ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(2月9日放送)に数量政策学者の高橋洋一が出演。林外務大臣のオーストラリアで行われるクアッド外相会合、ハワイでの日米韓外相会談への参加について解説した。
林外務大臣がクアッド会合に出席 ~その後、日米韓で協議
林外務大臣は2月11日にオーストラリアで開く日本とアメリカ、オーストラリア、インドによる協議「クアッド」の外相会合に出席し、「自由で開かれたインド太平洋」の実現や北朝鮮の核・ミサイル対応などについて話し合う。また12日には、ハワイで行われる日米韓外相会談にも参加。
飯田)クアッド、対中国ということです。
高橋)クアッドは「4つの」という意味ですよね。日、米、豪、印という。クアッドという言葉は、私のなかでは外交用語として定着しているのですけれども、今回の北京オリンピックで「クワッドアクセル」とよく使われるでしょう。
飯田)そうですね。羽生結弦選手が挑もうとしています。
高橋)今後、「クワッドアクセル」という言葉を使われる機会が多くなるのでしょう。
飯田)なると思いますね。
高橋)そうすると、クアッドという言葉が「クワッドアクセル」と一緒になってしまうなと思いました。クアッドという日本発の話が、こんなに大きくなったのはよろしいことですよね。
飯田)「自由で開かれたインド太平洋」というのも。
高橋)画期的な日本発の言葉なのだけれども、もう定着していますよね。
クアッドよりもAUKUS(オーカス)の方に重きを置くアメリカ
高橋)アメリカ国務省の話などを見ていると、クアッドよりもオーカスの方がウエイトが大きいのです。
飯田)アメリカ・イギリス・オーストラリアの枠組み。
高橋)クアッドもオーカスの方につけるようにすればいいのではないかと思います。しかし、オーカスの方は原潜の共有などがありますが、クアッドの方は、まだ具体的な策まで行っていないのです。
飯田)オーカスの部分では、「日本も入れて拡大するべきではないか」という議論が、アメリカの識者などから出ています。
「やられたら3倍返しされる」という方が抑止力になる ~原子力潜水艦の重要性
高橋)私が以前から言っている原子力潜水艦というのは、いい抑止力になります。核兵器ではなく、巡航ミサイルでもいいのです。沈んでいるときに、3倍返しするような大量報復ということになると、敵は日本に攻めて来ないのです。
飯田)3倍返しされるとわかっていれば。
高橋)いまのミサイルを迎撃するのは、技術的に不可能なのです。いろいろな飛行ルートがあって、それを迎撃するのは無理です。だから、やられたあとに3倍返し、4倍返し、5倍返しと、そういう方がいいのです。
飯田)抑止力として。
高橋)それを敵基地攻撃能力などと言って否定する人が多いのだけれども、私はどちらかというと「敵基地ではないよ」と言っています。
飯田)敵地くらい。
高い性能のミサイルを迎撃することは不可能に
高橋)敵地に報復するのだと思っているくらいなので、「敵基地攻撃能力に限定することもない」と思っているのです。報復するということが抑止力なので、流れはそういう方向になるのではないでしょうか。北朝鮮も高い技術力を持っています。上下だけでなく、左右にも飛行するミサイルを迎撃するのは無理です。
飯田)迎撃するというのは。
高橋)だから原潜、もしくは普通の潜水艦でもいいですが、あとで報復するという方が抑止力になります。
この機会に「核シェアリング」の話までしてもいいのではないか
飯田)原子力潜水艦の話になって来ると、非核三原則の話に。
高橋)でも非核三原則というのは、日本を守るためになくてはいけないことでしょう。NATOで行われている核シェアリングでは、ドイツにも核兵器を配備して、抑止力を保っているという事実があるわけです。日本を含む極東アジアの方が危ないですよね。
飯田)そうですね。
高橋)この機会に、核シェアリングの話までしてもいいのではないかと思います。核シェアリングの話をしたら、「持ち込ませず」という非核三原則に反するだろうとすぐ言われるのだけれども、法律でもないのだから直せばいいのです。
抑止力として日本に必要なもの
飯田)日本はいまのところ、弾道ミサイルや1000キロを超えるような長射程のミサイルを、「盾と矛で言ったら矛になってしまうからダメだ」ということで持てないという……。
高橋)矛にしないと、盾は無理ですから。日本の誘導技術などで、一瞬にしてトップを瞬殺できるというだけでも、大きい抑止力になるのです。そのように考え方を変えて行かないと守れないですから。技術的に無理です。
飯田)確かに自衛隊の士官などと話していると、「飯田さん、専守防衛と言うといい言葉に聞こえるでしょう。でも専守防衛というのは、いきなり本土決戦なのです。わかりますか、このリスクが」と言うのです。
高橋)本土決戦をされたあとに、何もできないということになったら困るでしょう。逆に言うと日本は、「相手国の指導層を一瞬にして抹殺できる」というような技術を持っておいた方がいいですね。もちろん、情報がなくては無理なのだけれども。
飯田)相手がどこにいるという情報が。
高橋)そういう技術がないと大変です。「守れ」と言われても守れないだろうということになってしまいます。迎撃システムだけで対応はできません。
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