経新聞社[/caption]

「すごくワクワクしています。いよいよ始まるという気持ち。初めてのことばかりだけど、しっかり投げて充実した1年にしたい」(奥川)

毎年、三が日が明けるとスポーツマスコミを賑わすのが、プロ野球ルーキーの「入寮」にまつわるニュースです。妻帯者の社会人選手など、ごく一部の例外を除き、新人選手は原則この時期に球団の選手寮に入寮します。

今年(2020年)は12球団の先陣を切って、5日にヤクルトの新人6選手が入寮。注目は何と言っても、甲子園を沸かせたヤクルトのドラフト1位ルーキー・奥川恭伸(石川・星稜高)です。

高2の春から4季連続で甲子園のマウンドを踏み、昨年夏の甲子園では、智弁和歌山戦で延長14回の激闘の末、23三振を奪った奥川。ドラフトでは巨人・阪神・ヤクルトのセ・リーグ3球団が競合。高津臣吾新監督が当たりクジを引き当てました。

ヤクルトの選手寮は埼玉県戸田市にありますが、玄関にはテレビカメラ8台と約40人の報道陣が陣取り、奥川の登場を今か今かと待ち構えていました。そこへ、学生服姿でやって来た奥川。やや緊張しながらも笑顔を浮かべて対応したあたりは、さすが大物ルーキーです。

奥川は、親元を離れて暮らすのは初めてで、「石川を出て来るときは、これまで何気なく見ていた景色が違って見えて寂しかった」と心境を告白しましたが、戸田市の環境については「すごく暮らしやすそう。自分の好きな雰囲気です」と、すっかり気に入った様子です。

同行した両親とともに、これから暮らす402号室へ荷物を運び入れた奥川。この部屋は昨年(2019年)まで廣岡大志が使っており、廣岡は昨シーズン、初の2ケタ本塁打を放ちブレイク。縁起のいい部屋でもあります。

ちなみに、奥川の大先輩にあたる松井秀喜氏(星稜高OB)は、巨人のジャイアンツ寮で410号室に住んでいましたが、この部屋を坂本勇人が継承。また広島の大野合宿所では、黒田博樹氏が使っていた104号室に、前田健太・野村祐輔・大瀬良大地が住み、それぞれカープのエースへと成長して行きました。

また、千葉県鎌ケ谷市にある日本ハム・勇翔寮の404号室はダルビッシュが3年間使用。この部屋を受け継いだのが……そう、大谷翔平です。

奥川も今年活躍すれば、戸田寮の402号室は「出世部屋」になって行くことでしょう。

もう1つ、入寮で注目されるのが「寮に持ち込んだもの」です。奥川の場合は星稜高の山下智茂名誉監督から贈られた「本」でした。山下氏は教え子に本をプレゼントすることでも有名で、松井秀喜氏が正月、帰省して母校を訪問するたびに、「これを読みなさい」と松井氏の参考になりそうな本を渡していました。

山下氏が奥川に渡した本は、『神様が創った試合〜山下・星稜vs尾藤・箕島 延長18回の真実』『10代のための人間学』『野村克也 野球論集成』の3冊。

名将・ノムさんの本を贈ったところは、「野球の勉強だけでなく、社会人としての勉強も怠るな」という恩師のメッセージを感じます。奥川によると、本を渡された際、山下氏からこんな「金言」も授かったそうです。

「『厳しい世界だぞ。耐えて頑張るんだぞ』と言われました」

星稜絡みでもう1つ、奥川が寮に持ち込んだものは、巨人にドラフト5位で入団したチームメイト・山瀬慎之助(捕手)と一緒に描かれた似顔絵や、クラスメートとの集合写真でした。

「辛くなったときに見て、頑張りたい」

なお、ヤクルトの新人合同自主トレーニングは7日から戸田市の2軍施設でスタートします。「しっかりメニューを消化しながら、ケガをしないようにしたい」と決意を語った奥川。いよいよプロへの第一歩を記します。

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