地政学・戦略学者の奥山真司が7月26日、ニッポン放送「新行市佳のOK! Cozy up!」に出演。安倍晋三元総理が目指した憲法改正について解説した。
安倍元総理が目指した憲法改正
新行)安倍元総理が目指していた憲法改正ですが。
奥山)7月11日にアメリカのリベラル派の大手新聞「ワシントン・ポスト」の社説で、「日本よ、改憲してくれ」という記事が掲載されたのです。
民主的な日本の軍事力の正当性を支持すべきである
奥山)「これで世界に貢献してくれ」、「これは安倍元首相が遺した遺産・宿題だ」と書かれていました。「日本は岸田さんをはじめ、後継者の方々で早く改憲してくれ」という、かなり踏み込んだ内容が社説に書かれています。
新行)社説で。
奥山)具体的な内容は、「民主的な日本の軍事力の正当性を支持すべきである。憲法改正案は、日本が陸海空軍を保有するという既に現実となっているものを合法化するだけのものである」と。「21世紀の日本は国際社会で信頼できる一員であり、ロシアのウクライナ侵攻以前よりも世界の安全保障への貢献が必要になってくる」と書いています。さらには、「安倍元首相はあまりにも早く逝ってしまった。日本や世界に与えたインパクトは忘れてはならない」ということまで言っています。
不安定な状況にある世界の民主主義国家・先進国 ~「アメリカで数年以内に内戦が起こる」と50%が回答
奥山)この記事を読んで思うのは、アメリカが「日本に早く貢献してくれないと困る」と言っているということです。しかも、アメリカのリベラルメディアです。安倍さんのようなナショナリストには厳しい見方をする方々なのですが、そういう人たちが「日本、頑張ってくれ」と言っている。その背景が恐ろしいなと思います。
新行)恐ろしい。
奥山)それは世界の民主主義国家・先進国が、どこも不安定な状況にあるように見えるからです。
新行)世界の民主主義国家が。
奥山)例えばスペインは現在、非常に不安定な状況にあります。地方選挙が行われたのですが、来年(2023年)はもしかするといまの首相が危ないかも知れない。また、韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領も政権発足からうまくまとまらず、支持率が大きく落ちています。
新行)不安定ですね。
奥山)フランスのマクロンさんは再選を果たしたのですが、そのあとの地方選でボロ負けしまして、「政権運営は大丈夫なのか」と言われています。
新行)フランスも。
奥山)アメリカに至っては、先日話を聞いて驚いたのですが、カリフォルニア大学アーバイン校に「暴力阻止センター」というところがあるのですが、そこが調査した結果によると、アメリカ人の有権者の50.1%が「これからアメリカで数年以内に内戦が起こる」と答えているのです。
民主主義国家で日本ほど安定している国はない
奥山)それくらい政治分断が厳しい状態にあると見ているということです。世界の民主主義国家が政府に対して不満を持っているし、主要政党に対しての信頼が落ちていて、「それでは少数政党の方に行こうか」と。現状の政治体制に不満を持っているのです。
新行)政治体制に。
奥山)日本では暗殺事件はありましたが、その数日後に選挙をして与党が大勝した。その上、ここ3年くらいは、地方選はありますが大きな選挙はなく、岸田政権の自民党体制は盤石です。経済的には落ち込んでいる部分もありますが、民主主義国家で政権運営がここまで安定している国は、世界を見渡してもありません。
新行)民主主義国家のなかで。
奥山)そうなると日本への「憲法も改正してしっかりやってくれよ」という期待は大きいのではないでしょうか。
日本は「期待されている」という自覚がない
新行)日本国内を見るといかがですか?
奥山)期待に対して「自覚がない」ことが残念ですね。そこはこれから大きな問題として出てくると思います。
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