ロシア軍に破壊された世界最大の輸送機「ムリーヤ」が航空業界に与えた影響

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航空・旅行アナリストの鳥海高太朗氏が5月2日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。ロシア軍によって破壊されたウクライナの航空輸送機「ムリーヤ」が航空業界に与えた影響について解説した。

【世界最大の貨物機アントノフAn225ムリーヤ】 ドイツ西部ラウツェンハウゼンのフランクフルト・ハーン基地に着陸したウクライナの貨物航空会社所有のアントノフAn225ムリーヤ輸送機。190トン近い天然ガス発電機をアルメニアに輸送するため同空港に飛来した。エンジン6基、最大搭載量250トン、最大離陸重量600トンという世界最大の航空機。ソ連時代の1988年に初飛行し、ソ連解体後、ウクライナ機となった(ドイツ・ラウツェンハウゼン) 撮影日:2009年08月11日 dpa/時事通信フォト  写真提供:時事通信

ロシア軍が破壊した世界最大の輸送機「ムリーヤ」

4月上旬、ウクライナの首都キーウ近郊のホストーメリ空港に駐機していた世界最大の航空輸送機アントノフAn-225、愛称「ムリーヤ」がロシア軍の攻撃によって破壊された。そのムリーヤが航空業界に与えた影響は少なくない。

飯田)千葉県・酒々井町のラジオネーム“89X”さんという方からメールをいただきました。航空関係の仕事をされている方です。「国際線の路線の復活が遅れている上に、ロシア上空は飛べないので、欧州からの便が減っている」ということです。「仕事が減ったままで困っています。燃料代も上がってきています。個人的にはウクライナのアントノフ航空の世界最大の輸送機ムリーヤの破壊がとても悲しいです。まだ会えていなかったので、コロナ禍が収まったらウクライナ旅行として、チョルノービリと絡めて見に行くつもりだったのに。ウクライナ語では夢という意味のムリーヤが復活することを願っています」ということです。アントノフAn-225、愛称「ムリーヤ」という飛行機の破壊は、航空ファンにとってはショックでしたね。

鳥海)そうですね。かなりショックでした。日本には、2010年に名古屋のセントレア空港にも来ましたし、2011年には、東日本大震災のあとにフランス政府がチャーターしていろいろな物資を載せて来ました。災害が起こったときに大量の荷物を運べるのです。

コロナ禍で貨物の需要が高まっている

鳥海)ムリーヤは貨物を250トンまで運ぶことができます。いま使っているのは1機しかないので、希少価値というところも含めて悲しんでいる方が多いですね。

飯田)特に新型コロナが世界でまん延し始めてからは、新型コロナワクチンの輸送でも活躍していたのですよね。

鳥海)コロナ禍で国際線に乗る人は少ないけれど、貨物量は多く、貨物の単価は上がっているので、稼ぐこともできる飛行機だったのです。

飯田)なるほど。むしろ需要があったのですね。

ムリーヤを復活させたいゼレンスキー大統領

飯田)一応は2機つくられたという話ですけれども、もう1機の方は途中でやめてしまったのですよね。

鳥海)完成したのは1機です。1988年に初飛行が行われました。旧ソ連時代に宇宙往還機「ブラン」を輸送するためにつくられたものです。

飯田)ゼレンスキー大統領は「ムリーヤを復活させるのだ」というようなツイートもしていましたけれど、難しいのでしょうか?

鳥海)かなり大変だと思います。やはりまだ1機しかない飛行機ですし、この飛行機はエンジンが6個あるのです。エアバスA380やジャンボなどは4発機ですが、いま時代は2発の双発機です。

飯田)双発機が主流に。

鳥海)そのなかで6発というのは、それだけでつくるのが大変です。募金活動も始まっているのですが、ウクライナが戻ってくるときの象徴になればいいでしょうね。まだ戦争中ですので、終わってからになると思います。

航空・旅行アナリスト 鳥海高太朗氏

航空・旅行アナリスト 鳥海高太朗氏

ウクライナ情勢の影響でヨーロッパへ行く人は限られた人だけ ~シベリア上空を飛べず、通常よりも所要時間が5時間多くなる

飯田)ウクライナ情勢は日々刻刻と変わっていますが、航空旅客に対する影響も相当大きいですよね。

鳥海)大きいです。日本人も海外に行けるようになり、バンコクやオーストラリア、ロサンゼルスなどに行かれる方は多くなっています。ウクライナ情勢がなければ、ゴールデンウィークはパリやロンドン、イタリアなどへ行っていた人は多かったと思います。いまは便数が少ないのと、時間が前よりも5時間くらい余計に掛かるので、行くことができる人は限られます。

飯田)シベリア上空が飛べないからということですか?

鳥海)そうです。シベリア上空が飛べないことで北回り、南回りを活用して、直行便で言うと4時間くらい時間が余計に掛かります。中東のカタール航空やエミレーツ航空などを使い、中東経由で行くのが価格的にはお得だと思います。

飯田)昔はシベリア上空が飛べないと北回り、南回りのヨーロッパ線がありました。アンカレッジ経由のものも復活しているのですか?

鳥海)飛行機の性能がよくなりまして、特にボーイング787であれば、アンカレッジの方を通るのですけれども、降りなくてもいいのです。昔は燃料が足りなくて降りていたのですけれども、いまはその上を飛んでもノンストップでヨーロッパまで行けてしまいますので、経由便にはなりません。

飯田)なるほど。

鳥海)アラスカ上空を飛ぶくらいの感じですね。

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