ウクライナ侵略から日本が学ぶべき「5つの教え」
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外交評論家で内閣官房参与の宮家邦彦が4月8日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。日本にとってのウクライナ侵略について解説した。
ウクライナ侵略が日本にもたらす意味
日々、さまざまな報道がされるウクライナ情勢。ここでは外交評論家である宮家邦彦氏が「ウクライナ侵略が日本にもたらす意味」について語った。
飯田)宮家さんは産経新聞に連載されている「宮家邦彦のWorld Watch」でも、ウクライナ情勢について書かれています。
宮家)日々の情勢を追いかけてもいいのだけれど、そろそろウクライナ危機が日本にとって何を意味するのかということを考える時期だと思い、5つのポイントを書きました。
専門家はあてにならない ~誰もが「ロシアの侵攻」はないと言っていた
宮家)第1に、失礼があってはいけないのですが、「専門家はあてにならない」ということです。いったい何人の人が「ロシアの侵攻は絶対にない」と言っていたか。もしプーチンさんが合理的に考えて、情報がたくさんあり、「間違いなくそうだよな」と思ったら、ロシアが戦争などするわけがないのです。
飯田)合理性で考えれば。
宮家)いま起きているように、ロシアは厳しい局面にあります。それにもかかわらずやったということは、プーチンさんも判断を間違える可能性がある。常に人は誤るということを考えなくてはいけない。それを考えるのも、また専門家でなければならないのです。
戦力がないと国は守れない
宮家)2つ目は、当たり前のことなのだけれど、「戦力がないと守れない」ということです。「やめてくれ」と言っても相手は来るわけです。戦うしかないではないですか。今回の情勢は、それをはっきりと示したと思います。
飯田)そうですね。
宮家)いろいろと報じられていますが、プーチンさんは数日もあれば、キーウまで行けると思っていたかも知れない。そうであれば、「ウクライナは舐められたものだ」ということです。十分な抑止力がなかったということです。抑止力というのは防衛力であり、防衛力の本質は攻撃力ですから、それがなかった、というのが大きなポイントです。
情報は大事である
宮家)3つ目に、今回の戦争で特徴的なのは、アメリカが惜しげもなく機密情報を出したことです。イギリスの諜報関係者が言っているのですが、これほど重要な情報をこれだけ早く、しかもこれだけ大量に秘密解除して戦ったことはないと。
飯田)大量に秘密解除をして。
宮家)その理由についてイギリスの専門家は、ロシア国民や政府関係者に対して、「真実は何か」を伝えるためだというのです。つまり真実がいちばん強い抑止力になるということです。日本にはインテリジェンスというか、情報機関がないからここまではできません、これも寂しいことですね。
飯田)日本にはありません。
宮家)報道にもありましたが、「ロシア軍はどうも無差別攻撃をしていた」ということを、ドイツの諜報機関が言っているわけです。彼らも聞いているのです。やはり情報は非常に大事だということですね。
同盟国がないと侵攻されてしまう
宮家)「同盟国がないと侵攻されてしまう」ということです。NATO諸国は同盟国ではないからウクライナに対する防衛義務はないのだけれども、直接戦闘以外のことはほとんどやっているわけです。なぜかと言うと、ウクライナが大事な国であり、「大事だ」とみんなが思うからです。そういう意味で国の安全は、同盟があるかないかで決定的に違うということでしょう。
自分で戦わなければならない
宮家)そして最後に、「自分で戦わなければならない」ということです。去年8月のカブール陥落でアフガニスタンの大統領は国外に逃げてしまった。
飯田)アフガニスタンのガニ大統領はいなくなったけれど、ゼレンスキー大統領は残った。
宮家)だから、みんなウクライナを応援するのです。
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