4月8日（水）深夜、テレビ東京のプロデューサー・佐久間宣行がパーソナリティを務めるラジオ番組「佐久間宣行のオールナイトニッポン0(ZERO)」（ニッポン放送・毎週水曜27時～28時30分）に、“ヤバい世界のヤバい奴らのヤバい飯”を紹介する異色のグルメ番組「ハイパー ハードボイルド グルメリポート」（テレビ東京）のディレクターで知られる、上出遼平が生出演。同番組企画が誕生した経緯や、企画書に書いた内容、撮影秘話について語った。

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不定期で放送されているの「ハイパー ハードボイルド グルメリポート」は、「食うことすなわち生きること」を番組コンセプトに、西アフリカ・リベリア共和国に住む元少年兵や娼婦の晩御飯、アメリカのギャングの巣窟となっているエリアでの、極悪ギャング飯などを密着。決して一般の人が足を踏み入れない地に潜入し、そこの「飯」を通して、極限の世界で生きる人の生活や言葉、抗えない国の闇を伝えている。

そんな危険と隣り合わせの番組を立ち上げたのが上出だが、企画を思いついたきっかけや、周囲の反応、そして企画書には「自分ならば生きて帰ってくることができる」という宣言も書いていたと明かした。

佐久間：『ハイパー ハードボイルド グルメリポート』は、どういうきっかけで思いついたんですか？

上出：『世界ナゼそこに？日本人』という番組で、そもそもいろんな国に行っていたんですよ。日本人を紹介する番組なんですけど、その手前の10分ぐらいはディレクターがその国の面白い所を撮ってくる、というのがあって。

佐久間：本編の前振りね。

上出：はい。僕、それがもう楽しくてしょうがなくて。

佐久間：あはははは（笑）。

上出：結構ディレクターに裁量があったこともあって、スラム街とかおかしな集落へ勝手に行き始めたんですよ。

佐久間：日本人の頑張っている姿を追いかけなきゃいけないのに、スラム街に行っちゃったんでしょう？

上出：そうです。もうそっちが楽しくなっちゃって。これは言ったら怒られるかもしれないですけど、その日本人の密着は、途中からADがしてくれるみたいな。基本的な方針さえ決まれば、あとはとにかく密着してくれればいいから、って。で、僕がスラムを撮ってくる、ということをやって（笑）。

佐久間：それはね、言っちゃダメ（笑）。それさ、本編尺でいうと50分のうちの40分はADに密着させて、自分はスラム街の潜入ロケをやっていたんでしょう？

上出：そうです。使い尺は10分です。

佐久間：それを自分より上の演出家とかにプレビューで見せるわけじゃん？そのときは、プロデューサーとか演出はスラム街があるって分かってないわけじゃん。上出が撮ってきたハードボイルド前振りを見て、どういう空気になるの？

上出：『面白いね』みたいな。だから僕もいい気になっちゃって。『これで番組を作ったらいいんじゃないか？』って思いが生まれてきて。

佐久間：なるほど。褒められて褒められて、曲がった方向に行くタイプなのね？（笑）

上出：そうですね。先輩方の褒め間違いですね。

佐久間：上出が作るものが面白いっていう噂は聞いていて、『この企画、どう思います？ こういうのが制作で通るんですよ……』って言われたのが『ハイパー ハードボイルド グルメリポート』だった。それで、『これ面白いけど、企画書を書くのは簡単じゃん？ 行けるの？ 誰が、どういう風に行くの？』って聞いたら、『上出が1人で行くそうです』って（笑）

上出：そうですね。僕、『通った』って連絡が来たとき、やっぱり震えましたよね。企画書は1枚目が『今までの3～4人のロケクルーじゃ入れない所に、僕が1人なら入っていけるんです。僕は生きて帰ってくることができるんです』っていう宣言で。

佐久間：ちょっと待って？ 企画書に『僕は生きて帰ってくることができるんです』って、それってもう格闘術とかじゃん？（笑）

上出：そうですね（笑）。まあ、企画は通らないだろうと思ったんですけど。高橋弘樹さん（テレビ東京のプロデューサー）が……。

佐久間：高橋ね。本当に、面白くて変わったやつだからなぁ。『上出だったら生きて帰ってこれるのかぁ……。よし、GO！」ってなったんでしょ？（笑）

上出：どうかしてますよね（笑）

スラム街での取材が楽しくて仕方がなく、番組の企画につながったと語った上出。

「ハイパー ハードボイルド グルメリポート」を初めて見たときのことについて、佐久間が「俺は今、とんでもないものを……。これが流れるテレビってすごいな、って思った」と感想。また、番組を見終えた後にはまた別の感覚を感じるそうで「『何を見ているんだろうな？』っていう、そんな安っぽい言葉ではくくれないけど、やっぱりその30分の間に、“生きる”ということが全部あるみたいで。すごい番組だなと思ったよ」と上出に伝えると、うれしそうに「ありがとうございます」と感謝した。