地政学・戦略学者の奥山真司が6月20日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。天皇、皇后両陛下のインドネシアご訪問について解説した。
天皇、皇后両陛下が即位後初となる外国への親善訪問 ~人口規模2億人、世界最大のイスラム教国であるインドネシア
天皇、皇后両陛下は、6月17日から国賓としてインドネシアを訪問。両陛下が国際親善を目的として外国を訪問されるのは即位後初めて。
飯田)コロナ禍もあったため、国賓として、また国際親善を目的としたご訪問は初めてとなります。
奥山)インドネシアを訪れたことは、非常に戦略的だと思います。インド太平洋という大きな枠組みの延長線上に見えてくるのは、もちろんインドも大切ですが、その間に位置しているのがマレーシアやインドネシアです。
飯田)インド太平洋の枠組みの延長線上にあるのが。
奥山)インドネシアは人口規模が約2億人です。しかも、我々は忘れがちですが、インドネシアはイスラム教徒の人口数が世界一なのです。
飯田)世界最大のイスラム教国ですね。
奥山)約2億人の人口がいて、そのうち約1億8000万人がイスラム教徒です。インド太平洋の枠組みのなかでも、ぜひとも味方につけておきたい国へ、特に好まれる皇室の方々に行っていただけたのは、日本にとっても素晴らしいことだと思います。
国際政治において皇室を持っていることで大きな恩恵を受けている日本
奥山)外交的にも、皇室があることは我々にとって素晴らしいことなのです。
飯田)皇室があるということは。
奥山)チャールズ国王の戴冠式などを見ていても、中世のやり方ではありますが、格式や伝統は外交面でも活きています。日本は最古の王室を持っているのです。
飯田)皇室という。
奥山)フランスは、フランス革命があったことで王室を断絶させているため、ロイヤルファミリーがありません。
飯田)元首は大統領ですね。
奥山)フランスは現在、持っていないがゆえに、王室に注目したがるのです。ロイヤルファミリーを持っていないことに対し、少し引け目を感じている部分があります。国際政治において、我々は皇室を持っていることで、極めて大きな恩恵を受けているのではないでしょうか。
政府専用機に乗られる天皇、皇后両陛下のスケジュールを宮内庁がすべて管理
奥山)これは航空自衛隊の知り合いから聞いたのですが、皇室ですから今回、政府専用機を使われました。天皇、皇后両陛下が乗られるのですが、宮内庁がすべてのスケジュールを決めています。分刻みで行われているそうです。
飯田)補足すると、政府専用機を管理しているのは、実は航空自衛隊なのですよね。千歳に基地があるので、基本的にはそこから羽田に行き、両陛下をお乗せする。
奥山)そうです。
飯田)そのスケジュール管理がすごいのですね。
奥山)素晴らしいのだそうです。すべて決まっているのですが、その通りにいらっしゃる。「何時何分に陛下がここにお座りになられます」とあると、本当にその時間に来られて、座られるそうです。
飯田)時間通りに。
奥山)航空自衛隊の方々も、充実して業務に従事しているということです。
天皇、皇后両陛下がお乗りになる特別機のコールサイン
奥山)飛行機には「コールサイン」がありますよね。アメリカであれば「エアフォースワン」など。
飯田)大統領が乗ると、他の航空機と識別するために「エアフォースワン」というコールサインになります。
奥山)しかし天皇陛下がお乗りになると、コールサインが「エンペラーワン」のようになるそうです。「皇帝」、「帝王」ですね。
飯田)天皇陛下を英訳する場合は「エンペラー」だから、コールサインも「エンペラーワン」になるのですね。
奥山)「ワン」となるのかはわかりませんが、とにかく「エンペラー」を使うらしいです。
飯田)エンペラーを使う。
奥山)海外で「エンペラー」が来るとなると、失礼をしてはいけないので、航空管制の方が空路をすべて空けてくれるのだそうです。首相の場合は、空の混んでいるところで「少し待機してください」と指示するらしいのですが、エンペラーが来られるとすべての空路を空けて、最優先で降りさせてくれるらしいです。
飯田)最優先で。
奥山)そのため、スケジュール管理が完璧にできる。格としては、「エンペラー」は「キング」よりも上になります。「皇帝」は「王様」よりも上ですから。
飯田)プロトコール上は。
奥山)最優先せざるを得ない。「法王(ポープ)」とも格は同じくらいになります。
飯田)なるほど。
奥山)向こうは組織でいろいろと代替わりをしていますが、こちらはずっと一家族です。
飯田)万世一系ですからね。
奥山)とても伝統的なものを持っていると思います。
飯田)しかも、それが海外でも認められていますものね。
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