数量政策学者の高橋洋一が5月25日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。物価高騰緊急対策の補正予算案について解説した。
物価高騰緊急対策の補正予算案、5月27日の衆議院通過で合意
物価高騰の緊急対策を実行するため、一般会計の総額で2兆7000億円あまりの今年度の補正予算案は、5月25日に衆参両院の本会議で審議入りする。24日、その後の審議日程をめぐって、衆議院予算委員会の与野党筆頭理事が会談し、26日・27日の2日間、岸田総理とすべての閣僚が出席し、質疑を行った上で27日に採決を行うことで合意した。
飯田)補正予算案は、「物価高騰緊急対策」などと言われていますが。
高橋)まず、セオリーがわかっていてやっているのだと思います。現状を考えると、4月の物価がどうなっているのかということですが、総合で2.5%上がって、「生鮮食品を除く総合指数」で2.1%上がっています。「インフレ」とみんな言いたくなるのだけれども、「生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数」を「コアコア指数」と言うのですが、これが物価の基調なのです。
飯田)コアコア指数が。
高橋)それを見ると、コアコア指数は0.8%で全然上がっていない。ですので、インフレにはなりません。アメリカやヨーロッパの「生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数」は6%以上、6~8%という数字になっているのです。
GDPギャップが欧米はないが、日本は30兆円ある ~経済対策でギャップを埋める
高橋)そのくらいにならないとインフレではないのです。どうして日本だけ違うのかと言うと、総供給と総需要の差である「GDPギャップ(需給ギャップ)」という言葉があります。
飯田)GDPギャップ。
高橋)日本はまだ30兆円程度のGDPギャップがあります。ヨーロッパやアメリカはほとんどありません。だから物価が上がるのです。逆に言うと、GDPギャップがあるから日本は物価の基調である「コアコア指数」が上がらない。このときの対策はセオリーが簡単で、GDPギャップをまず埋めるのです。
「上がった物価の多くの部分は、経済対策によって吸収できる」というのがセオリー ~それをやっていない
高橋)ギャップを埋めると、実は物価が上がる。物価が上がるけれども、対策を行うので「上がった物価の多くの部分は、経済対策によって吸収できる」というのがセオリーなのです。でも、それをやっていないのです。
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