香港活動家が米総領事館に駆け込む~「拒絶された」のは事実か
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(10月28日に放送)に数量政策学者の高橋洋一が出演。香港の民主活動家が香港のアメリカ総領事館に駆け込んだというニュースについて解説した。
香港の民主活動家4人がアメリカ総領事館に駆け込む
香港のサウスチャイナ・モーニング・ポスト電子版は10月27日、民主活動家4人が政治亡命を求めるため、香港のアメリカ総領事館に駆け込んだと伝えた。4人は亡命を拒絶されたとしている。
飯田)この一報は入っていますが、事実関係は確認できないそうです。特に総領事館側からは、話せることは一切ないのだということです。
高橋)本当に亡命を拒絶したのかどうかもわからないのですが、そこがいちばんのポイントですよね。
飯田)このことについては、観測記事が出ているだけなのですが、申請を受け入れなかった背景には、「対立を激化させたくなかった」ということを解説する記事もあります。
なぜイギリスではなくアメリカの総領事館に駆け込んだのか
高橋)亡命するのであれば、アメリカに行く必要もないと思います。イギリスもあります。
飯田)もともとイギリス領ですからね。
高橋)イギリスの方が受け入れてくれるのは明らかなのですから。
飯田)香港には、イギリスの海外市民パスポートを持っている人もかなりいますよね。
高橋)わざわざアメリカに行くというのがよくわかりません。本当の亡命ということならば、いちばん確実なイギリスを選んでも不思議ではありません。
飯田)こうしたことが起こると、また香港は弾圧されているのかなと思いますよね。
厳しくなった香港ビジネス~深圳で十分だと判断した中国
高橋)香港がだんだん中国になっているということでしょう。菅さんが所信表明で言っていましたが、香港の国際金融センターの地位はどんどんと落ちます。そうなると、日本が活躍する余地が出て来るとは思います。香港に投資している人はたくさんいるのですが、こういう話がたくさん出てしまうと、苦しくなりますよね。香港ビジネスはもう無理だなという感じはします。
飯田)中国に向かうゲートウェイとして、いままでは使って来た部分がありますが。
高橋)香港ドルは米ドルペッグ制度によって米ドルに連動しています。そういう意味でも、国際金融センターとして大きかったのです。深圳はビジネスとしては大したことがなかったのですが、いまは深圳のほうが大きいですよね。中国から見ると深圳で十分だと思ったのかも知れません。
飯田)珠江デルタという言い方をしますが、深圳があってマカオ、香港、広州があり、あの辺り一帯で金融センター化の開発をして行く。これは香港を地盤沈下させるために意図的に行って来たということですね。
香港以外では国際金融センターは成り立たない
高橋)ただ、中国本土で国際金融センターはまず無理ですよね。ドルがうまく使えませんし、資本取引を完全に自由にはできませんので、国際金融センターにはなりません。深圳は昔は何もなかったところなのですが、ベンチャー企業が増えて、大きな都市もできました。1000万人くらいの人がいます。ですので、深圳はいま金融以外のビジネスは大きいと思います。その部分はそこそこのところまで行くとは思いますが、香港の役目は、ゲートウェイで国際金融センターというところが特色だったので、それは中国の他の場所で代替するのは無理だと思います。
いまの中国で内需拡大は難しい
飯田)折しも中国で「5中全会」が開かれていて、これは共産党の大きな会議ですね。そこで経済については、とにかく内需を進行して行くのだと。双循環。2つの循環で、特に内需を重視するということですが、これはやって行けるのでしょうか?
高橋)そのような時期ではないと思います。いままでも消費が少な過ぎて、中国の経済を見ると、投資で水増しをしているようなGDPです。ある程度の消費が拡大して「1人頭1万ドルという壁を越えなければ発展しない」というのが社会科学の理論なのですが、そこまで行っていません。そうなると、これから内需拡大はかなり大変です。内需拡大をするためには、国内層がしっかりしなければなりません。ある程度の自由を認めなければ、そうしたことは難しいです。
飯田)一方で、投資で水増しをさせるためには、外からお金が入って来なければならない。そこのゲートウェイが香港だった。
高橋)これはもう無理でしょうね。おそらく香港ドルも人民元の方に吸収されるのではないでしょうか。
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