「申請をいまは見送る」は「もう一生申請しない」と同義 ~佐渡島の金山、一転して世界遺産推薦へ

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(1月31日放送)に中央大学法科大学院教授で弁護士の野村修也が出演。世界文化遺産の登録に向けてユネスコに推薦書を提出する方針となった「佐渡島の金山」について解説した。

「申請をいまは見送る」は「もう一生申請しない」と同義 ~佐渡島の金山、一転して世界遺産推薦へ

佐渡金山の宗太夫坑=BUD international/アマナイメージズ/共同通信イメージズ

佐渡島の金山、一転して世界遺産推薦へ

世界文化遺産の国内推薦候補に選ばれていた「佐渡島の金山」(新潟)について、岸田総理大臣は1月28日、国連教育科学文化機関(ユネスコ)に推薦することを正式に表明した。韓国政府が「朝鮮半島出身者の強制労働の現場だった」と反発しているが、2月1日の閣議了解を経て、ユネスコに推薦書を提出する方針である。

飯田)一時は推薦を見送る検討に入っているという報道もありましたが、期限を前に推薦を決断した形になりました。

野村)ある意味、当然の結論ではないかと思います。最初から申請を見送ると検討していること自体がおかしかったのではないでしょうか。地元の方々も一生懸命、長年にわたって申請の努力をされて来たわけですし、文化庁の審議会でも「それでいい」という方針が出ていたわけですから。

飯田)そうですね。

「申請をいまは見送る」は「一生申請しない」ということ ~オープンな場所で意見を戦わせるべき

野村)正式に申請するということは、当然のプロセスだと思います。政府が言っていたのは「関係各国の了解を取るというプロセスは大事だ」ということです。それは確かに大事なのですが、事前に了解を取ることを求めてしまうと、一生、申請できませんからね。

飯田)一生申請ができない。

野村)韓国は正式なところで決着がつくまでの間は言い続けますから。そうすると、絶対に申請できなくなります。「いまは申請を見送る」ということは、「もう一生申請しない」ということと同義なのです。オープンな場所でそれぞれの意見を戦わせることが大事だと思います。申請前にやれば、それは場外乱闘になります。そうすると、あることないことが膨らんでしまって、実態とは違った議論があたかも真実のようになってしまう。これは絶対に避けなければなりません。

オープンな場所で歴史的な記録に基づいて議論することが大事

飯田)韓国政府が言っている「朝鮮半島出身者の強制労働の現場だった」という主張に関しても、「いわれなき中傷は受け入れられない」と総理も国会答弁でおっしゃっていましたね。

野村)実際に佐渡島の金山のなかに入りますと、ここで働いていた方々がいかにご苦労をされながら、江戸時代の財政を支えるために技術を使って金を掘り起こしていたのか、その姿がはっきりわかります。江戸時代に日本は鎖国していましたから、韓国の方は関係ありませんので、この時代の文化については産業遺産として正式に高く評価されるべきだと思います。

飯田)そうですね。

野村)さらに朝鮮半島出身者についての議論も我々はしていますが、戦争中は日本国民だったのです。日本国中の若者たちが戦争に駆り出されていた、その一環として行われていた行為ですので、特定の民族の方だけを特別扱いして強制労働させていたという話ではありません。そこについても誤解はしっかり解くべきだと思います。

飯田)むしろ当時は、来る意思のある方を募集していて、給料や待遇がいいということで来る方もいらっしゃったし、記録などを見ると、戦局がかなり悪化するまで、朝鮮半島出身者の方々に徴用令を出すことはなかったようですね。

野村)いろいろな思い込みが混ざったまま議論してしまうよりは、今回の形がよかったと思います。これからまた議論があるとは思いますが、申請することによって、オープンな場所で真実について議論し合えるところがいいと思います。そうしないと、かつての慰安婦問題もそうですし、あるいはいわゆる徴用工問題もそうですが、尾ひれがついてしまうのです。

飯田)尾ひれが。

野村)いろいろな感情がありますから、あったことやなかったことがくっ付いてしまい、お互いに歩み寄れない状況になってしまいます。少なくとも佐渡金山については、オープンな場所で歴史的な記録に基づいて議論することが大事だと思います。

飯田)2月1日までにユネスコに推薦書提出。これが選出されるかどうかの審議は、来年(2023年)まで続くということです。

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