災害時に必要とされるのは「政治決断」 「首都直下地震」10年ぶりに被害想定見直し

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ジャーナリストの鈴木哲夫が5月26日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。新たに発表された首都直下地震の被害想定について解説した。

首都直下地震の大きな被害が想定される範囲の雑感写真=2022年5月23日午後、東京都大田区 写真提供:産経新聞社

東京都、首都直下地震の被害想定を10年ぶりに見直し

東京都は5月25日、首都直下地震の新たな被害想定を発表した。最大の被害が想定される都心南部を震源とするマグニチュード7.3の地震が起きた場合、19万4431棟の建物が全壊・消失し、6148人が死亡すると試算している。

飯田)10年ぶりの見直しで、前回の想定と比べると被害は減っているということです。

鈴木)まず「10年ぶり」ということに引っかかってしまいます。僅かしか数字が違わなかったとしても、毎年見直すべきではないでしょうか。

飯田)そうですね。

鈴木)今回は、各メディアの見出しを見ても、10年前と比べて死者数の想定が約3割減った。正確に言えば、10年前の死者数の予測が9641人だったのが、6148人に変わっています。この比率は明らかに耐震化を進めたことによるものです。

飯田)耐震化を。

鈴木)数字的に言えば、耐震化がどれくらい進んだのかに合わせて、同じように死者数の比率も減ったと見ていいと思います。しかし、減ったとしても6148人が亡くなるということです。ここを今後、行政はどうしていくのか。

関連死を含めると死者数はもっと増える ~6148人の倍以上の可能性も

鈴木)死者数について言うと、その瞬間に被害に遭うだけではなく、関連死と呼ばれているものも含めて考えられます。特に今回は大規模な停電になるだろうとも言われていて、3日ぐらいで復旧できるのではないかという予測もありますが、私はそれ以上になると思います。

飯田)3日では復旧できない。

鈴木)これが1週間続けば、入院している患者さんの医療機器に影響して、また犠牲者が出てしまう場合もあります。そうなると6148人の倍ぐらい、もしくはそれ以上になる。いままでの大きな地震を見ても、そのようなことは想定できます。

帰宅困難者に対する避難場所の確保がもっと必要

鈴木)もう1つ考えなくてはならないのは、帰宅困難者のことです。東京都は近県から働きに来ている人たちが多い地域です。このような人たちのうち、453万人ほどが帰宅困難者になってしまうだろうと想定されています。

飯田)453万人。

鈴木)その人たちは、夜はどう過ごせばいいのでしょうか。道路で寝るわけにはいきませんよね。東京であれば、大きなビルを持つ大企業があり、このようなところが区や地域などと話し合い、「一晩、休める場所として受け入れる」ということを決めているところもあります。

飯田)避難場所として。

鈴木)しかし、大企業ばかりが建っているわけではありません。小さなビルや中小企業もたくさんあります。そのようなところと、どう協力体制が取れるのかという対応がまだまだできていません。

帰宅困難者への対策を早いスピードで進めるべき

鈴木)これは想像になりますが、街が崩れて瓦礫だらけで、電気もなくパニックになってしまうと、帰宅困難者になった453万人はどうしたらいいのかわからない状況になる。恐ろしい事態になるので、早急に民間企業と行政が話し合う必要があります。既に東京都は始めているのですが、帰宅困難者をどうするのか、耐震化と同じくらいのスピードで進めなければいけません。

災害時に必要とされるのは「政治決断」

鈴木)私がもっとオープンに議論した方がいいと思っているのは、首都機能についてです。東京には国会があり、官邸があります。災害のときに最も重要なのは政治決断なのです。

飯田)政治決断。

鈴木)現場にいる官僚の人たちは法律を犯せないし、平等に対応しなければいけない。例えば、避難所などに毛布がたくさん届いているけれども、役所が配らない。「なぜ配らないのか」と聞くと、役所が言うには「数が足りないから、ここだけに配ると不公平になってしまうので、配れない。全員分の数が揃ってからすべての避難所に配る」と言う。

飯田)全員分の毛布が揃ってから。

鈴木)そうではなく、「配れるところから配れよ」と思うのですが、平等の概念やルールがあるので、公務員の人には難しいのです。それに対して「いいから配れ」と言うのが、政治決断になるのです。

官邸や都庁はどこに移転して動くのか

鈴木)ワクチンもそうでした。足りない、「でも打てるところから打て」と指示するのは政治決断なのです。その機能として、官邸や東京都はどこに移転して、どこでどう動くのか……。関東周辺で受け入れるというプランはいろいろあるようですが、この辺りは我々にも知らされていない。

飯田)一部を立川に移転するという計画は、映画「シン・ゴジラ」でもそうでした。

鈴木)安全保障上、厳しい秘密の部分もありますが、もっとオープンにしていくべきだと思います。死者数や帰宅困難者数など、数だけが先行して見出しになっていますが、まだ遅れていてやらなければいけないことはあるのです。東京都の知事は、「自分は防災だけに4年間かけてやる」というような心構えでやって欲しいと思います。

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