ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(10月15日放送)にジャーナリストの鈴木哲夫が出演。日本学術会議の問題について解説した。
自民党が学術会議の改革議論開始~野党は論点すり替えと反発
自民党は10月14日、日本学術会議の在り方を検証するプロジェクトチームの初会合を開催した。会議の形態や年間10億円の国費投入の妥当性などを議論し、年内をめどに意見をまとめ2021年度予算案への反映を目指す方針だ。
飯田)2021年度予算案というと、来年(2021年)1月から国会審議ということです。予算案をつくるのはもっと前になります。
鈴木)12月です。1~2ヵ月で結論を出すということでしょうかね。
飯田)この問題については、いろいろなところから意見が出て来て百家争鳴のようになっていますけれども。
最初に任命問題が出たのは2015年の安倍政権
鈴木)そもそもこの任命の問題が最初に出て来たのは、安倍さんの時代です。2015年くらいに出て来た話です。
飯田)5年前。
鈴木)当時、菅総理は官房長官でしたから、共有されています。これまでいろいろ出ていますが、その経緯にはいろいろあります。例えば、名簿プラスアルファで105人だけれども、110人出せと言ってみたり。
飯田)前回はそうだったということですね。
論点ではなく「順番のすり替え」
鈴木)最終的には、最初に推薦した105人になったから、それで「終わりよければ、すべてよし」というような感じになっています。しかし、その時点で、「この問題はみんなで一緒に考えましょう」と、あそこでオープンにしてもよかったですね。官邸のなかで、この任命をめぐって揉めていたけれど、蓋をしながらやって来た。それがここで「ボン」と、一気に表に出たということでしょう。説明責任は必要なのですが、それは野党の言う論点のすり替えではなく、「順番のすり替え」だと思います。まずは難しいところですが、その説明をして、何かしら菅さんのメッセージを出すことによって決着させる。そしてその次の段階の「では学術会議は何なのだろう」ということに進めるべきだと思います。
飯田)在り方の問題。
鈴木)学術会議について、その発端は素晴らしいことだと思います。戦争に科学者が加担したのはどうなのだと。その反省から、科学者の権威や学問の自由を守る。政府に対しても平和という観点からものを言うべきである。それで、労働組合のような組織をみんなでつくろうという、その発端は正しいと思います。
政府が運営費を出して、「政府批判をしてもかまわない」という懐の広さ
鈴木)海外で学術会議のような組織を見ると、非営利団体が多いのです。しかし、日本はそれに政府が金を出しています。そこで公費を使うということの問題点という見方もあるけれど、逆に言えば、政府が金を出しているにもかかわらず、「政府批判をしてもらってもかまわない」ということなのです。こんなに懐の広い話はありません。これは海外に誇れることだと思います。
日本の学術研究費は圧倒的に少ない~研究費についても議論するべき
鈴木)それと、もう1つ、改革ということから学術会議について言うのであれば、考え直すべきは、日本の学術研究費です。圧倒的に少ないわけです。今回も学術会議に10億円云々と言っているけれども、私が取材している大学の先生たちは皆さん、「研究は公費でないとできない」と言います。民間が5年~10年経って、役に立つかどうかわからないことに金を出し続けることは、難しいですよね。改革するならば、そこのところも一緒にして議論して欲しいと思います。
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