長澤まさみ、涙のアカデミー最優秀主演女優賞 多彩な出演作に注目!

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【Tokyo cinema cloud X by 八雲ふみね 第984回】

シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信する「Tokyo cinema cloud X(トーキョー シネマ クラウド エックス)」。

※写真は、第44回日本アカデミー賞授賞式より (C)日本アカデミー賞協会

画像を見る(全6枚) ※写真は、第44回日本アカデミー賞授賞式より (C)日本アカデミー賞協会

先日、3月19日に東京・グランドプリンスホテル新高輪国際館パミールで授賞式が行われた「第44回日本アカデミー賞」。長澤まさみが映画『MOTHER マザー』での演技により、最優秀主演女優賞に輝きました。

主演での最優秀賞受賞は自身初。これで2度の最優秀助演女優賞、新人俳優賞と、個人賞の“3賞”を全て受賞したことになります。

そこで今回は、近年の出演作とともに、最優秀主演女優賞に輝いた長澤まさみの魅力に迫ります。

『MOTHER マザー』

『MOTHER マザー』

『MOTHER マザー』~最優秀主演女優賞受賞作、長澤まさみの新たな代表作

映画『MOTHER マザー』は、実際に起きた祖父母殺害事件から着想を得て制作されたヒューマンドラマ。

大森立嗣監督がメガホンを取り、自堕落で奔放なシングルマザー・秋子と、そんな母親しか頼れる者がいない息子・周平を取り巻く現実を過酷なまでにリアルに映し出し、究極に生々しい長澤まさみの演技は公開当時も話題となりました。

本作ではゆきずりの男たちと関係を持ち、その場しのぎの生活を送る女性役を演じ、新境地を開いた長澤まさみ。自分の都合のいいように息子を利用し、「私にはこの子しかいない」と歪んだ愛情を注ぎ続ける。

「(役柄に)共感しようと思っても、最後まで共感できなかった」という長澤さんの言葉からも、人間のダークサイドに踏み込んだキャラクターと向き合うにあたって相当な覚悟が必要だったであろうことが伺い知れます。

しかし、ややもすれば大きなプレッシャーになったかも知れないその状況を見事に跳ね除け、これまでの作品では見せたことがない長澤まさみの姿がスクリーンのなかに存在。その静かで不気味な“怪演”は、まさしく最優秀主演女優賞に値するものと言えるでしょう。間違いなく、長澤まさみの“新たな代表作”です。

『コンフィデンスマンJP プリンセス編』

『コンフィデンスマンJP プリンセス編』

『コンフィデンスマンJP プリンセス編』~振り幅の広さこそ、長澤まさみ最大の魅力!

2020年度の日本アカデミー賞では、2作品で優秀主演女優賞を受賞した長澤まさみ。最優秀賞に輝いた前出の『MOTHER マザー』、そしてもう1作品が『コンフィデンスマンJP プリンセス編』です。

“伝説の島”と呼ばれる南国リゾート、マレーシアのランカウイ島を舞台に、長澤まさみ演じるダー子をはじめ、おなじみの面々が10兆円の巨額遺産をめぐるダマし合いバトルに参戦。コメディエンヌぶりがキラリと光る、キュートでお茶目な長澤まさみが楽しめるエンターテインメント作品です。

標的の“お魚ちゃん”に狙いを定めて無邪気にはしゃぐコミカルな姿は、とてもチャーミング。さらに“29変化”するファッションは持ち前の美貌とスタイルが際立ち、思わずうっとりしてしまうこと間違いなし。

『MOTHER マザー』と『コンフィデンスマンJP プリンセス編』を見比べるだけでも、演じるキャラクターの振り幅の広さに圧倒されてしまいます。

ちなみに『コンフィデンスマンJP』は、映画第3弾『英雄編』の製作がすでに決定。こちらも楽しみです!

