中国をTPPに入れてはならない理由
公開: 更新:
ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(11月8日放送)に日本経済新聞コメンテーターの秋田浩之が出演。中国のTPP加入について解説した。
中国、TPP加入への動き
11月5日、中国の習近平国家主席とニュージーランドのアーダーン首相が電話会談を行った。中国が環太平洋連携協定(TPP)加盟申請への支持を働き掛けた可能性がある。
飯田)中国がTPP加入に手を挙げたということで、秋田さんは日経の本紙上でも論考を書かれています。中国はよく手を挙げましたね。
秋田)もともとは中国を入れずに、アメリカ、日本、その他の国でレベルの高いルールを決めてブロックをつくり、「入りたければ、きちんと透明で公正なルールにする」という集まりでした。中国に対する準経済同盟なのです。
アメリカ、台湾を入れないために、先にTPPに入りたい中国
秋田)ところが、アメリカがトランプさんのときに抜けてしまったので、その隙間を狙って中国はアメリカよりも先に手を挙げたのです。一旦、加盟国になれば、そのあとに入って来る国の加盟について、すべての国が拒否権を持ちます。中国が入ってしまったら、事実上、永久にアメリカと台湾は排除されてしまうことになる。そのために先に手を挙げているという面が大きいと思います。
飯田)日本からすれば、反対するしかないということになりますよね。その辺はどうなのでしょうか?
中国が入れば特別扱いを求めて来る
秋田)一応、TPPは特定の国を排除せずに開かれていて、「ルールさえ守れば入れます」と表向きには言って来ています。政府の人とこの問題について話をすると、「中国は入って来るときに特別扱いを求めると思う」と言います。ルール上は一切の例外を認めないことになってはいますが、おそらく中国は水面下で、「自分たちが関税を引き下げたら、他の国は恩恵を受けるのだから、その分、自分たちには例外を設けて欲しい」と言って来る。特に、ベトナムが入れていますので、ベトナム並みの例外を認めて欲しいと言って来ると思います。
飯田)「安保上の問題がある場合は、譲歩を認める」と条文にもあるので、この辺を使って来るのではないかと言われていますよね。
安全保障上の利益を損なうときには、例外としてルールを適用しなくていい
秋田)第29章では、「安全保障上の利益を損なう場合、例外としてルールを適用しなくていい」ということが書いてあります。私はTPPをつくった人たちに取材をしたことがあるのですが、紳士協定を破るような人たちはメンバーにならないという前提なので、流石にこれは濫用しないだろうという意味で設けたようです。
例外を認めてしまうとすべて骨抜きに
秋田)ところが、中国が入って来るとなると、国有企業などへの補助金についても「安全保障上は重要だ」と言いかねません。TPPはデータを抱え込まないというルールなのですが、中国がやっているのは、データを持ち出してはいけないという、まったく真逆の政策を取っています。そこも「安全保障上、仕方がないのだ」ということで中国が例外を設けてしまうと、すべて骨抜きになってしまうのです。
飯田)ただの関税の引き下げではないぞ、という話なのですね。
秋田)ルール同盟ですね。
番組情報
忙しい現代人の朝に最適な情報をお送りするニュース情報番組。多彩なコメンテーターと朝から熱いディスカッション!ニュースに対するあなたのご意見(リスナーズオピニオン)をお待ちしています。