黒木瞳がパーソナリティを務める番組「あさナビ」(ニッポン放送)に新日本プロレスリング社長兼CEOのハロルド・ジョージ・メイが出演。新日本プロレスの今後について語った。
黒木)今週のゲストは、新日本プロレスリング社長兼CEOのハロルド・ジョージ・メイさんです。さまざまな企業を経営されて来たメイ社長ですけれども、これからの日本はどのような企業が求められると思いますか?
メイ)よく言われることなのですが、日本は少子高齢傾向にあります。総務省のデータを見ても、今後、毎年1%ずつ日本の人口が減るのではないかという予想が出ています。つまり、どのサービスや商品をつくっている企業も外国を意識し始めないと、これからは大きく伸びないというのがまず第1だと思います。大切なのは自分の商品、自分のサービス、さらには日本企業である誇りを持つということです。日本には「謙虚さ」が美学としてありますが、海外で「謙虚さ」は通用しません。「自分の商品、サービスでこれ以上いいものはありません」というくらいの強い意志、プレゼンテーションをしないと、海外では通用しません。あとは英語力です。英語は国際語です。
黒木)海外を視野に入れて、伸ばして行くということでしょうか?
メイ)商品でもサービスでも、まだ眠っている財宝が日本にはたくさんあります。新日本プロレスもそういうところがあって、私も入社以来、それを世界に向ける作業をしています。
黒木)これまでメイ社長は、いろいろな会社の経営に携わっていらっしゃいます。新日本プロレス社長兼CEOに就任なさって1年半ということですが、自分のことはどのように分析していらっしゃいますか?
メイ)いま新日本プロレスは世界2位の団体で、海外でも多くの大会を展開し始めてはいますが、特に映像班やSNS担当のスタッフには英語力を身につけてもらわないとなりません。海外からの選手も招き入れて、また違うプロレスのやり方や技も見せて欲しいですし、その交渉も進めて行きます。動画配信をはじめとして、ゲームや出版など、新しいビジネスの柱もこれからは作って行こうと思っています。まだまだやることはたくさんあります。
黒木)本当にありますね。
メイ)それがプロレスの魅力です。私は国境を越えられる日本のスポーツは、プロレスくらいだと思います。
黒木)今年(2020年)はオリンピックイヤーでもありますしね。
メイ)非常に注目されますからね。富士山、寿司の次にプロレスというくらいまで、持って行きたいと思っています。
黒木)新日本プロレスは世界2位ということですが、1位はどちらなのですか?
メイ)アメリカの会社です。まだその差はとても大きいのですが、夢は見続けないと現実にはならないので、頑張って行きたいと思います。
黒木)それがメイ社長のいまの目標であり、夢でいらっしゃるのですね。
メイ)こういうところに限っては、謙虚になってはいけません。自信を持たないと。社長というのは、5年~10年先のことを見据えて「きょうやらなければならないことは何か」を考えるのが仕事です。このまま本当に5年~10年、極端なことを言えば20年先を見ると、日本の人口はもしかすると10~20%減ってしまうかも知れません。お客さんも20%減ってしまうかも知れない。いまのうちに海外に出向いて行けば、その差が埋められる可能性があります。そして、新日本プロレスの魅力を伝えることによって、世界の選手にも我々のリングに上がっていただき、より素晴らしいプロレスを提供できると、私は信じています。
ハロルド・ジョージ・メイ/新日本プロレスリング 社長兼CEO
■1963年、オランダ生まれ。8歳~13歳まで父親の仕事の関係で日本・横浜で生活。
■その後、インドネシアへ移り、大学からはアメリカへ。ニューヨーク大学修士課程修了。
■ハイネケン、ユニリーバ、サンスター、日本コカ・コーラ副社長、タカラトミー代表取締役社長を経て、2018年、新日本プロレス社長兼CEOに就任。
■タカラトミーでは業績をV字回復させ、在任中同社の株価を4倍近く上げた。新日本プロレスでは国内のみならず海外にも広くその存在を認知させ、2020年1月4日~5日には前代未聞の2日連続の東京ドーム大会を成功させた。
■マスコミ、経済界からも引っ張りだこの異色の経営者として知られ、日本語が堪能で明るくユーモアのある人柄でも知られている。
■2019年12月には時事通信社より『百戦錬磨:セルリアンブルーのプロ経営者』を出版。
番組情報
毎朝、さまざまなジャンルのプロフェッショナルをお迎えして、朝の活力になるお話をうかがっていく「あさナビ」。ナビゲーター:黒木瞳