当然の帰結だった LINE Payの決済関連情報の漏洩問題
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(12月14日放送)に朝日新聞編集委員の峯村健司が出演。LINE Payの決済関連情報の漏洩問題について解説した。
LINE Payの決済関連情報の漏洩問題
LINE傘下でスマートフォン決済大手のLINE Payは12月6日、およそ13万3000件の決済関連情報が漏洩し、インターネット上で閲覧できる状態になっていたと発表した。
飯田)峯村さんは今年(2021年)3月17日、18日付の朝日新聞で「LINEで充分な説明がないまま、中国の関連会社から個人情報を閲覧できる状態になっていた」というスクープ記事を出されて、今年度の新聞協会賞も受賞されていらっしゃいます。あのときから一貫しておっしゃっていましたが、いつかこういうことが起こるという話ですか?
峯村)そうですね。本当にずさんな管理体制だということを何回言ったかわかりませんが、ずさんとしか言いようがない状況です。実はこのLINE Payの問題は、今年の3月の段階でも、1本特報を書いていまして。
飯田)そうですね。
峯村)使っている方々の取引情報のほか、加盟店の銀行口座までが韓国のサーバーに置いてあったのです。これは機微に触れる情報ですよね。
実際の社員は数十人くらいの規模の会社
峯村)このときにLINEの問題について、続けてスクープを書こうと思っていたのですが、時間がかかってしまったのは、LINE Payのコメントが取れなかったからなのです。てっきりLINE PayはLINE社のなかにあると思っていたら、全然別の会社だったのです。
飯田)そうなのですか。
峯村)その会社も、実質120人くらいしか従業員がいない会社で、「広報担当を出して欲しい」と言っても、なかなかコメントがとれずに苦労をしました。
飯田)広報担当者もいない。
峯村)会社を調べてみても、ほとんどLINE社の幹部が重複して役員になっていて、実際の社員は実際は数十人しかいないのではないでしょうか。そのくらいの規模の会社が約4000万人のデータを扱っていたことを考えると、こういう問題が起こるのは当然の帰結だったのかなと思います。
報道を受けたあとも改善されなかったLINE社の深刻な問題
峯村)しかも、漏洩したのが2020年12月~2021年4月。つまり、私の報道が出たあとも、まだダラダラ漏れていたということです。
飯田)そういうことですね。
峯村)ということは、「我が社は今後しっかりやります」と言ったにも関わらず、そのあともまた漏れていたということです。本当に深刻なLINE社の問題であって、まだこの一連の報道を受けても、完全には改善されていないということが露呈してしまった状態だと思います。
金融機関のように縛りが厳しくない分、いろいろな問題が起こりやすいというリスクがある
飯田)メールもいただいています。“はるぞう”さん、北区の方から。「最近キャッシュレス決済を利用することが多くなったので、情報漏洩問題を聞くと、他のキャッシュレス業者のセキュリティも大丈夫かなと不安になります。コロナ禍で非接触型の決済を使う機会は多くなると思いますからね」といただきました。
峯村)便利でいいと思うのですけれども、実はキャッシュレス決済というのは監督官庁が微妙なのです。
飯田)監督官庁が微妙。
峯村)そういう意味では、金融機関のような縛りはそれほど厳しくないのです。裏を返すと、ゆえにこのような問題が起こりやすい。そういうリスクがあるということは、利用される皆さまも熟考された方がいいと思います。
飯田)銀行であれば決済は厳しいのだけれども、そこが緩い分だけ、新しい革新的なサービスができるのだと、いままで言われていましたけれども。一方でこういうリスクが起こり得るのですね。
峯村)今回もいろいろな話を聞いていると、「LINE社内部の関係者漏洩させたらしい」ということが明らかになっています。発表に関しても遅いですよね。つい最近、先月(11月)の二重決済トラブルなども起きているわけですから。連発してこれだけ不祥事が起きているということは、まだ本当の改善はされていないのだろうと思います。
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