『すばらしき世界』

『すばらしき世界』

『すばらしき世界』~下世話なTVプロデューサー役を熱演

そして、現在公開中の出演作と言えば、『すばらしき世界』。西川美和監督と役所広司が初タッグ。人生の大半を裏社会と刑務所で過ごした男の再出発の日々を描いた人間ドラマです。

長澤まさみの役どころは、やり手のTVプロデューサー・吉澤遥。役所広司演じる元殺人犯の三上を番組のネタにしようと画策する、ヒールなキャラクターを熱演しています。

限られた出演シーンのなかで吉澤が持つ強さとしなやかさを垣間見せる演技を披露しているのは、さすが名女優! といったところ。ただの“悪役”にとどまらない、長澤まさみの存在感を堪能できますよ。

トロフィーを手に涙を浮かべながら、「これからも、誠実に映画づくりに向き合って行きたい」とスピーチをする姿が印象的だった長澤まさみ。

女優としての円熟味を増して行く彼女の、ますますの活躍を期待しています。

『MOTHER マザー』

『MOTHER マザー』

■『MOTHER マザー』(2020年公開)

出演:
長澤まさみ、奥平大兼、夏帆、皆川猿時、仲野太賀、土村芳、荒巻全紀、大西信満、郡司翔、浅田芭路、木野花、阿部サダヲ

監督:大森立嗣
脚本:大森立嗣、港岳彦
音楽:岩代太郎

企画・製作・エグゼクティブプロデューサー:河村光庸
プロデューサー:佐藤順子
共同プロデューサー:金井隆治 鈴木俊輔 岡本圭三 飯田雅裕
撮影:辻智彦
照明:大久保礼司
録音:高田伸也
キャスティング:杉野剛
美術:大原清孝
衣装:纐纈春樹
へアイメイク:豊川京子
助監督:近藤有希
制作担当:三村薫
題字:赤松陽構造
スチール:三木匡宏
編集:早野亮
ラインプロデューサー:古賀奏一郎
制作プロダクション:スターサンズ
制作協力プロダクション:SS工房
製作幹事:ハピネット/KADOKAWA
配給:スターサンズ/KADOKAWA
文化庁文化芸術振興費補助金(映画創造支援事業)独立行政法人日本芸術文化振興会
製作:2020『MOTHER』フィルムパートナーズ
(C)2020「MOTHER」製作委員会
公式サイト https://mother2020.jp/

『コンフィデンスマンJP プリンセス編』

『コンフィデンスマンJP プリンセス編』

■『コンフィデンスマンJP プリンセス編』(2020年公開)

Blu-ray&DVDリリース デジタル配信中
出演:長澤まさみ、東出昌大、小手伸也、小日向文世、織田梨沙、関水渚、瀧川英次、前田敦子、ビビアン・スー、白濱亜嵐、古川雄大、滝藤賢一、濱田岳、濱田マリ、デヴィ・スカルノ、石黒賢、生瀬勝久、柴田恭兵、北大路欣也、竹内結子、三浦春馬、広末涼子、江口洋介
監督:田中亮
脚本:古沢良太
音楽:fox capture plan
主題歌:Official髭男dism「Laughter」(ポニーキャニオン/ラストラム・ミュージック・エンターテインメント)
(C)2020「コンフィデンスマンJP」製作委員会
THE CONFIDENCEMAN JP: Princess
公式サイト https://confidenceman-movie.com/

『すばらしき世界』

『すばらしき世界』

■『すばらしき世界』

2021年2月11日(木・祝)から全国ロードショー

出演:役所広司、仲野太賀、六角精児、北村有起哉、白竜、キムラ緑子、長澤まさみ、安田成美、梶芽衣子、橋爪功
脚本・監督:西川美和
原案:佐木隆三「身分帳」(講談社文庫刊)
音楽:林正樹

製作:川城和実、潮田一、池田宏之、依田巽、角田真敏、鈴木貴幸、堤天心
エグゼクティブプロデューサー:濱田健二、小竹里美
プロデューサー:西川朝子、伊藤太一、北原栄治
撮影:笠松則通/照明:宗賢次郎/音響:白取貢/美術:三ツ松けいこ/編集:宮島竜治
衣装デザイン:小川久美子/ヘアメイク:酒井夢月/キャスティング:田端利江/音響効果:北田雅也/助監督:中里洋一
製作担当:横井義人/ラインプロデューサー:奥泰典/企画協力:分福/制作プロダクション:AOI Pro./配給:ワーナー・ブラザース映画
製作:「すばらしき世界」製作委員会(バンダイナムコアーツ、AOI Pro.、ワーナー・ブラザース映画、ギャガ、講談社、フィルマークス、U-NEXT)
(C)佐木隆三/2021「すばらしき世界」製作委員会
公式サイト https://wwws.warnerbros.co.jp/subarashikisekai/

連載情報

Tokyo cinema cloud X

シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。

著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/

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