須田慎一郎~就任式に米大統領が決まっていない可能性も
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(11月2日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。11月3日に投票が行われるアメリカ大統領選について解説した。
アメリカ大統領選、最後の週末~両陣営が激戦州で支持を訴える
アメリカ大統領選が11月3日に迫っている。両候補の陣営とも勝利に向け、総力を挙げている。10月31日、民主党のバイデン前副大統領は、オバマ前大統領と対面の選挙イベントに初めてそろい踏みで参加。一方、共和党のトランプ大統領は、11月1日と2日、激戦州での選挙集会を1日に5回ずつ開いている。
「バイデンリード」の世論調査は信用できない
飯田)世論調査では「バイデンリード」と言われていますが、これはどこまで信用していいのですか?
須田)「ほとんど信用できない」という状況になっています。世論調査を実施して、その結果の数字を改ざんするということは、さすがにどのメディアもどの世論調査会社もやっていませんが、サンプルが恣意的に取られています。バイデン有利になるような形でサンプルを取っているケースが多いようです。友人に「シカゴ・トリビューン」という新聞社の記者がいます。イリノイ州、シカゴを本拠地にする新聞社で、オバマ前大統領もシカゴの弁護士事務所から大統領選挙に出馬しましたが、民主党の牙城なのです。そのシカゴ・トリビューンの記者に聞いてみますと、相当、バイデン有利になるようにサンプル調査を取っているということです。この新聞社だけではなくて、さまざまなところが同様の形を取っています。
飯田)どうしてバイデンさんがメディアに持ち上げられるのですか?
須田)トランプさんが敵に回したのはリベラル左派であると同時に、メディアなのです。「親トランプメディア」というのは「FOXニュース」くらいしか見当たらなくて、3大ネットワーク、CNNなどは完全に激しい「反トランプ」になっています。
トランプ氏の追い上げに危機感を持つバイデン陣営
飯田)「激戦州でどうなるか」が1つポイントとして言われています。フロリダ、ペンシルベニア、ジョージアなどが注目されていますが、現時点では、この激戦州の振れ方もまだわからないということですか?
須田)激しくトランプ大統領が追い上げているという状況ですから、バイデン陣営はかなり危機感を持っているのではないでしょうか。ここに来て、本来は禁じ手とされる、直近の大統領経験者であるオバマ氏を選挙戦に投入し、バイデン氏とのツーショットまで行いました。大統領経験者というのは、アメリカにおいては別格で、党派を超えた存在です。ある種のカリスマ性を持っているということもあり、外交特使などで活躍される方も少なくありません。
飯田)「オバマさんの人気にすがりたい」ということですかね。奥の院のようなところにいて、「現実の政治には口出ししたらダメだよ」ということが大統領経験者の不文律だったわけですが。
須田)大所高所からですね。
飯田)そのオバマさんまで引っ張り出すということは、民主党も相当焦っているということですか?
政権末期に「失望」のレッテルを貼られたオバマ元大統領の投入はいかがなものか
須田)ただ、オバマさんをリアルな政治の世界に投入することが、果たして功を奏するのかどうか……私は疑問を持ちます。政権末期にオバマさんに対する評価がどのように出て来たのかというと、「失望」なのです。大きく期待したのに、それが何も実現できずに終わってしまった。アメリカ国内では、オバマ元大統領の顔を缶に描いた「ディスアポイント・ミント」というミントまで売りに出されています。
飯田)ダジャレですね。そんなものが売りに出されてしまうくらい揶揄されてしまった。
須田)「期待外れだった」と。期待外れというのはオバマさんの政権末期のイメージなのです。「再び期待外れを狙うのか」というような笑い話まで出て来ています。
飯田)なるほど。そうなると、「4年前の再来か」というようなことになるのですか?
須田)トランプさんには、「トランプさんのことが嫌い」という岩盤的な嫌悪層がいます。その岩盤層を考えると、圧勝はできない。無党派層は振れますから。そこに頼らなくてはならないトランプさんの弱さ。すぐに結果は出ないかも知れません。
飯田)そこへ来て、共同から記事が来たのですが、「トランプ陣営が3日に勝利宣言も」という見出しがついています。「開票が充分に進んでいない段階でも、一方的に勝利宣言をする方針と複数の側近に告げた」とニュースサイトの「アクシオス」が1日に報じたということです。結果がまだそれほど出ていない段階でも、選挙区で「俺は勝ったんだ」ということをアピールするということですか。
1月20日の就任式に決まっていない可能性も
飯田)結局、決着はどこまで行くのですか?
須田)郵便投票の結果に時間がかかるので、3日に全部は出ないでしょう。そして、その郵便投票の有効性をめぐって、かなり高い確率で裁判になると思います。そこがキャスティングボートを握るようになり、トランプさんが負けるようなことになると、間違いなく裁判になるでしょう。そうなると、最高裁の判断が下されるのは、場合によっては来年(2021年)になってしまう可能性もあります。
飯田)1月20日の就任式に決まっているかどうか、みたいなことになりますか?
須田)それが決まらないと、今度は法律上、「下院議長が大統領代行」ということがあります。そうなるとアメリカは大混乱に陥るのではないかと思います。
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