このタイミングで「日露貿易経済政府間委員会」を開く「日本のチグハグな外交」

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ニッポン放送「新行市佳のOK! Cozy up!」(2月22日放送)にジャーナリストの有本香が出演。2月15日にオンラインで行われた日露政府間委員会について解説した。

このタイミングで「日露貿易経済政府間委員会」を開く「日本のチグハグな外交」

モスクワのクレムリンで、ベラルーシ大統領との共同記者会見に臨むロシアのプーチン大統領(ロシア・モスクワ) AFP=時事 写真提供:時事通信

日露「貿易経済政府間委員会」がオンラインで開催

2月15日、日本の林外相とロシアのレシェトニコフ経済発展相が共同議長を務める、貿易経済に関する日露政府間委員会がオンラインで開催された。

新行)日本の外務省は、会合を開いたのは事前に予定されていたためだと説明しています。

ウクライナ情勢が緊迫するなかで、タイミングが悪すぎる

有本)やはりタイミングが悪すぎるのですよ。確かに15日に開かれたのですけれども、同じ日の夜に、ウクライナの大統領と岸田総理が会談しているのです。

新行)タイミングが悪い。

有本)ちょうど事態が動いていて、ロシア側は圧力を強める、でも西側には秋波を送るというような状況のなかで、日本のトップがついにウクライナの大統領と会談しようというときです。西側諸国はみんなロシアに対して自制を求めているわけではないですか。特に前日の14日、G7財務相の共同声明で、「ロシアに侵攻的な動きがあれば、速やかに実行的な制裁を科す」ということを言ったのにも関わらず、その翌日に貿易経済発展のための会議をロシアと行う。

新行)G7でそう決めたのに。

有本)タイミング的にも違和感があります。「決められていたからやる」という役所的な言い方ではなく、しかも日本の外務大臣が出席してしまうというようなことではなく、タイミングを少しずらすとか、何か理由をつけてでも外務大臣は出ないなど、やり方はあるだろうと思うのです。

新行)チグハグだというご指摘もありますね。

有本)林大臣も、あるいは林大臣の周りにいらっしゃる方々も、外務大臣の一挙手一投足がすべて世界に発信するメッセージになるのだということを、もう少し認識していただかないと困ります。「日本は何をやっているのだ」ということにもなります。

新行)他の国々からも疑問を抱かれてしまいますよね。

有本)G7の首脳にしてみれば、昨日「制裁をやるぞ」と言ったのに、なぜ日本だけそのようなことをしているのだと。喧嘩を売っているのかということになるし、ロシアにしてみれば、「日本は与しやすい」となりますよね。

新行)そうなりますね。

有本)日本も北方4島の問題を抱えているのに、経済活動だけ一緒にやって行きましょうというような話になるのは、それだけでもチグハグな感じですよね。

新行)北方領土問題も。

有本)極東から相当な地上部隊をウクライナ国境に連れて行っているわけです。これだけ考えてみても、ロシアにしてみれば、「日本はどうせ攻めて来ないからね」と。日本に対してこのような感じになっているわけではないですか。

新行)それで日本が攻めて来ることはないと。

有本)その間、海から空から、いろいろな行為に及んでいて、ウクライナ問題に関しても、「極東でも私たちは戦えるのだ」というところを見せているわけです。向こうがそのように力で威圧的な行為をしているときに、なぜ日本がロシアとこのような会議をするのか。

甘い認識を直さなければ竹島などの問題も悪化して行くだけ

新行)ウクライナ情勢についても、台湾有事を考えた場合、決して他人ごとではありません。

有本)もちろんそうですね。北京オリンピックが終わりましたから、中国もこの間、ロシアと西側諸国の綱引きを見ているでしょう。このあと台湾海峡も、ますます緊張が高まって行くという状況です。

新行)台湾海峡も。

有本)竹島の話もありますが、日本は周辺にそういう問題を抱えている、問題だらけの国なのです。そういうなかで、今回のように「通商して行きましょう」と。仲よくなればいずれは、という考え方が間違いであったという認識に立ち直らないと、いずれの問題についても、前に進むことはないですし、悪化して行く一方でしょう。

竹島問題にフォーカスするべき

新行)2月22日は竹島の日ですけれども、式典には政務官が出席するということで、閣僚が出席しないのは10年連続となります。

有本)私が5年前に参りましたときも、当時の政務官が出席されていて、それも「ルーティンワーク化しているな」という感じがありました。与党である自民党も、政権を獲るときの約束だったはずですので、「竹島の日」を国としてしっかり主催するべきです。竹島問題に関しても、何もして来ていないようなものです。

新行)竹島問題についても。

有本)韓国とも慰安婦問題や、向こうの言う徴用工、応募工問題に関して、本来なら問題にならないことにもいちゃもんをつけられ、それについて日本側が右往左往している。

新行)韓国から。

有本)それよりも、不法占拠されている竹島について、日本は韓国側にもっと大きく圧力を掛けるべきです。あるいは積極的に発信して行って、韓国側の譲歩を引き出さなければいけないと思います。

新行)最近ですと、佐渡金山の話もありました。

有本)世界遺産登録のメインのところは江戸時代の話ですから、朝鮮半島から労働者がうんぬんという時代とはまったく、ずれています。それに記憶遺産ではないですからね。韓国側から問題ではないことを問題化されて、日本側が相手の土俵に乗ってしまうというパターンをそろそろやめるべきです。日本と韓国の間で最も大きな問題は、竹島問題なのです。ここにフォーカスして行く必要があると思います。

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