黒木瞳がパーソナリティを務める番組「あさナビ」(ニッポン放送)に新日本プロレスリング社長兼CEOのハロルド・ジョージ・メイが出演。仕事についての自らの思いを語った。
黒木)今週のゲストは、新日本プロレスリング社長兼CEOのハロルド・ジョージ・メイさんです。メイ社長は去年(2019年)、時事通信社から『百戦錬磨 セルリアンブルーのプロ経営者』という本を出版されています。これまでにいろいろな社長を経ていらっしゃいますが、その経験やビジネスについて書かれた本ということです。拝見すると、子どものころのことから書いていらっしゃいます。経営者としてのノウハウだけを伝えるのではなく、そこに何かが隠されているということでしょうか?
メイ)これは私の初めての本でして、私がどういう人間なのかを読者の方に知ってもらうために、自分の生い立ちを説明しました。その上で、ビジネス本としていろいろなことを書こうと思いました。本のタイトルには2つの意味がありまして、我々新日本プロレスのリングはセルリアンブルーのリングで、青いのです。もう1つは、私がオランダ人で目が青いので、その2つをとった言葉遊びです。
黒木)確かに青いですね。
メイ)本当は少し緑なのですけれどね。
黒木)「セルリアンブルー」という響きが綺麗ですね。この本は誰に読んでもらいたいですか?
メイ)自分の人生すべてを書いている本で、自分で言うのも何ですが、少しユニークなところがあります。サラリーマンとして働いて30数年になりますが、時間で言うと半分くらいが日本企業で、もう半分が外資系企業で働いていました。ですから、両方のいい点や悪い点、考え方の違いを体験しました。この本に書くことによって、これからの日本社会や日本経済がどのように発展すべきなのか、そのヒントも得られたらいいなと思っています。
黒木)これからどういう人生を進もうかと考えている人にとっても参考になるし。
メイ)この先キャリアを積む学生さんにもヒントがあるでしょうし、何十年もキャリアを積んで来られて、今後はどうしようかという人にも参考になると思います。
黒木)幅広く読めるということですね。
メイ)「会社を移られて、逆風に遭わないのですか?」とか、「白い目で見られないのですか?」とよく言われます。もちろん最初はそうなのですが、私がやろうとするのは自分が入社した会社、あるいは担当した商品を誰よりも愛するということです。誰にも負けないパッションでマーケティングや営業をするのです。そういう意味では、俳優さんも女優さんも、役になりきらないといけませんよね。同じようなことだと思います。そうでないと、どの職業もうまく行かないと思います。
黒木)すべては、作品を心から愛する。簡単そうですけれども、難しいことです。
メイ)自分に暗示をかけてでもやらないと、どんな仕事にも嫌な日や嫌な内容があります。それを乗り越えるためにも、「僕はこの商品、この会社が好きなんだ」と毎日言い聞かせなければ、何年も続かないと思います。
黒木)なるほど。新日本プロレスリング社長兼CEOになられるとき、プロレスを愛し過ぎて悩まれたという内容も書かれてありました。
メイ)子どものころからプロレスが好きなだけに、その会社に入るということは、問題や壁にぶち当たる可能性もあります。そのときに、嫌いになってしまったらどうしようという恐怖もありました。しかし、それ以上に新日本プロレスを次の段階に持って行きたいという夢があり、引き受けました。
ハロルド・ジョージ・メイ/新日本プロレスリング 社長兼CEO
■1963年、オランダ生まれ。8歳~13歳まで父親の仕事の関係で日本・横浜で生活。
■その後、インドネシアへ移り、大学からはアメリカへ。ニューヨーク大学修士課程修了。
■ハイネケン、ユニリーバ、サンスター、日本コカ・コーラ副社長、タカラトミー代表取締役社長を経て、2018年、新日本プロレス社長兼CEOに就任。
■タカラトミーでは業績をV字回復させ、在任中同社の株価を4倍近く上げた。新日本プロレスでは国内のみならず海外にも広くその存在を認知させ、2020年1月4日~5日には前代未聞の2日連続の東京ドーム大会を成功させた。
■マスコミ、経済界からも引っ張りだこの異色の経営者として知られ、日本語が堪能で明るくユーモアのある人柄でも知られている。
■2019年12月には時事通信社より『百戦錬磨:セルリアンブルーのプロ経営者』を出版。
番組情報
毎朝、さまざまなジャンルのプロフェッショナルをお迎えして、朝の活力になるお話をうかがっていく「あさナビ」。ナビゲーター:黒木瞳