ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(6月9日放送)に数量政策学者の高橋洋一が出演。内閣府が発表した5月の景気ウォッチャー調査について解説した。
景気ウォッチャー調査~2ヵ月連続で悪化
働く人たちの景気の実感を聞く内閣府の景気ウォッチャー調査で、5月の景気の現状を示す指数は4月より1.0ポイント低下し、緊急事態宣言の影響などで2ヵ月連続の悪化となった。
飯田)「あまりいい数字は出て来ないぞ」ということです。
高橋)景気ウォッチャー調査は「街角調査」と言って、統計というものではなく、感覚なのですよね。「タクシーの運転手さんに聞く」というようなものに似ているのですが、かなり当たるのですね。いまの感覚がそのまま出ているので、緊急事態宣言でほとんど営業させていないのだから、それはこうなりますよ。どんなエビデンスがあってやっているのか知りませんが。
飯田)「外に楽しいものがあるとみんな外に出てしまうから、全部閉めるのだ」というようなことになっていますが。
高橋)それで渋谷や新宿などの人通りの数字を出していますよね。あの数字がどういう関係なのかもよくわからない。
飯田)それを言ったら、満員電車はクラスターの温床になるはずなのですけれども、「みんな黙ってスマホを見ていれば感染拡大にはならない」と言われています。
高橋)現に各所で感染者数は減っていますよね。日本全体も減っています。「5月上旬がピークだ」ということをテレビで言ってしまったのですが、そのときはみんな驚いていましたけれど、外していないのですよ。今回はワクチンが加わっているから、もっと予測が簡単です。
GDPギャップを埋めるだけの補正予算が必要
飯田)今後の経済も「ワクチンの普及と相まって」ということになるのでしょうか?
高橋)4~6月(の経済成長率)が下がるのは確実です。これが8月中旬に出るのかな、それはあまりいい数字ではありません。私がよく言っている「GDPギャップ」が多分、30~40以上出てしまいます。
飯田)30兆~40兆。
高橋)そのくらいを埋めないと、あとで失業が増えてしまって、もっと大変になります。だからいろいろな補正予算はそのくらいの数字のはずだと年中言っているのです。
飯田)穴埋めはできませんよと。
高橋)穴埋めは放っておいてできるものではありません。要するに景気は回復するのだけれど、日本の場合は少し遅れる可能性もあるので、そこは財政出動しないと大変だと思います。
五輪後の臨時国会で補正予算の枠を確保するべき
飯田)オリンピック・パラリンピックが終わったあとに臨時国会が召集され、補正予算が審議される可能性が高いと。
高橋)しないと、GDPギャップが埋められなくて大変なことになります。予備費を積み増しておけば、財務省が「こんなにいらない」と言っても、予備費であれば使わなかったら戻せばいいだけの話です。枠だけ用意しておけばいいのです。
飯田)補正全体として、予備費の部分も含めての数字として出しておくと。
高橋)予備費は多くすればいいのです。また批判を受けるかも知れませんが。
飯田)2020年の「予備費10兆」というものが。
高橋)批判されましたね。でも「増やしておいてよかったでしょう」と私は言いたいですけれどね。あのときにケチっていたらもっと大変でした。あのときにワクチンの予算も全部つけたのです。ワクチンが100万人くらい打てるということは、もう積算のときからわかっていたのですよ。だって1万ヵ所でやっているから、100人打てばいいのです。1万ヵ所の冷凍施設のところで。100人というのは、3時間か4時間で終わってしまうので、そうするとけっこう簡単な数字なのですよ。
補正を打たないと2022年の1~3月が厳しくなる
飯田)そのくらいの規模で補正を打つということになると、年度の後半に効いて来るような形になるのですか?
高橋)使っていない予備費もあるから、ずっとじわじわやって行くようなパターンになるのですけれどね。打たないと年度の後半、来年になると大変になります。
飯田)来年(2022年)の1~3月。
高橋)やった方がいいと私は思いますけれど。言わなくても選挙だから多分そうなると思いますよ。
飯田)選挙の前に各々追い上げを持たせたい。
番組情報
忙しい現代人の朝に最適な情報をお送りするニュース情報番組。多彩なコメンテーターと朝から熱いディスカッション!ニュースに対するあなたのご意見(リスナーズオピニオン)をお待ちしています。