お笑い芸人でマンガ家の矢部太郎が、6月6日(日)に放送された、女優の戸田恵子がパーソナリティを務めるラジオ番組「戸田恵子 オトナクオリティ」(ニッポン放送・毎週日曜14時~14時30分)にゲスト出演。実の父で絵本作家の、やべみつのりさんとの思い出を語った。
矢部は、初めて描いた漫画『大家さんと僕』(新潮社)で第22回手塚治虫文化賞短編賞を受賞。自身と、1階に住む高齢の“大家さん”との交流を描いた漫画で、同シリーズは累計120万部を突破するベストセラーとなった。
そんな矢部の新作漫画『ぼくのお父さん』(新潮社)が6月17日(木)に発売される。やべみつのりさんとの、温かく、ちょっと不思議な幼少期のエピソードが描かれているが、番組でも、みんなのお父さんとは少し違うという父親との思い出を語った。
戸田:漫画『ぼくのお父さん』では、お父さんとの温かい、そしてちょっと不思議な日常が描かれています。私も拝見しましたが、お父さんは何でも絵に描いていて!
矢部:そうですね、記録魔みたいなところもあって。ご飯を食べる時も、テーブルに並ぶおかずをスケッチして、お父さんが描き終わったら「じゃあ……いただきます」って。
戸田:描きあがるまでは手をつけられないから、温かいものが冷めていくと。温かいおかずを食べたことがない幼少期だそうで。
矢部:そうですね。お父さんが描くことが優先なので。今みたいにスマホでカシャッというのは……。
戸田:カメラがあったとしても……。
矢部:そうですね、「写真だと写り過ぎる」みたいな謎の言葉を、お父さんは言っていましたが。
戸田:素敵! もうねぇ、私なんかは写ってほしくないのよね!「写り過ぎてるわ!」って感じで(笑)
矢部:絵なら、その辺の加減はできますからね(笑)
戸田:あと、衝撃的だったのが、飼っていたペットのウサギが亡くなったという話。その亡骸を太郎さんに抱かせて、その絵を描くという……。それってどんな感じでしたか?
矢部:あれは保育園とかの時だから、悲しいとかそういうのがあんまりなくて、なんか、冷たくて嫌だなぁ……みたいな。
戸田:冷たいという感触がちゃんとあったんだね?
矢部:あぁ、死んじゃったらこうなっちゃうんだな……って思って。ウサギとのお別れを、お父さんが絵に残してくれたのかな? って思ったんですけど、出来上がった絵を見たら、僕が描かれていなくて! ウサギだけだったんですよ!
戸田:なんとも不思議な話で(笑)
矢部:だからたぶん、ウサギを描きたかったんだと思うんですよ。ちゃんとしたウサギを。だから、僕にいい角度で持ってほしかっただけかと。
戸田:そうなのかな? また不思議な話だな、と思って。
矢部:やっぱり、最後に抱いたことは、感触は覚えていて。お別れするってことを。
戸田:お父さんは、その感覚も太郎さんにちゃんと残してあげたい、ということだったんじゃないかと。ただ、描いたのはウサギだけなんだけど……。
矢部:いや、僕のことも描いてくれて良かったと思うんですけどね!(笑)
戸田:まぁ、確かにそうだね(笑)
この他にも番組では、父が「矢部太郎」に込めた不思議な命名理由や、何でも手作りしてくれた父が誕生日プレゼントも手作りのものを贈っていたというエピソードも紹介。
絵本作家のほか、1977年から子どものための造形教室「はらっぱ」を16年間主宰し、各地で造形遊びや紙芝居作りのワークショップなども開いているという、やべみつのりさん。矢部は、子どもの為に様々な活動をする父について「やっぱり子どもが好きだし、子どもの絵がすごく魅力的で、子どもを尊敬しているというところがあると思います。お父さん自身、子供っぽいところもあったりする」と、誇らしそうに語った。
番組情報
女優・戸田恵子が大人のクオリティ・オブ・ライフ(上質で豊な生活)をエンジョイするための「人・モノ・コト」にフォーカスする番組です。
大人の会話が弾むプチトリビア、大人が生活に取り入れたくなる情報をお届けする30分。ぜひお付き合いください。