ジャーナリストの須田慎一郎が4月4日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。日本銀行が4月1日に発表した「日銀短観」について解説した。
日銀短観、1年9ヵ月ぶりに悪化
日本銀行が4月1日に発表した3月の全国企業短期経済観測調査(短観)は、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)が大企業製造業で12月の前回調査から3ポイント低いプラス14となり、1年9ヵ月ぶりに悪化した。ロシアのウクライナ侵略に伴う原油価格の高騰などが重しとなったとみられる。
飯田)日銀短観は年に4回、国内企業1万社近くに景気の現状などを尋ねる調査です。「いい」と答えた企業の割合から、「悪い」と答えた企業の割合を差し引いた数値が指数となって、景気を判断するということです。悪化ということが伝えられていますが、原油価格が相当上がっていますものね。
須田)原材料価格やエネルギー価格の高騰、それが製品価格に転嫁できませんから、結果的に利益幅が薄くなって景況感が悪化したということになるのだと思います。
「コアコア指数」はマイナス ~原油価格、天然ガス価格の高騰で圧迫される企業業績
飯田)物価高への対策を指示したというようなニュースが先日ありましたけれども、政府としてどのようなことをするのか、具体例が出てきませんね。
須田)「物価」と言いますけれども、ものの価格は上がっていますが、実際の物価の動きがどうなのかと言うと、価格変動幅の大きな食料品やエネルギー価格を除いたのが、実態上の物価と言われているものです。正確には「コアコア指数」と言われています。これについてはまだマイナスなのです。
飯田)ずっとマイナス圏が続いていますよね。
須田)まだデフレ状況だということです。「ただし」という点で言うと、やはり原油価格、天然ガス価格の高騰で結果的に企業業績は圧迫されている、価格は上がっているということです。これが物価高と言えるのかというと、言えません。これを抑制するための金融政策が取れるのかと言うと、取れません。そうなると、どうしたらいいのか。非常に難しい対応が迫られていると思います。
景気をよくするためには消費税減税など思い切った対策が必要
飯田)個別の価格の部分で、エネルギーや電気料金などを政策的に手当てできるのかということになりますか?
須田)その一方で、原油価格が上がることによって、ガソリン価格が上がりました。これについてはさまざまな補助金を駆使して、痛みを緩和する方向に動いているのだけれども、何もガソリン価格だけが上がっているわけではありません。
飯田)ガソリン価格だけではない。
須田)電力料金なども半年以上にわたって上昇しています。こういう状況をどうするのかということが出てきています。
飯田)その辺りを補助金ではなく、ガソリンなどに関しては減税すべきなのではないか、トリガー条項をやるべきなのではないかという声が野党からも出ていますし、与党からも前向きな意見が出ています。
須田)個別の価格に関して、何か補助金を出すとか、テコ入れをするということではなくて、デフレなわけです。景気が悪い。いまとりあえず日銀が歯を食いしばって金融緩和政策を取っている以上、ここは財政出動です。
飯田)財政出動。
須田)財政出動をして、景気をよくしていくということをやらないといけません。一部では話が出ているのだけれども、すぐかき消されてしまいました。例えば消費税の減税など、かなり思い切ったものです。減税というのは、形を変えた補助金の支出になります。そういう抜本的な財政出動に動かないと、いまの危機については、小手先だけでは対応できないと思います。
菅前総理が補正予算案の編成を求める
飯田)昨日(3日)、菅前総理大臣がテレビ番組のなかで、財政出動も考えて補正予算を組むべきだと言っていました。岸田政権はまずコロナ予備費でやるということを言っていますけれども、「それだけでは足りないだろう」という声が、いろいろなところから出ています。
須田)加えて通常国会で予算が早くあがったのだから、補正予算を編成する、あるいは財務省を説得して消費税の減税に動くなどということをしないと、ますます景気は悪くなっていくのではないでしょうか。
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