日本人を国際機関のトップにする方法~これだけの危機感と覚悟が必要

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(9月11日放送)に外交評論家・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。自らの経験から、日本人を国際機関のトップにする方法について解説した。

日本人を国際機関のトップにする方法~これだけの危機感と覚悟が必要

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」

日本人を国際機関のトップにする方法を考える

自民党の甘利税制調査会長が会長を務める議員連盟は8月27日の会合のなかで、国際機関のトップに中国の出身者やその影響下にある人物が就任し、有利な意思決定を進めているとして、それに対抗するための提言をまとめた。

飯田)中国は、いろいろなポストを漁っているとも言われています。

宮家)この「ルール形成戦略議員連盟」を甘利さんがやっているのですが、非常にいい仕事をしていると思います。国会議員は法律をつくらなくてはいけないのです。役人が法律をつくるのではなく、法律は国会議員にしかつくれないのですから。こういう議連で議論をして、それが政策になって行くというのは、本来あるべき姿なのです。8月27日に、国際機関におけるガバナンス・選挙の実情などについての会合があって、実は私も呼ばれて出席しました。

日本人を国際機関のトップにする方法~これだけの危機感と覚悟が必要

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」

国際機関での外交~事務局長、議長を獲る。それがダメだったら主要国グループに入る

宮家)日本がどうするべきかという話ですが、国際機関での外交というのは、とにかく事務局長を獲る。それがダメなら議長を獲る。それがダメだったら、主要国グループに入る。そうやって多数化工作をするのです。これが私の経験から学んだ基本中の基本です。

日本人を国際機関のトップにする方法~これだけの危機感と覚悟が必要

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」

世界に通用する人材を長期的、組織的に養成する~永遠にやり続ける危機感が必要

宮家)では、日本はどうしたらいいのか。これまでもいろいろな国際機関に立候補して勝っているケースもあるし、勝てなかったケースもあるのですが、いちばん大事なことは、世界に通用する人材、プレゼン能力のある人を育てるということです。これらの人材をきちんと国内で長期的に、組織的に養成する必要があります。すでに各国ではやっています。それに対抗するにはどうしたらいいのか、ということです。

飯田)なるほど。

宮家)この問題は新しい問題ではなく、何十年も議論されていることです。まず、日本人は国連の職員のなり手がない。あれだけお金を払っていて枠もあるのに、日本人がいない。昔、戦争直後は、日本にも世界に出て行かなくてはいけないという危機感がありました。奨学金もありましたが、緒方貞子さんをはじめ、どんどんアメリカやヨーロッパに出て行ったわけです。ところが、1980年代にはその危機感が弛緩してしまって、若い人でも外国ではなく日本でいいと。最近、また少し状況は変わっているのだけれども、当時は国内志向になって行ったのです。しかも、思いつきで「海外に通用する人を育てなくてはいけない」と議論をしても、3年経ったらもう忘れてしまう。これではダメなのです。日本がこれを「永久にやり続けなくてはいけない」という危機感を持たなくてはなりません。

日本人を国際機関のトップにする方法~これだけの危機感と覚悟が必要

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」

送り込んだ人が選挙に負けても骨を拾う覚悟で支援する

宮家)もう1つ大事なことは、いろいろな人から聞いてわかったことなのですが、海外に人を送り込む場合、送り込む方はいいのですけれど、送り込まれる方のことも考えるべきです。送り込まれる人は、これまで日本国内である程度の仕事をして来て、国際的なことも知っている。しかし、これから選挙をやらなくてはいけない。世界中を回り、場合によっては、各国首脳と会って協力を求めるわけです。それで選挙に勝てばいいですよ。でも、負けたらどうするのか。負けて野垂れ死ぬようになってしまったら、誰も立候補なんてしませんよ。

飯田)怖くて手を挙げられませんよね。

宮家)ですから、そのためにはきちんと国全体が候補者を支援し、最後は骨を拾うというくらいの覚悟をしないと成立しません。各国はそれをやっているのです。日本は熱しやすいけれど冷めやすいのが問題なので、もっと長期的に考えてもらわなくてはなりません。

日本人を国際機関のトップにする方法~これだけの危機感と覚悟が必要

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」

閣僚経験のある若い女性が適任

宮家)とても言い方が難しいのですが、候補者については同じレベルで同じ能力だとすれば、若い方がいいのです。そして、女性であることも大きなポイントになります。男か女かと言ったら女性の方が勝つ可能性が強いです。閣僚経験者かどうかということも、大きなポイントになると思います。でも日本ではこういう国際機関の事務局長の選挙に出るような人は閣僚になれないのですよ。大臣病の人が何十人もいるなかで、「なぜあの医者の変な奴が大臣になるのだ」と言う人が必ずいるのです。政治は嫉妬ですからね。

飯田)確かに組閣の段階で、すでに動いていますものね。

宮家)しかし、本当にその人を数年後に立候補させようと思うのなら、半年でもいいから大臣にしてしまえばいい、と言うくらいの覚悟が必要なのです。そうすれば勝利の可能性が1ランク上がるのですから。

飯田)それくらい違うのですか?

宮家)違います。

飯田)国連の事務総長くらいのレベルになると、いまのグテレスさんもポルトガルの首相までやったということです。そこまで上のレベルだと政治が絡むのもわかるのですが、それぞれの国際機関のトップもそうなのでしょうか?

宮家)国際機関のトップを獲ろうという競争が各国間で強くなれば、当然ハクを付けなくてはいけない。そうすると差別化するためにも、閣僚経験というのは今後、極めて大きな要素になると思います。

番組情報

飯田浩司のOK! Cozy up!

FM93/AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00

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