「パラリンピックの価値を見出してもらう、魅力を発信できるチームに」パラ水泳日本代表推薦選手が決定

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-新行市佳のパラスポヒーロー列伝-
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5月21日(金)~5月23日(日)に横浜国際プールで行われた「2021ジャパンパラ水泳​競技大会」の取材に行ってまいりました。

今大会は東京パラリンピックの代表選考会を兼ねていて、派遣基準記録を突破した選手が東京パラリンピック代表に新たに内定することになっていました。

2021ジャパンパラ水泳​競技大会

派遣基準記録とは、東京パラリンピックでのメダル獲得、入賞の可能性がある選手を選考するためのタイムで、東京パラリンピック出場資格の基準となる世界ランキング3位に対する到達度98%という記録です。

ピリっとした緊張感と熱気に溢れたこの大会で、5人の選手が新たに東京パラリンピックに内定しました。

富田宇宙選手

視覚障害クラスの富田宇宙選手が400m自由形(S11)、100mバタフライ(S11)。石浦智美選手が50m自由形(S11)で派遣基準記録を突破。

また、運動機能障害クラスの鈴木孝幸選手が50m自由形(S4)、200m自由形(S4)、150m個人メドレー(SM4)。窪田幸太選手が100m背泳ぎ(S8)、荻原虎太郎選手が100mバタフライ(S8)で派遣基準をクリアして、東京パラリンピック日本代表推薦選手に内定しました。

富田宇宙選手

そして、2019年の世界選手権で金メダルを獲得し、すでに内定していた知的障害クラスの山口尚秀選手が、100m平泳ぎ(SB14)予選で1分4秒00をマーク。山口選手自らが保持していた世界記録1分4秒13を更新しました。

視覚障害クラスの富田宇宙選手は、大会初日に400m自由形(S11)の予選で4分33秒26、決勝で4分37秒27と、派遣基準記録の4分40秒93を突破。最終日の100mバタフライ(S11)でも予選1分3秒68、決勝1分3秒83と、派遣基準記録の1分5秒61をクリアしました。

富田宇宙選手

ライバルであり仲間でもある木村敬一選手とともに臨む、東京パラリンピックへの想いを語りました。

「リオパラリンピックは僕が出場することができなくて、木村選手は金メダルをとることができなくて……お互いに悔いの残る大会でした。東京大会では彼と一緒に戦うことができるので、本番も決勝のプールでともに全力を発揮して、2人でワンツーフィニッシュを決められるようにしたいです」

木村敬一選手

木村選手は富田選手について報道陣から聞かれると、「国際大会がないなかで、国内でこれだけしびれるレースができるというのは、すごく恵まれていると思います。彼の存在に感謝しています」と答えました。

50m自由形(S11)で予選31秒20、決勝31秒28と、ともに派遣基準記録の31秒33を突破した石浦智美選手は、北京、ロンドン、リオとパラリンピックの選考を経験し、4度目にして内定。リオの選考のときには派遣基準記録に0.3秒届かず、悔しい想いをしました。

石浦智美選手

目標に掲げる30秒台については、左に曲がってコースロープにぶつかってしまうことが多い点、また後半に呼吸が多くなり減速してしまう点を課題に挙げました。

東京大会が5度目のパラリンピック出場になる鈴木孝幸選手。

初日の200m自由形(S4)決勝で2分57秒35(派遣基準:3分1秒04)、2日目の150m個人メドレー(SM4)決勝で2分38秒76(派遣基準:2分40秒50)。最終日は50m自由形(S4)予選38秒06、決勝37秒82のタイムで、派遣基準記録39秒94をクリアしました。

鈴木孝幸選手

「いま、同じタイミングでヨーロッパ選手権もやっていて、同じクラスの選手がいいタイムを出しています。金メダルを目標に掲げていますが、道のりは険しくなるばかりという感じなのですけれど、諦めずに金メダルを目指して頑張りたいと思います」

窪田幸太選手は、100m背泳ぎ(S8)予選で1分9秒97と、日本記録を更新し、派遣基準記録の1分10秒64を突破。また、決勝でも1分10秒05で派遣基準をクリアした窪田選手は、所属している日本体育大学水泳部のコーチ、仲間への感謝の気持ちを話しました。

隣を意識して競り合いながら練習していることがタイムにつながっているそうで、強みは水中でのキック。予選後のインタビューでは、ターン後のバサロキック、後半の持久力で練習の成果が発揮できたことに自信をのぞかせました。

鈴木孝幸選手

荻原虎太郎選手は100mバタフライ(S8)予選で失格の判定が下されましたが、一転、決勝のレースに臨むことになりました。

決勝では1分5秒25をマークし、派遣基準1分5秒87を突破。失格の理由は、75m付近で呼吸の際に肩が水中に落ちていると判断されたからでした。

右肩と右足に障害のある荻原選手は左呼吸ですが、肩が落ちないように安定性を求めて、前呼吸で予選のレースに臨んでいました。安定性を求めて選択した前呼吸で失格の判定が一時下ったことに対し、「自分の実力のなさが原因です。勉強になりました」と振り返りました。

決勝ではスピード重視の左呼吸に切り替え、見事に派遣基準記録を突破して東京パラリンピックに内定。失格の判定から東京パラリンピック内定という逆転劇。「これからも大逆転できるように頑張りたい」と意気込みを語りました。

窪田幸太選手

午前中からお昼過ぎくらいにかけて予選、夕方決勝というタイムスケジュールで3日間行われた今大会。決勝では、盛大なBGMが流れ、パネルの前に選手が1人ずつ出て来て、お辞儀やポーズを決めてからそれぞれのレーンへ向かいました。

木村敬一選手は、「入場の演出やアナウンスが本格的な大会のようで、エリートで試合しているなという感じがしました。いい緊張感のなかでレースができたと思います」と、大会の雰囲気についてコメントしました。

大会翌日の5月24日、日本パラ水泳連盟と日本知的障害者水泳連盟は、東京パラリンピックの日本代表推薦選手27人を発表しました。

荻原虎太郎選手

2019年世界選手権で優勝した山口尚秀選手、東海林大選手、木村敬一選手の3人と、ジャパンパラ水泳競技大会で派遣基準記録を突破した5人の選手以外、19人を選考委員会が協議し、新たに選出しました。

山口尚秀選手、東海林大選手、木村敬一選手、富田宇宙選手、鈴木孝幸選手、窪田幸太選手、荻原虎太郎選手、石浦智美選手、山田美幸選手、辻内彩野選手、中村智太郎選手、日向楓選手、山田拓朗選手、齋藤元希選手、福井香澄選手、井上舞美選手、西田杏選手、成田真由美選手、由井真緒里選手、木下萌実選手、芹澤美希香選手、小池さくら選手、小野智華子選手、久保大樹選手、南井瑛翔選手、長野凌生選手、宇津木美都選手。

障害のクラスが確定していない久保大樹選手、南井瑛翔選手、長野凌生選手、宇津木美都選手は保留として、6月30日までに国際クラス分けを受検し、東京パラリンピック出場資格を満たすことで推薦選手として決定するとのことです。

また補欠選手は、中島啓智選手、宮崎哲選手、菅原紘汰選手、村上舜也選手、津川拓也選手、渡邉麗美選手、一ノ瀬メイ選手、北野安美紗選手。

大会後、パラ水泳日本代表の上垣匠監督は、「メダルありきではなくてパラリンピックの価値を見出してもらう、魅力を発信できるチームにしたいです」と、東京パラリンピック本番に挑む布陣について抱負を話しました。

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■日本パラ水泳連盟 大会結果記録

https://competition.paraswim.jp/infolist/


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