IPEF発足メンバーから台湾を外したアメリカの「事情」

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数量政策学者の高橋洋一が5月25日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」の発足メンバーについて解説した。

IPEF発足メンバーから台湾を外したアメリカの「事情」

2022年5月23日、IPEF(インド太平洋経済枠組み)関連行事~出典:首相官邸ホームページ(https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/actions/202205/23usa.html)

IPEF発足メンバーに台湾入らず

サリバン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は5月22日、記者団に、米国がアジアでの存在感回復を目指して提唱する新経済圏構想「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」の発足メンバーに台湾が加わらないことを明らかにした。

飯田)サリバン大統領補佐官が、「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」発足メンバーに台湾は入らないと述べたということです。どうご覧になりますか?

高橋)台湾も「遺憾」と言っていますが、私も「遺憾」だと思います。

飯田)遺憾であると。

発足の数を増やすために東南アジアの国を入れたい ~対中包囲網であることを避けたい東南アジアの国

高橋)理由はあるのです。アメリカが最初の発足数を確保したいということで、13ヵ国でスタートしましたけれども、数を確保するために、東南アジアの国を入れたいわけです。しかし、東南アジアの国は、中国のことを気にするのです。

対中包囲網を明確にしないために台湾をメンバーから外す

高橋)これが対中包囲網であることが明確になると、自分たちも困ってしまう。対中包囲網であることがはっきりするかどうかは、「台湾が入るか入らないか」ですから。

飯田)台湾が入るかどうか。

高橋)そのため、台湾はとりあえず発足メンバーから外れてもらった、という経緯のようです。

飯田)なるほど。

高橋)これが何のためにつくられたのかと言うと、IPEF自体にアメリカ議会は関与しないので、「フワッ」としたフレームワークなのです。

飯田)IPEF自体が。

高橋)だからTPPの代わりにはまずなりません。関税もないというフレームワークなので、その分を絞って、対中包囲網をはっきりさせればいいのです。

IPEFの目的の1つはサプライチェーンの強化 ~日米韓台の4ヵ国スタートというあり方も

高橋)IPEFの1つの目的として、サプライチェーンの強化があるではないですか。サプライチェーンといえば半導体でしょう。半導体であれば、日米と韓国と台湾がほとんどのシェアを占めます。台湾を入れないと成り立たないのです。ですので、4ヵ国でスタートしてもいいかなと私は思っていました。

飯田)4ヵ国で。

高橋)要するに、対中包囲網ということをはっきりさせればいいのです。韓国も巻き込んで、日本とアメリカと台湾の4ヵ国でもそういう方向になるでしょう。もちろん、インドが入るのはいいのですけれどもね。インドは他の理由で入れて、4~5ヵ国くらいのスタートでいいのかなと思っていました。だから台湾が入ると予想していたのですが、残念ですね。いずれ入るでしょうけれど。

東南アジアの国を入れて「数を増やす」ことを選択したアメリカ

飯田)いずれ入ってこないと、サプライチェーンについては……。

高橋)話にならない。関税がなく、自由貿易にはなかなかならないので、対象を絞ったやり方になります。いまのところ、デジタル、サプライチェーン、クリーンエネルギー、クライム(犯罪)という分野でやると言っているのだけれど、主な話はサプライチェーンです。

飯田)サプライチェーン。

高橋)サプライチェーンに関しては、台湾を入れないと話になりません。それでも今回、東南アジアの国を入れて「数を増やす」ことをアメリカは優先しました。

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