9月解散が見送られるか~河井前法相夫妻の百日裁判で
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(7月9日放送)にジャーナリストの鈴木哲夫が出演。2019年の参議院選挙をめぐる選挙違反事件で、東京地検特捜部が河井前法相夫妻を起訴したニュースについて解説した。
河井前法相夫妻を公職選挙法違反で起訴~百日裁判で審議
東京地検特捜部は8日、河井克行前法務大臣と妻の案里参議院議員を、2019年7月の参議院選挙で地元広島の議員ら100人に合計2900万円余りを配ったとして、公職選挙法違反の罪で起訴した。2人は起訴から100日以内に判決を言い渡すよう努める「百日裁判」で審議され、有罪が確定すると失職となる。
飯田)本人はいずれも容疑を否認しているということです。百日裁判ですね。
鈴木)徹底して2人は戦うということなのでしょうね。百日裁判というのは、普通の裁判だと時間がかかりますが、公選法、選挙に関することなので、長々と時間がかかってしまうと、その間に解散があったり、任期が切れたりする可能性もあります。また、これは私の独特な表現ですが、政治道義的にみると、有権者が1票を投じ、その地域の代表……代理なのですが、国会で権力をチェックしてくれということで送り込む。そういう人が不在になるわけです。そうした民主主義、政治という政治道義的な観点からも、はやく判決を出しなさいという意味合いが百日裁判にはあると思います。今回の場合でポイントなのが、100日ということは、3ヵ月と10日少しということになりますよね?
判決が出る時期と10月総選挙の時期が重なる
飯田)そうですね。
鈴木)いまから3ヵ月と10日ほどを足すと、ちょうど10月中旬になります。現在、永田町で言われていることは、10月総選挙です。安倍さんが9月に解散をして、10月に解散総選挙を考えているのではないかと言われています。そうなると、ちょうど判決の時期と重なります。
飯田)重なりますね。
鈴木)いまから裁判ですので、有罪か無罪かはわかりませんが、最悪の場合は有罪になる。そうなると、自民党としては「2人は自民党を離党しているのだし、もう関係ない」では済まなくなります。選挙にも極めて影響が出て来ることを考えますと、この百日裁判の時期と、解散総選挙のタイミングがリンクして来るということです。今回の裁判は自民党、安倍さんにとっては、少しひっかかる厄介な感じになります。
解散を打てなくなる可能性も
飯田)ことと次第によっては、解散を打とうにも打てなくなる可能性もあります。どうでしょうか?
鈴木)そうですね。広島の河井被告の選挙区をどうするのかということだけではなく、そこが野党の攻めどころになります。政治と金の問題、1億5000万円の原資について説明していない、そうしたことが選挙に影響します。そこは避けよう、ということになる可能性もありますね。
現金を受け取った議員が立件されない理由~事件と共に選挙土壌を清潔にする必要も
飯田)一方で、現金を受け取った側の県議、市議、市町村長、首長たち。
鈴木)ざっくり100人くらいですかね?
飯田)刑事処分を見送られたということになっています。
鈴木)公選法において司法取引はありませんが、100人にも上るということになると、1つ1つを立件して行くことは大変な作業で、百日裁判のレベルではなくなってしまいます。また、「お金をもらいました」という自供や証拠を揃えるかわりに、「あなたは見送る」という実質的な司法取引で捜査を進めたという側面もあるのでしょう。受け取った側は立件されていませんが、受け取った方にも責任はあります。その地域の選挙土壌、そういう問題は残っています。それから辞職した首長さん、議員もいます。そのようなところで選挙が行われるということになると、この問題は事件そのものと合わせて、選挙土壌のようなものをもう一度清潔にする必要があります。関わっている政治家たちが、襟を正して再出発するための透明性を地域で行っていただきたい。そうしなければ、地域の有権者はたまったものではありません。同時に行うことを忘れてはいけません。
飯田)各紙の社会面には、広島県連の自民党の副会長さんがコメントを出していますが、会長は出さないのですかね?
鈴木)その辺りが、地域の政治的な対立なのです。そうしたものが、こういうところに色濃く出て来るのです。それらを「ご破算にして出直しましょう」という空気を、自民党と広島全体でつくらなければなりません。これも行わなければならないこととして残っていると思います。
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