ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(1月18日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。1月17日に開催された北朝鮮の最高人民会議について解説した。
北朝鮮で最高人民会議開催
北朝鮮は1月17日、国会に当たるとされる最高人民会議を開催し、内閣のメンバーを選出。朝鮮労働党の党大会で定めた経済の5ヵ年計画を実行に移すため、法律や予算などを採択した。国家主席に就任する観測もあった金正恩総書記は出席せず閉会している。
飯田)報道では国会に当たるとされていますけれども、基本的に出て来たものがそのまま通るというもので、日本の国会とは程遠いというところですが。
経済的にも安全保障上も厳しい状況にある北朝鮮
須田)党大会の方が重要視されるのですが、そういう意味もあり、金正恩氏は出席しなかったのだと思いますけれど、出席しなかったことにも、「何か動きがあるのかな」という感じがしなくもないです。コロナの影響もあって北朝鮮の経済は最悪です。そして5ヵ年計画がまったく達成できなかったという状況もあります。国連の経済制裁を中心とする一連の制裁に対して苦しい状況に置かれている上に、コロナ問題で国境地帯を閉めてしまいましたからね。不作の影響、水害の影響も大きいようです。
飯田)なるほど。
須田)今年(2021年)の正月は、金正恩氏からおそらく支配階級のみだと思いますが、国民に年賀状まで送って言葉をかけるという異例の対応をしています。相当追い詰められていることは間違いない。今後、アメリカのバイデン新政権とどう向き合って行くのかというところですが、アメリカサイドの動きはまだ見えていません。
飯田)党大会をやって、総書記になり、軍事パレードをやるなど、ここのところいろいろな動きを見せていますものね。
須田)妹の与正氏が降格処分になった。失脚ではなく、降格であって、副部長のポストには就いています。そうは言っても、責任を一定程度負わせなければ収まりがつかなかった。金王朝ファミリーに対して責任を負わせたということは、経済的にも、安全保障上でも大きなマイナス面があったのだと思います。
総書記に就任~父親の威光をバックに国内の体制を固める
飯田)金正恩氏が総書記に就任しましたが、お父さんの金正日氏のポストでした。それは、権力基盤が固まったから就任したという説と、親の威光を背負わないと統治できない状況になって来て、肩書きに使ったという説と両方ありますが、どちらですか?
須田)間違いなく後者でしょうね。非常に危機的な状況を迎えていて、ここで求心力を高めなければ、カオス状態に陥ってしまいます。ここは締め付けるために、あえてこのポストに就任したということだと思います。
飯田)王朝の正統なる後継者であるということですか?
須田)父親、そしておじいさんの威光をバックに国内の体制を固めて行こうということだと思います。
飯田)今回は就任しませんでしたが、国家主席に就任するのではないかという観測などもありました。これもやはりおじいさんの威光なのですか?
須田)もちろんそうです。しかし、このカードを切ってしまうと何もなくなってしまうので、ここは残しておくのでしょう。
深夜の軍事パレードはアメリカを意識したもの
須田)14日に深夜の軍事パレードを行いました。このパレードをいち早く報じた韓国に対して相当激しい怒りを示したということもありますし、SLBMがそこに登場したということで、やはりアメリカの今後の出方を強く牽制して、意識していることは間違いないと思います。
飯田)バイデン氏就任のタイミングでミサイルを撃つのではないかなど、いろいろなことを言われていますものね。
須田)北朝鮮としては、「金正恩・トランプ」の個人的な関係で問題解決に持って行こうという状況があった。これはアメリカにとっても、歴史上初めての北朝鮮トップとの会談ということで大きな遺産になったのですが、それを使えませんので、大きな焦りがあるのだと思います。
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