世界中で「もぐらたたき」になる恐れ ~露呈したアメリカの「隙」を埋める枠組み作りが重要

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ニッポン放送「飯田浩二のOK! Cozy up!」(3月25日放送)に外交評論家でキヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。NATOとG7の首脳会議について解説した。

バイデン米大統領(左)とロシアのプーチン大統領(アメリカ・ワシントン)=2021年3月17日 AFP=時事 写真提供:時事通信

共同声明に「書いていないこと」がいちばん大事

北大西洋条約機構(NATO)は3月24日、ブリュッセルの本部で緊急首脳会議を開き、ロシアのウクライナ侵略を強く非難する共同声明を採択した。ロシアの攻撃が激化し化学兵器の使用への警戒感も強まるなか、ウクライナへの全面的な連帯を示し、追加的な軍事支援を行う方針で一致した。続いて先進7ヵ国(G7)は24日同じブリュッセルで緊急首脳会合を開き、ロシアによるウクライナの軍事侵略を非難する共同声明を採択した。このなかでプーチン大統領らの責任を追及すると名指しで強く糾弾するとともに、戦争犯罪の証拠収集を支援すると明記。また中国を念頭にロシアに侵略を継続するための支援を行わないように警告したとのことだ。

飯田)NATOの声明のなかでも中国の名前を出しながら支援をするなということを言及しておりました。

宮家)考えてみたらロシアは昔、G8参加国だったのですよね。それを思い出しましたが、いまはG20からも排除されるという。ずいぶん時代は変わったとつくづく思いますね。この声明の内容は予想通りですし、ロシア非難の大合唱なのですけれども、私は2つポイントがあると思っています。今回の共同声明は大体読んでみましたけれども、こういう文書は、「書いていないこと」がいちばん大事ということが、ときどきあるのですよ。

飯田)書いていないこと。

<イェンス・ストルテンベルグ北大西洋条約機構(NATO)事務総長と協議する岸田総理>2022年3月24日(現地時間)、岸田総理は、G7首脳会合出席のためベルギーのブリュッセルを訪問 ~出典:首相官邸ホームページ https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/actions/202203/24g7.html

「今後どうするか」が書いていない

宮家)もちろん「書いてあること」は大事なのだけれど、今回、何が書いていないかというと、今後どうするかが書いていない。特にいまの戦争の状況はかなりロシアに不利でしょう。そして長期戦、消耗戦となりつつある。残念だけど膠着状態ですよね。だけど、勝てないとなるとロシアが何をするか分からない。実際に、核はともかくとして、化学兵器や生物兵器を使う可能性は十分にありうると。

飯田)既にシリアで使っているし。

宮家)そう、自分の政敵にも使っているのだから。あの人たちにとって化学兵器使用の敷居は非常に低いと思う。そうすると、ウクライナの国内で化学兵器が使われる場合や、万が一それがどこかに流れてしまってNATO諸国に被害が出てしまった場合、どうするかということは最大の問題ですよ。1つ間違えたら世界大戦ですからね。そういう意味で、声明に書いてはいないけれども、そのことは彼ら真剣に議論しているはずなのですよね。それが1つ気になっていることです。

2022年3月24日(現地時間)、岸田総理は、G7首脳会合出席のためベルギーのブリュッセルを訪問 ~~出典:首相官邸ホームページ https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/actions/202203/24g7.html

新しいルールをつくるところに日本がちゃんといる

宮家)もう1つ気になっていること……気になるというか「なるほど」と思うのだけれど、よく考えてみたらNATOとEU……ヨーロッパばかりじゃないですか。“欧米”ですが、ここに日本がちゃんといるわけですよ。やっぱりG7に入っていてよかったなと思います。当たり前なのだけども、アジアの他の国は呼ばれないのですよ。ですから、いまやロシアが血迷って新しい状況になって、世界はこれから新しいルールをつくるわけですよね。こういうルールをつくるときに日本は必ずそこにいなければいけない。それがちゃんと行われているということにほっとしています、そして同時にこれは責任重大ですよね。私、昨日はあまり寝てないのですが、なるほどな、時代が変わっていることを示す象徴的な会合だな、と思いました。

飯田)この先のことを考えると、新しい世界秩序が生まれゆく段階であると。ここがとても重要なのですね。

<フォン・デア・ライエン欧州委員会委員長と会談する岸田総理(EU提供)> 2022年3月24日(現地時間)、岸田総理は、G7首脳会合出席のためベルギーのブリュッセルを訪問 ~出典:首相官邸ホームページ https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/actions/202203/24g7.html

アメリカの対応の限界が生んだ隙を突く「もぐらたたき」

宮家)これがいずれアジアに波及する、場合によっては中東に波及する。要するにアメリカの対応に限界がある以上、あっち向けばここに隙が出来る……「ならば」と、みんなそこを突こうとする。みんなでもぐらたたきをやるような時代になってしまう可能性があるので、恐ろしいなと思っています。

飯田)そこをある程度コントロールするためには、全体で協力する枠組みをつくらなくてはならない。

宮家)しかも欧米だけではなくて、本当はアジアも中東も、心ある国々が対応ぶりで握らなければいけないわけですよね。そのような動きのなかに日本が入っているということが大事なのだと思います。

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