ジャーナリストの須田慎一郎 が7月18日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。新型コロナウイルスの感染症法上の分類について解説した。
「旅行支援の開始を延期」も「行動制限はしません」の“ギクシャク”
斉藤国土交通大臣は7月14日、新型コロナウイルスの新規感染者が増加していることを受け、7月前半の開始予定だった観光事業の喚起策、全国旅行支援の開始を延期すると発表した。斉藤大臣は「今後の感染状況の改善が見られれば、速やかに実施する」とも述べている。
須田)オミクロンのBA.5の置き換わりに伴う感染拡大ということです。感染者数がこれだけ激増してきて、過去最高という数も出しているのだけれども、感染症対策といまの時期取るとるべき熱中症対策のどちらに重きを置くのかという点でいうと、厚労省や各自治体の情報発信の中身を見ていくと、やはり熱中症対策もしっかりやってくださいということです。マスクを外してくださいというところも言われていますよね。
飯田)そうですね。
須田)果たしてこれはきちんとメッセージが伝わっているのかどうなのかという問題が私はあると思います。そしてもう1点、いま言われたように「全国旅行支援の開始を延期する」と言いつつも、「行動制限はしません」という。つまり緊急事態宣言であるとか、蔓延防止等重点措置はとらない、あるいは県をまたいでの移動についても制限しないというようなことを言っています。これも何かギクシャクしているような感じがしなくもないです。
その根底に何があるのかというと、やはり間違いなく感染力は強まっているのだけれども、毒性は低下しているのです。これはBA.4の時点の毒性ですけれども、季節性のインフルエンザ並みというような情報が出てきています。医療従事者の一部の人たちはもう「オミクロン風邪」というような言い方もしています。そういった点でいうと、やはり政治判断としていまの2類相当というのが適切なのかどうなのか。この辺りをきちんと検証作業を進めていく。始めると言っていますけども、もっとスピード感を持ってこれをどんどん進めていくべきではないのかなと私は思います。
飯田)元々2022年4~5月ぐらいに厚労省のアドバイザリーボードで話し合っているときにも、その話が専門家から出たのだけれども答申には載らなかったというようなことが報じられていますよね。
緩めて感染者拡大してしまうと内閣支持率の低下につながる判断だが、選挙は終わった
須田)なぜ載らなかったのかという辺りも不思議です。やはり政治がリーダーシップを発揮するということが必要なのだけども、2022年の春の時点というのは7月の参議院選挙を控えていました。それに対する配慮、つまり少し緩めてしまって感染者が拡大してしまうと、また批判が出て内閣支持率の低下につながるという判断が働いたことは間違いありません。もう選挙は終わったのだから。そして本来は選挙など関係ないのですよ。
飯田)そうでしょうね。
須田)やるべきことをきちんとやればいいのだけれども、その気持ちもわからなくもないのです。参議院選挙が終わったのだから、やはりここはぜひ岸田総理には、きちんとリーダーシップを発揮してほしいと私は思います。
飯田)18日に朝日新聞が書いていますけれども、保健所がまた逼迫しかかっているという。だからこそ「インフル並み扱い強まる声」という見出しが立っています。これもいちばん最初から言われていましたけれど、保健所がパンクするという。その構造は変わっていないわけですものね。
須田)そうですね。しかも毒性という点でいうと、今後の推移を見ていかなくてはいけないのだけれども、これまではほとんど重症患者向けのベッドの使用率というのは0%に近いところで推移しているわけですよね。確かに一定程度の感染者が出てくるから、入院患者が出てくるのは間違いありません。果たしてそれは適切な入院なのかどうかということも含めて考えていく必要はあるのでしょうけれども、毒性は明らかに弱まっているということを考えてみると、そろそろ対応を変えていくべきです。
いまの状況で進んだときに、注意喚起をしても、繁華街などを見ると特に若い人を中心にほとんど「知ったことではない」というような行動ですよね。ですから違ったメッセージを出していく必要があるのではないかなと私は思います。
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