この1年で更なるレベルアップを目指す! パラ水泳選手たちが明かす取り組みと意気込み

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「新行市佳のパラスポヒーロー列伝」
ニッポン放送アナウンサー・新行市佳が、注目選手や大会の取材などを通して、パラスポーツの魅力をあなたと一緒に発見していきます

パラ水泳「東京パラリンピック1年前会見」での集合写真

8月24日の東京パラリンピックまで、あと1年となりました。

先日、日本障がい者スポーツ協会公認障がい者スポーツ医の佐藤広之さんに、新型コロナウイルスがパラアスリートに与える影響について、電話で伺いました。

脊髄損傷の選手は呼吸において吐く力が弱く、痰がからんだときに咳き込むことができないため、コロナにかかってしまうと重症化のリスクがあるとのことでした。

また、知的障害の選手は、パラリンピックが延期になったことを理解するのが難しく、練習に集中できなくなる状況もあったそうです。

各競技団体は、トレーニング再開のためのガイドラインをつくり、新型コロナウイルスの状況に応じたフェーズ分けを設けて、練習や強化合宿を再開しています。感染防止対策をした上で、この状況でできる強化策を、1年後に向けて積み重ねている現状です。

東海林大選手

8月22日、一般社団法人日本身体障がい者水泳連盟と、一般社団法人日本知的障害者水泳連盟による「東京パラリンピック1年前会見」が、リモートで行われました。

木村敬一選手、富田宇宙選手、東海林大選手、山口尚秀選手、イギリスのニューカッスルに滞在中の鈴木孝幸選手が出席。ここで、東京パラリンピックの選考戦として2021年5月21日(金)~23日(日)に、「2021ジャパンパラ水泳競技大会」が横浜国際プールで開催されることが発表されました。

コロナの影響で3月に予定されていた「2020パラ水泳春季記録会兼2020日本代表選手選考戦」と、5月の「2020ジャパンパラ水泳競技大会」が中止になっていましたが、東京パラリンピック出場を目指している選手にとって、目標とする大会が明確になりました。

山口尚秀選手

日本代表の上垣匠監督は、「来年(2021年)の東京パラリンピックの開催について、さまざまな議論がされていますが、私たちはいつ開催されても、パラの10日間を戦いぬける準備を着々と進めています」と語り、身体障害のクラスでは、8月に東(2チーム)と西(1チーム)に分かれて分散合宿を行ったことを明かしました。

知的障害のクラスの選手は、7月下旬とこの会見時にちょうど合宿を行っていたそうで、日本知的障害者水泳連盟の谷口裕美子専務理事は、「久しぶりに選手同士が顔を合わせて、元気に同じ目標に向かって取り組んでいます」と選手の姿を伝えました。

既に東京パラリンピック出場内定を獲得している、知的障害のクラスの東海林大選手は、「1年延期になったことで、目標が遠ざかったということもあるのですが、いいところもいっぱいあるのかなと思います。自分に足りないメンタル面や、基礎体力を補える時間が増えたということで、少し息抜きしつつ、楽しみながら練習しています」と、この1年で取り組みたい課題について言及しました。

スクリーンに映る鈴木孝幸選手

同じく内定を獲得している知的障害クラスの山口尚秀選手は、「東京大会では自分が保持している世界記録をさらに更新して、金メダルを目指したいです。東京アクアティクスセンターで、どういうパフォーマンスを発揮して行くかが重要になって来ます。自分から積極的に環境や設備を知って、練習のときもレースと同じくらいの勢いで臨むことで、本番に向けてのイメージがつかめると思います」と、本番を想定しての練習の大切さと意気込みを語りました。

身体障害のクラスの鈴木孝幸選手は、イギリスの感染者が徐々に少なくなって来たことや、最近まで閉鎖されていたトレーニング施設やプールの営業が再開したことを理由に、このリモート会見の3日前に拠点のニューカッスルに戻りました。東京パラリンピックでの金メダルを目指して、イギリスでトレーニングを積み重ねる予定です。

現地でもショップや交通機関でのマスク着用、入り口に除菌ジェルの設置、出入り口を別々にするなど、日本同様に感染対策をしているとのことでした。

富田宇宙選手

自粛期間中は熊本でトレーニングをしていた、視覚障害のクラスの富田宇宙選手。この期間で身体づくりやフォームの改善など、土台づくりに取り組みました。

東京に戻って来てからは、この取り組みが泳ぎに反映されて、1年前と比べてもいい状態だと言います。

「5月(選考会)に一度パラリンピックを迎えるぐらいの気持ちで、自己ベスト・目標としているタイムを出して、その勢いに乗り、しっかりと本番で上を目指すという展開にできるよう取り組んで行きます」と、スケジュールを逆算して強化に取り組む考えです。

木村敬一選手

東京パラリンピック出場内定を決めている、視覚障害のクラスの木村敬一選手は、2018年5月からアメリカを拠点に練習をしています。3月に帰国し、現在はアメリカのコーチから練習メニューをもらって、国内のプールで練習する日々を過ごしています。

木村選手曰く、アメリカよりも日本の方が施設やサポート体制が充実しているそうで、この状況を活かしながらできる最善のことに取り組み、これまでパラリンピックで獲得できていない金メダルを目指します。

「開催できるとなったら、世界中が元気になろうとしている最中の瞬間だと思うんですよね。世界を動かして行けるような瞬間の出来事が、自分の生まれ育った国で行われることは、とても誇り高いことだと思います。もし開催できることになったら、日本中が盛り上がって、世界に向けて元気な社会への第一歩を示せるような瞬間にできればいいなと思っています」

この記者会見で、各選手から「レベルアップ」という言葉がよく聞かれました。「この1年をどう過ごし、来年に活かすのか」。選手はいまの状況を冷静に捉え、いまできる最大限のことに取り組んでいます。


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