中国当局がソニーの中国法人に罰金 ~日本企業が海外で「炎上」する理由

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(10月19日放送)に朝日新聞編集委員で元北京・ワシントン特派員の峯村健司が出演。中国当局によるソニーの中国法人への約1770万円の罰金命令について解説した。

ソニーのロゴマーク=東京都港区 写真提供:共同通信社

中国当局がソニーの中国法人に罰金1770万円を科す

中国当局は商品の宣伝活動で国家の尊厳を損なったとして、ソニーの中国法人に100万元(約1770万円)の罰金を科した。ソニーの中国法人は日中戦争の発端となった盧溝橋事件から84年にあたる2021年7月7日に新製品を発表するという広告をインターネット上に掲載し、中国国内で批判が出ていた。この事態を受けてソニーの中国法人は広告を削除し、不適切だったと謝罪していた。

飯田)広告を出したのは6月30日だったそうですが。

よく起こる歴史と絡めた日本企業の炎上

峯村)私が北京の特派員をやっていたときからそうなのですが、日本企業に向けた歴史問題と関係する炎上はよく起きていました。いろいろな要因があると思いますが、特にいま中国は「政治の季節」に入っています。来年(2022年)の秋に中国共産党の第20回全国代表大会(党大会)がある。そこでは習近平国家主席が、異例の3期目をやるかどうかということもあり、中国政府も相当ピリピリしているということがまずあります。

飯田)来年の秋に。

峯村)恒大集団の事件が一例です。ある種のポピュリズムというか、「国民の人気を得たい」という政策をやっているのです。そういう意味では、日本と歴史というのは中国においてパワーワードなので、日系企業がターゲットになってしまうところはあります。

飯田)わかりやすい敵をつくり、それを叩くのだというところで、人気を博す。

対策する専門の会社を雇うアメリカ企業

峯村)以前も日本の自動車会社が、自社の車が走って行くところに人が跪いているような映像をCMで流したことがあるのですが、これに対して「屈辱だ」と炎上することがありました。よくわからないですよね。アメリカの会社であれば、こうしたパブリックリレーションの専門の会社を雇うことが少なくありませんが、総じて日本企業の危機意識は薄いように思います。タイムラグはありますけれども、7月7日という微妙な時期に広告を打つというのは、危機管理が足りなかったと言えるのではないでしょうか。

飯田)日付の重みなども考えなくてはいけない。

峯村)考えなくてはいけません。「中国でお金を儲けたいのであれば」ということですけれども。

綿花の収穫=中国=2013年10月26日 Imaginechina/時事通信フォト 写真提供:時事通信

アメリカからもウイグルの人権問題で批判される日本企業

飯田)こういうことが起こるというのは、リスクが高いような気がしますよね。

峯村)そう思います。どこから弾が飛んで来るかわからない状況です。今回は中国の話ですけれども、実は日本企業にはアメリカ側からのプレッシャーもあるのです。

飯田)アメリカからの。

峯村)ウイグルの人権問題に加担しているということで、オーストラリアのシンクタンクに名指しされている日本企業もあります。かなり大手の日本企業が名指しされていますが、この辺の対策を見ていても甘いですね。該当の会社幹部と意見交換をしたことがありますが、「まあ大丈夫ですよね」というような根拠のない自信があるのです。

飯田)根拠のない自信が。

峯村)しかし、そんなことはまったくなくて、2022年2月の北京冬季オリンピックに向けては、アメリカサイド、欧米側からのウイグル人権問題に対する批判が高まって来ます。そのなかで日本企業がいちばん標的になりやすいということを考えると、まさに米中、アメリカと中国の両方からの目に気を付けなければ、企業が1つ飛んでしまうという状況になっているのです。

日本企業は「いま世界がどうなっているのか」という情報を自分から取りに行かなければならない ~対策を考えなければ取り残されてしまう

飯田)5月にユニクロの綿シャツが、アメリカで輸入刺し止めになりましたよね。

峯村)あれもまさに新疆綿が使われているというところでした。先日、会長兼社長が「人権侵害を絶対に容認しない」と宣言しましたが、対応が遅いですよね。昔から日本企業はそういうところが緩いように感じます。アメリカ企業であれば、自社のインテリジェンス部門を持ち、積極的に情報収集をしています。「中国の法規制はどうなっているのだ」と調べに行って、対策を練るというのが主流です。しかし日本企業は大手の企業でも、「お上が何とかしてくれるから」という感じです。それでは時代に乗り遅れてしまいます。

飯田)日本企業は。

峯村)コンプライアンスというか、「法律を守りましょう」ということであればいいのですけれども、経済安保は「守る」だけではダメなのです。「いま世界がどうなっているのか」という情報を自分から取りに行かないと、十分な対策をとることができません。安全保障の一環として、自分から取りに行き、自分から保険をかけて守らなければならない。対策を考えずに国に任せていたら、とても追いつきません。いまの政権は経済安全保障大臣を新設して対策に乗り出しましたが、まだできたばかりですので。

飯田)これから法律をつくる。

峯村)これからですね。「経済安全保障推進法」もこれから議論されるので、それまでは企業が自主的に動いて身を護らないと、今回のソニーのような事件に巻き込まれかねません。もしかすると市場から追い出されてしまうリスクがあるということも考えなければいけません。

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