自ら進んで罠にはまってしまった総務省の大失敗~菅総理長男接待問題
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ニッポン放送「新行市佳のOK! Cozy up!」(2月22日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。放送関連会社「東北新社」に勤める菅総理の長男から総務省の幹部4人が接待を受けていた問題について解説した。
総務省幹部更迭
放送関連会社「東北新社」に勤める菅総理の長男から総務省の幹部4人が接待を受けていた問題で、2月19日、秋本情報流通行政局長と湯本官房審議官の2人が異動となり、事実上の更迭となった。秋本氏は19日の衆議院予算委員会で、長男が国家公務員倫理規定上、接待を受けることが禁じられている利害関係者に該当すると認めた。
新行)総務省は22日、衆議院予算委員会に調査結果を示して、他に接待を受けていた2人も2月に処分する方針だということです。
接待を受けたことを認め、早々に処分を下しておけば何の問題もなかった~「放送業界全般の話題が出た記憶はない」と言ってしまったことが最大のミス
須田)総務省の対応がまったくなっていないのです。最初からこれは大失敗だと言えるのではないかと思います。菅総理の息子さんであるかどうかは別として、この「東北新社」というBS放送を運営している会社の社員と会食をすることは、国家公務員の倫理規定に抵触してしまうのです。これは会食だけでなく、ゴルフをする、また視察旅行を除いて一緒に観光旅行に行くことについては禁じられているのです。ただゴルフや旅行と違い、会食というのは、もう少し軽めの見方がされています。ゴルフや旅行は割り勘でもダメなのですが、会食に関して言うと「折半であればOK」という規定になっています。しかし会食で割り勘ということはあり得ないでしょうから、ご馳走になってしまったのでしょう。だとしたら、そこのところを認めて、これは違反しているのだから、早々に処分を下しておけば何の問題もなかったのです。疑われるのは、その会食の場で、何かの働きかけやお願いごとをされたのかどうか。贈収賄的な動きがあったのかどうかが、問題とされているところです。
新行)行政が歪められたのではないかというところですよね。
須田)その点についての省内調査をきちんとして、まず事実関係を把握すること。そしてそれを踏まえた上で、こういう会食ですから、「仕事の話は出たけれども、何か頼みごとをされたり、働きかけがあったということは一切ありませんでした」と、国会答弁を含めて説明しておけばよかったのです。ところが、「業務に関する話は一切ありません」と、「放送業界全般の話題が出た記憶はない」と言いきってしまったわけです。これが最大のミスですよ。そんなはずがないではないですか。なぜ放送会社の人間と会っているのに、最初から最後まで放送の話が出ないのだと。逆にそのほうがおかしいですよ。世間一般の常識から考えて、普通だったら仕事がらみの話も出ます。
自ら進んで罠にはまってしまった総務省~次に出て来た音声データ
須田)その点は認めて、「出たけれども、何か法に触れるような働きかけについてはなかった」とすれば、それで終わったのです。それ以上追及されるような材料は、メディアのほうも野党のほうもないわけですから。ただし、この点については週刊文春はうまくやりました。よくやる手なのだけれども、こういうときは、第一報を流したときに、手持ちの材料をフルオープンにしないのですよ。「会食しましたね」とその写真を出す、そして話を聞く。そこで安心してしまって、総務省は、よもや会話の中身が漏れているとは思わない。ところが最初の段階で「業務に関する話は一切ありませんでした」と来れば、ICレコーダーの音声データが出て来てしまう。持っていますよ、メディアは。そのことを踏まえた上で、対応すべきだったのです。隠し通せると思った総務省は甘々ですね。自ら進んで罠にはまってしまったという感じがします。
新行)「記憶にはありません」と言って、そのあとで情報が出て来て、「やはりあったのですね」という形になってしまったということですよね。
須田)ここで更迭したことで、野党の「疑惑が深まった」というお得意のフレーズが出て来ることになってしまうのです。確かに深まっているのですよ。何もないのだけれども。慌てて新しい事実が出て来て、それを認めて後退している。慌てふためいて更迭するなんてことをやっていたら、「やましいことがあったのでしょう」となってしまいますよ。
新行)「またモリカケだ」というような、そういう声もあるようです。
須田)最初にきちんと調査をして、情報を把握して、出せるところは全部出して行きましょう、その上できちんと処分しましょう、ということをやっていれば何の問題もなかったのです。何回か会食しただけで便宜を図るわけがないではないですか。その程度で。そのなかで現金のやり取りがあったら別ですよ。まさか官僚がいまそんなところで、どこかの大臣ではあるまいし、お金をもらうはずがないのだから。認めるところは認めたほうがよかったのではないかと思います。
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