アメリカ大統領選~これだけあるバイデン氏の弱点
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(8月17日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。11月のアメリカ大統領選挙について解説した。
アメリカ民主党の党大会が開幕
11月のアメリカ大統領選挙で政権奪還を目指すアメリカ民主党の全国大会が、8月17日~20日までの日程で開催される。主な会場は中西部ウィスコンシン州ミルウォーキーだが、新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえ、正式に党候補指名を受けるジョー・バイデン前副大統領をはじめ、各州の代議員らは現地入りせずに遠隔参加し、事実上のバーチャル開催となっている。
飯田)初日の17日は、サンダース上院議員の演説ということですが、どこが注目ですか?
対中政策について明確な方向を出さざるを得ない状況のバイデン氏
須田)もちろん、バイデンさんが指名を受けることは100%間違いないのですが、注目したいのは対中政策、外交政策です。どのような言及が行われるのか。3日のウォール・ストリート・ジャーナルで、「バイデン氏の対中政策は極めて曖昧だ」という、かなり大きな記事が掲載されました。中国政策が曖昧であり、弱腰ではないかというネガティブな内容で、ウォール・ストリート・ジャーナルだけでなく、国民の一般的な受け止め方でもあるようです。トランプさんと闘う本選挙に備えて、この辺りの明確な方向性を打ち出さざるを得ない状況になって来ているのではないでしょうか。
テレビ討論会に消極的なバイデン陣営
さらにここで指名を受けると、次はテレビ討論会があります。これがアメリカの大統領選挙に大きな影響を与えると言われています。3回くらい予定されているのですが、バイデン陣営としては、テレビ討論会については消極的で、できたら回避したいと思っています。間違いなく問題発言をするでしょうしね。テレビ討論会は、9月末にまず第1回目が開かれる予定になっているのですが、トランプさんが手ぐすねを引いて待っているのは対中政策です。トランプさんとしては、大統領選挙を意識している側面もあれば、アメリカの安全保障上の政策を踏まえた行動もあるのだけれども、対中政策は強硬的なところで臨んで来ています。
「TikTokから子供たちを守れ」というムードが起き、国民からシンパシーを持たれるトランプ氏
須田)直近では、TikTokの禁止という方針を打ち出しました。これまでのアメリカ大統領選挙では、外交はあまり影響を及ぼさないのが常識で、内向きになることが多かったのですが、TikTok問題は、逆に内政問題に直結して来るのです。
飯田)外交問題ではあるけれども、内政問題にも直結して来る。
須田)いまアメリカ国内の空気感は、「TikTokから子供たちを守れ」というムードが出ています。生体認証データなどの個人情報が、TikTokから中国政府に漏れているということが、徐々に明らかになっています。アメリカ議会の上院では、政府関係者のTikTok使用禁止法案が審議されていて、議会を間違いなく通過するだろうと言われているのですが、その公聴会で驚くべきことが明らかになったのです。TikTokというのは、中国版と国際版の2本立てなのですが、中国版だけではなく、アメリカで1億人ほどのユーザーが使っている国際版においても、生体認証データを中心とする個人情報が中国政府に提供されているということです。これはアメリカ国内で大きく報道され、自分たちの子供の情報が漏れているということで、激しい反応が起こっています。その点で言うと、トランプさんのやっていることは、国民にシンパシーを持たれるところがある。
中国から便宜供与を受けているという疑惑のあるバイデン氏の息子
須田)それに対して、バイデンさんはどうなのかということです。
飯田)前政権の最高幹部の1人で、中国に対してどうだったかと言うと、オバマ政権の8年間、末期の方は中途半端にやろうとはしていたけれども、基本的には中国に対して融和的でしたよね。
須田)議会は強硬派であるにも関わらず、さまざまな法案について否定的だったということが1点。もう1つは、やはりバイデン陣営は札付きの息子さんの問題があります。
飯田)ハンター・バイデンさん。
須田)中国からかなりの便宜供与を受けているのです。「息子は息子だ」と区別することができるのかどうか。
飯田)ウクライナでも問題を抱えていましたよね。それ以上ですか?
攻撃や批判に弱いバイデン氏~テレビ討論会でその側面が出かねない
須田)それ以上です。この問題、トランプ陣営はかなり詳細にデータ情報を持っていますから、それがテレビ討論会でどういう影響を及ぼすのか。そして、バイデンさんは攻撃や批判に対しては脆弱です。そのような側面がテレビ討論会で出て来たときに、疑惑そのものではなく、「この人は大統領としてやって行けるのか」という資質の問題になってしまいます。
飯田)アメリカ軍の最高司令官を務め、世界のリーダーになる人がそれでいいのか、ということになりますものね。
須田)その辺りにトランプさんは集中して行く方向です。それでバイデン陣営からは、テレビ討論会の回避論が出ているのです。
世論調査での“バイデン氏有利”の実情~潜在的にいる“隠れトランプ派”
飯田)一方で、世論調査ではバイデンさんが有利だと日本では報じられていますが、どうですか?
須田)これには2つポイントがあって、1つは大部分が反トランプメディアの世論調査です。聞き方の問題もありますし、それを額面通り受け取っていいのかどうかということ。2点目としては、トランプさんには隠れトランプ派が多いのです。
飯田)4年前も言われていましたが、未だに多いですね。
須田)世論調査では「バイデンさん、民主党支持です」と言っておきながら、トランプさんに投票する人が潜在的にいるのです。トランプさんが有利とは言いませんが、蓋を開けてみないと結果はよくわからない、というのが実態ではないかと思います。
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