イプシロン5号機「打ち上げ成功」の裏にある「もう1つの効果」

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(11月10日放送)に数量政策学者の高橋洋一が出演。JAXAの小型ロケット「イプシロン」5号機の打ち上げが成功したことについて解説した。

イプシロン5号機「打ち上げ成功」の裏にある「もう1つの効果」

9機の衛星を搭載し、打ち上げられる小型ロケット「イプシロン」5号機=2021年11月9日午前9時55分、鹿児島県肝付町の内之浦宇宙空間観測所 写真提供:共同通信社

イプシロン5号機、打ち上げ成功

大学や企業などが開発した人工衛星を載せた宇宙航空研究開発機構(JAXA)のロケット「イプシロン」5号機が11月9日午前、鹿児島県から打ち上げられ、9つの小型の人工衛星すべてを予定通り分離し打ち上げは成功した。

飯田)「イプシロン」というロケットは、小型の人工衛星を低コストで打ち上げようと開発されたものです。8年前の初号機から今回まで、5回連続で打ち上げに成功しています。成功率の高さも誇るべきものですが、こういう技術は大事ですか?

高橋)素晴らしいですね。イプシロンは固体燃料なのですよね。

飯田)固体燃料。

高橋)固体燃料ということが重要で、簡単に打ち上げができるのです。今回は9つの人工衛星を積んで分離したのでしょう。つい不謹慎ながら、「これは多弾頭のミサイルではないか」、「隣国から文句が来るのではないか」とツイートしてしまいました。

飯田)なるほど。

高橋)何を積むかが問題ですけれどね。

飯田)何を積むか、そして何を目的とするか。宇宙空間に向かって、ロケット用の細長いものを飛ばすという意味では。

高橋)固体燃料で、いつでもすぐにできてしまう。

飯田)どこからでも飛ばせて、運搬が容易であると。

高橋)おまけに9つにも分離できると。重要な技術だと思いましたね。「この際、宇宙基地を全国各地につくったらよろしい」などと言うと、また怒られてしまいますね。

潜在的な抑止力にもなり得る

高橋)科学技術は重要です。日本の固体燃料ロケットは歴史が古いのです。ペンシルロケットから始まって、いまは堀江貴文さんも民間で開発していますよね。

飯田)北海道で飛ばそうとしているという。

高橋)いろいろな技術があった方がいいのです。民間でも成功させて欲しいですね。正確にどこかへ落とすとか、これもあり得るでしょうね。

飯田)そうでしょうね。行ったものは回収するという。

高橋)回収しなくてはいけない。その回収技術もピンポイントですごいとかね。

飯田)それがある意味……。我々はもちろん宇宙の平和利用として。

高橋)もちろんそうです。ただ、他の国から見れば、潜在的な抑止力になるかも知れません。それに関して他国が何かを想像するのは勝手ですからね。科学技術の発展にもなり、一石二鳥の政策になるのではないかと思いますが。

イプシロン5号機「打ち上げ成功」の裏にある「もう1つの効果」

JAXA 小型ロケット「イプシロン」3号機打ち上げ=2018年1月18日午前6時6分、宮崎県えびの市 写真提供:産経新聞社

中国軍が米空母の実物大目標物を砂漠に建設

飯田)隣国を見渡せばというところで、あからさまに弾道ミサイルを。

高橋)たくさん持っています。

飯田)11月9日の産経新聞では、

『中国軍が米空母の実物大目標物 新疆ウイグルの砂漠に建設』

~『産経新聞』2021年11月9日配信記事 より

……と、写真入りで記事にしています。

高橋)砂漠にあったものでしょう。

飯田)人民解放軍がアメリカ空母の実物大模型を、タクラマカン砂漠に建設しているということです。

燃料の部分を拡大すれば遠くへ飛ばすことも可能なイプシロン

飯田)イプシロンは小型で、低コストということです。今回は小型の衛星を9つ載せていたようですが、燃料の部分を拡大したり、全体の形を大きくすると、さらに遠くへ飛ばせるかも知れないし、いろいろなものを積めるかも知れない。

高橋)日本の場合はあまり遠くに飛ばさなくても、数千キロ飛べばいいのです。中距離で十分です。

飯田)中距離という。

高橋)それでピンポイントに行くということになれば、素晴らしいですね。

技術を広めて、民間がその技術を活用する

飯田)国家安全保障戦略の改定、あるいは敵基地攻撃能力などという話がありますが。

高橋)科学技術がなければ成立しません。

飯田)その基盤となるところというのは。

高橋)科学技術の話は、技術がなければダメです。それで「廃棄物のプルトニウムもたくさんあります」ということもアピールはできます。

飯田)原子力発電所。

高橋)プルトニウムをなぜ持っているのかよくわかりませんが。でも、あるのは事実です。

飯田)あるのは事実ですね。だからこそ、IAEAが管理、監視をしている。

高橋)技術は一朝一夕ではできません。常日頃の研鑽が必要です。政府系ファンドもたくさんつくって、技術を広め、民間にその技術を活用していただきたいと思います。

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