地政学・戦略学者の奥山真司が4月12日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。日本とロシアのサケ・マス交渉について解説した。
日本とロシアがサケ・マス交渉を開始
水産庁は4月11日、日本とロシアが北海道沖でのサケ・マスに関する漁業交渉を開始したと発表した。例年4月10日に漁を解禁しているが、ロシアによるウクライナ侵略を受けて交渉開始が遅れ、出漁できない状態である。
飯田)去年(2021年)は3月末~4月頭に行われましたが、今回はここまでずれ込んだということです。
ロシア産の水産物を多く扱っている日本
奥山)ロシアからの水産物に関しては、日本の寿司チェーンなどが影響を受けています。日本がロシア産の水産物を相当扱っていたという事実が出てきています。
飯田)ロシア産の水産物を。
奥山)今後、こういう形でロシアと関連することへのリスクが増える可能性を、我々は認識しなくてはならないと思います。サイバーの話になりますが、ロシアのサイバー攻撃は優れているとよく言われていました。
飯田)言われていました。
奥山)日本のサイバー専門家の方のなかには、「ロシア発のサイバー攻撃、情報工作が危険だ」ということを論じている方がいらっしゃいます。ロシアがウクライナへの侵攻に苦戦しているので、その仕返しとしてやっているのだということです。
「ロシアは我々の敵だ」と公言し、ロシアと戦う国際ハッカー集団「アノニマス」
奥山)「アノニマス」という、アラブの春などに関与した有名な国際ハッカー集団がいますが、彼らが今回ロシアに対して、公然と戦うと言っています。
飯田)ロシアに対して。
奥山)「ロシアは我々の敵だ」ということで、ロシアの国営放送をハッキングし、ウクライナでの戦闘の映像を流すなどして問題になっています。私が気になるのは、彼らが「ロシアと取引している企業も攻撃する」と言っているということです。
アノニマスから日本の寿司チェーンなどが攻撃を受ける可能性も
奥山)サケ・マスもそうなのですけれど、日本の資源関係の方で、「ロシアと取引をやめる」と言っている人は多くありません。ビジネス上、やめることはできない。気持ちとしてはアノニマスと同じで、「ロシアを懲らしめてやりたい」と思うところはあるけれども。しかし、同じロシアに対抗している味方なのに、フレンドリーファイアというわけではないですが、「味方から攻撃を受けてしまう」という危険性があるのは少し怖いところです。
飯田)ロシアと取引しているということで。
奥山)ロシアと取引しているからこそ、ロシアを敵視するハッカーたちに後ろから撃たれる可能性がある。1980年代に、「東芝機械ココム違反事件」がありました。日本から共産圏に輸出された工作機械、プロペラを削る機械だったらしいですけれども、その機械によってソ連の潜水艦技術が上がってしまうということで、アメリカ海軍が「危険だ」として大騒ぎになり、日本が刺されたということがありました。
飯田)ありましたね。
奥山)そういう形で、味方なのに後ろから撃たれることがある危険性について、我々は気を付けなければなりません。
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